「高等学校理科 生物基礎/免疫」の版間の差分

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:(※ 範囲外: ) 抗体による獲得免疫は、原則的にセキツイ動物(脊椎動物)しか持たない。 虫や昆虫などの非セキツイ動物は、抗体を作ることができない。しかし、実験動物でよく使われるショウジョウバエは、けっして病気にかかりやすいという事はなく、なんらかの免疫をもっている事が明らかである。このような観点から、20世紀後半には虫の免疫の研究も進み、1980〜1990年代には無脊椎動物のショウジョウバエのもつトル様受容体(Toll Like Receptor)Receptor、トルよう じゅようたい)細胞膜から発見された。このトル様受容体により、(セキツイ動物、無セキツイ動物を問わず)動物は大ざっぱに自己と非自己の認識をしている事が分かり、大ざっぱに自然免疫を制御している事が分かった。(一方、セキツイ動物の抗体による獲得免疫では、抗体の多様性により、病原体を細かく分類・認識できる。)トル様受容体を失ったショウジョウバエは、真菌(「しんきん」、いわゆるカビ、キノコなど)に容易に感染される事も明らかになった。
:その後、ハエや無脊椎動物だけでなく、人間も含む脊椎動物にもトル様受容体が存在する事が分かり、免疫学の理論が大きく書き変わる事となった。ヒトにもマウスにも魚にも、トル様受容体は存在する。
 
:これとは別に、「C型レクチン」というカルシウム依存性のタンパク質が見つかっており、ヒトから無セキツイ動物を含む多細胞生物全般からC型レクチンが見つかっており、このC型レクチンが(生物個体にとっての)異物(病原体など)を認識する事が分かっている。
 
なお、「RIG-I様レセプター」(リグアイようレセプター)という受容体が、専門書ではよくトル様レセプターと一緒に語られるが、しかし無セキツイ動物からはRIG-I様レセプターは発見されていない<ref>『マンガでわかる免疫学』76ページ </ref>。