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機械図面の履歴は、製図の記法に従って行います。なので、機械図面の履歴についてはエクセルでは管理しません。
 
 
 
 
 
 
== システム的な装置の図面を書くとき ==
システム的な図面を書くとき、最低限必要な部品図や組立図の図面そのもののほかに、そのシステムの仕組みが分かる図面を書いてください。
 
書かない会社もありますが、そういう会社は技術力の低い会社、または今後は技術力の低下する運命なので、相手をしないでください。
 
 
 
たとえば電気電子回路で考えてみましょう。
 
 
 
たとえば、電子機器についての図面で、回路素子部品が10000万個以上ある回路の図面で、抵抗やコンデンサやコイル、オペアンプやチップなどの配置位置だけを説明した図面だけがあったとしましょう。
 
 
まったくどこにも「ここら辺の部品は、電源モジュールです。」とか「そこは温度計測モジュールです。」とか「あそこは流量計測モジュールです。」とか「こちらは(流量計測ではなく)流量調整モジュールです。」の説明も無く、
 
単に「抵抗Aはここに配置してください。抵抗Bはそこに配置してください。抵抗Cはあそこに配置し(以下略)」とかの場所の指示しかない配置図しか無かったとしたら、どう思いますか?
 
そんな配置図面しか無い会社、勤めたくないですよね?
 
なぜ困るのかと言うと、もし最初の設計者が引退したり転職したりすると、今後は設計の(機能追加などのための改修などの)更新が不可能になるからです。
 
 
機能追加などをするには前提として、どの部品がどんな機能をしているかの説明図が必要だからです。もちろん、数千個や数万個すべての部品の機能をひとつひとつ説明は不可能ですし非効率ですが、せめて十数個くらいにはモジュール分割して説明するモジュール説明図を作ってください。
 
 
 
たしかに、説明ぬきの配置図も必要です。
 
また、回路によっては、製造の際に電源モジュールとか温度計測モジュールとかを同時に製造しなければならない可能性もありますので、全モジュール配置の一体化した配置図も必要な場合もあります。
 
実際の製造の段階では、説明はあいまいさの原因になるので邪魔で不要ですので、配置図では説明しないのは合理的です。
 
 
ですが、だからといって、モジュールそれぞれを説明した図面が無いのはダメです。
 
 
では、どうやってモジュール位置の説明図を作るのでしょうか?
 
 
[[File:Flipflop-RS OR Clock japanese.svg|thumb|500px|クロック入力付きRSフリップフロップ(NOR型)]]
 
まず、組立て図とは別に、モジュール位置のおおよその説明のための図面を作ります。用語が無いと不便なので、とりあえず「モジュール配置説明図面」と言いましょう。
 
 
右図のように、機能ごとに破線などで囲みます。
 
たとえば電源モジュールなら、その電源モジュールの場所だけを破線で囲み、その破線の上にタブ欄をつけて「電源モジュール」と書きます。
 
 
同様に温度計測モジュールについても同じモジュール配置図面の中で、温度計測モジュールだけを破線で囲み、タブをつけて「温度計測モジュール」と書きます。
 
以降も同様に、モジュール配置の説明図面の流量計測モジュールを破線で囲み、タブをつけて「流量調整モジュール」のようにします。
 
 
こうして、全モジュールを説明します。
 
だいたい、人間が数えられる程度の数に、モジュールの合計数を減らしてください。(合計で、せいぜい十数個ていどまで。)
 
 
 
ひとつのモジュールの中に何百個や何千個も部品がある場合には、同様に、あらたな部品図面によって、モジュール分割して説明していきます。
 
いまば、モジュールの部品図のようなものです。
 
 
こうして、モジュールをどんどん分割していき、そして最終的に、常識的に同業者の中堅エンジニアていどなら図面を読めば分かる程度の詳しさになるまで、説明を分割していきます。
 
 
コレが出来てない会社が日本では大企業にもあると言われていますが、だとしたら悪い手本なので、マネしないでください。
 
例として、米国のi-phoneなどの設計をしているアップル・コンピュータが、日本の部品メーカーに要求事項で「このコンデンサはもっと小さくできないか?」と日中韓のメーカーにそれぞれ別々に質問したら、韓国メーカーや中国メーカーからは「これこれの技術的理由があって、出来ないです。」と具体的な説明が返ってくるのに、日本だけ「わからない。」という返答が返ってくる、という報道もされているという風説もあります。
 
 
さて、電機電子の図面だけでなく、流体機器などを設計する際も、配管の本数が何十本や何百本あるいはそれ以上と管の本数の多い場合には、そういう図面を作ってください。(組立図や部品図とは別に、追加でそういうモジュール説明図面みたいなのを作ります。)
 
何百本も配管のある装置では、どこのユニットが何をしているかとか、そういう図面が無いと困ります。
 
 
流体機器メーカーの言っている「フロー図」とは、そういうモジュール説明図面の事です。
 
けっして、情報科学で言うフローチャートのことではないので、勘違いしないでください。