「物理数学I 解析学」の版間の差分

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問題例に解答を追加しました。
M 組版の修正と双曲線関数の定義を行いました。
419 行
の関係が示唆される。この関係は発見者の名にちなんで[[w:オイラーの公式]]と呼ばれる。この公式の正当化は複素関数論を使わないとうまくいかないようなのでこの稿の範囲を超えるが、[[物理数学II]]以降で扱われる予定である。<!-- しかし、今後はこの関係を断わり無く使うことがあるので注意して欲しい。
実際、この関係が無いと古典力学でいう単振動の方程式が
いきなり解けなくなるのでこの関係は非常に重要である。-->オイラーの公式を用いると、三角関数を指数関数を用いて表すことができる。具体的には、
:<math>
\cos x = \frac {e^{ix} + e^{-ix}}2, \sin x = \frac{e^{ix} - e^{-ix}}{2i}, \tan x =\frac 1 i \frac{e^{ix} - e^{-ix}}{e^{ix} + e^{-ix}}
</math>
が成り立つ。
*問題例
上の結果を確かめよ。
 
**テイラー展開を用いた関数の極限の計算
473 ⟶ 479行目:
について区間<math>0<x<1</math>で考えたとき、どんな小さい区間を使って<math>0<x<1</math>を分割したとしても有理数の稠密性により、上積分は1,下積分は0となる。よってfは積分可能でない。
 
:====双曲線関数====
 
[[w:双曲線関数]]は三角関数と関係の深い一連の関数群である。これらは積分を行うための変数変換で使うことがあるので、ここで導入する。双曲線関数は次の3つの関数である。
:双曲線関数
:<math>
\sinh x = \frac {e^x - e^{-x}} 2
486 ⟶ 492行目:
を双曲線関数と呼ぶ。
:それぞれのグラフ
これらは関係式
:<math>
\cosh ^2 x - \sinh ^2 x = 1
</math>
を満たすが、<math>x^2 -y^2 = 1</math>が双曲線の関数表示であることから、この関数は双曲線関数と呼ばれる。更に上の式は三角関数の対応物である<math>
\cos ^2 x + \sin ^2 x = 1</math>に類似しているが、この結果は偶然ではない。上のオイラー公式を使った三角関数の式を見ると、
<!--
更に
<math>
e ^{ix} = \cos x + i \sin x
</math>
を用いると、
<!-- <math>e^{x}</math> から解析接続? -->
<math>
\sin ix = i\sinh x, \cos ix = \cosh x, \tan ix = i\tanh x
</math>
が得られる。この式を<math>\cos ^2 x + \sin ^2 x = 1</math>でx=izとしたものに代入すると、<math>\cosh ^2 x - \sinh ^2 x = 1</math>の関係が得られる。
が得られる。
 
====三角関数の逆関数====
541 ⟶ 550行目:
 
*導出
 
** <math>
\int dx \frac 1 {\sqrt{1-x^2}} = \textrm{Arcsin} x
</math>
 
まず、
550 ⟶ 555行目:
\int dx \frac 1 {\sqrt{1-x^2}} = \textrm{Arcsin} x
</math>
を導出する。<math>y= \sin x</math>とする。このとき、
 
y= sin x
とする。このとき、
:<math>
\frac{d{y}}{d{x}} = \cos x
574 ⟶ 576行目:
となり、2番目の式と、3番目の式をyで積分することで求める式を得る。
 
<math>y = \tan x </math>とおく。
 
**<math>
\int dx \frac 1 { 1+x^2} = \textrm{Arctan} x
</math>
 
:<math>
y = \tan x
</math>
とおく。
:<math>
\frac{d{y}}{d{x}} = \frac 1 {\cos ^2 x}
594 ⟶ 588行目:
\end{matrix}
</math>
となる。よって、
よって、
:<math>
\frac{d{x}}{d{y}} = \frac{d(\tan^{-1}y)}{dy} = \frac 1 {1+y^2}
622 ⟶ 615行目:
このことによって、被積分関数の分母の次数は、上の式の分子の次数より低くなる。割ることであまった部分は必ず、分数でない形になるので(普通の数やx,<math>x^2</math>などになる。)積分できる。
 
**次に、分母を因数分解する。
代数式は必ず複素数の範囲で因数分解できることが知られているので、([[w:代数学の基本定理]])
分母は必ず(x-a)の積の形に(aは何らかの複素数。)書ける。ここで、元々の被積分関数が実数だったとすると、<!-- (この場合はそのようにしている。複素数だった場合は物理数学IIの範囲となる。) -->因数分解された式は、必ず、<math>(x-a)(x-a^*)</math>)の形になっているはずである。(*は複素共役の意味。)これらの2因数をけ合わせることにすると、結局これらの式の分母は、1次式か2次式の積で書ける。
 
**次に、得られた分母を使って[[w:部分分数分解]]を行なう。例えば、
800 ⟶ 794行目:
:<math>
\begin{matrix}
\sin x =& 2 \sin \frac x/ 2 \cos \frac x/ 2\\
=& 2 \tan \frac x/ 2 \cos^2 \frac x/ 2\\
=& \frac {2 \tan \frac x/ 2} {1+\tan ^2 \frac x/ 2}\\
=& \frac {2 t} {1+t^2}
\end{matrix}
809 ⟶ 803行目:
:<math>
\begin{matrix}
\cos x &= 2 \cos^2 \frac x/ 2 - 1\\
&= 2 \frac 1 {1+t^2} - 1\\
&= 2 \frac {1-t^2} {1+t^2}
944 ⟶ 938行目:
</math>
:<math>
= \textrm{Arctan} t = \textrm{Arctan} (2x-1)
</math>
が得られる。よって、全体をまとめると積分値として
:<math>
\frac 15 \ln(x+1) + \frac 3{20} \ln (2x^2-2x+1)+\frac{31}{10}\textrm{Arctan} (2x-1)
</math>
が得られる。
971 ⟶ 965行目:
= \frac 1 {\cos ^2 x} - 1
</math>
を利用すると、(<math>\sin ^2 x = 1 - \cos ^2 x</math>)
:<math>
\int dx \frac {\sin^2 x }{\cos ^2 x}