「高等学校理科 生物基礎/免疫」の版間の差分

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:これとは別に、「C型レクチン」というカルシウム依存性のタンパク質が見つかっており、ヒトから無セキツイ動物を含む多細胞生物全般からC型レクチンが見つかっており、このC型レクチンが(生物個体にとっての)異物(病原体など)を認識する事が分かっている。
 
なお、「RIG-I様レセプター」(リグアイようレセプター)という受容体が、専門書ではよくトル様レセプターと一緒に語られるが、しかし無セキツイ動物からはRIG-I様レセプターは発見されていない<ref>『マンガでわかる免疫学』76ページ </ref><ref>河本宏『もっとよくわかる! 免疫学』、2018年5月30日 第8刷、170ページ</ref>。このようなことから、RIG-I様レセプターは進化の歴史において、獲得免疫の進化とともにRIG-I様レセプターが備わっていったと思われている
 
 
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臓器移植など移植手術での拒絶反応が起きる際の理由も、MHC(ヒトの場合はHLA)が異なって、T細胞が移植片を非自己と認識するからである(※ 参考文献: 第一学習社『高等学校生物』、24年検定版、26年発行、58ページ)、と考えられている。
 
:(※ 当カッコ内は範囲外: シクロスポリンはカルシニューリン阻害剤に分類されるのだが、細胞内におけるカルシウムによる情報伝達を阻害する事により、結果的にシクロスポリンは、免疫を抑制する。)
なおシクロスポリンは、T細胞によるサイトカイン(このサイトカインは細胞性免疫の情報伝達に関わる物質の一種であり、キラーT細胞などの他の免疫細胞を活性化させる役割を持っている)の産生を阻害することにより、細胞性免疫の作用を抑制している。(※ サイトカインは高校の範囲内)
 
なおシクロスポリンは、T細胞によるサイトカイン(※ このサイトカイン」とは細胞性免疫の情報伝達に関わる物質の一種であり、キラーT細胞などの他の免疫細胞を活性化させる役割を持っている)の産生を阻害することにより、細胞性免疫の作用を抑制している。(※ サイトカインは高校の範囲内)
 
:※ 「サイトカイニン」(植物ホルモンの一種)と「サイトカイン」は全く異なる別物質である。
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いっぽう、KHCクラスIIは、マクロファージ や 樹状細胞 や B細胞 や 胸腺上皮細胞 などに存在している。どうやらMHCクラスIIは、主に抗原提示細胞に存在していると思われている(と、どこかの検定教科書が言っているらしい)。
 
:(※ 範囲外 :)なお、なぜ、このようにMHCによる免疫の機構がクラスIとクラスIIに分かれているかというと、一説だが、たとえばマクロファージなどの食細胞は病原体も食べて病原体を分解してペプチド化してT細胞にペプチド断片を提示するのだが、もし(背理法の論法だが)ナイーブT細胞がマクロファージの食べた病原体の残骸をみてマクロファージを「こいつは病原体に感染した細胞だな。なので殺そう。」と誤って認識してしまいナイーブT細胞がキラーT細胞に変化してしまうと、(現実には起きないが、背理法的に)マクロファージがどんどん殺されてしまい、自然免疫を成さなくなって不合理だから・・・、なので不合理を避けるために、マクロファージなど食細胞はナイーブT細胞を活性化しずらい仕組みになっているのだろう、・・・というような感じの仮説もある<ref>河本宏『もっとよくわかる! 免疫学』、2018年5月30日 第8刷、45ページ</ref>。そのための仕組みとして、食細胞などはMHCのクラスが他の一般細胞のMHCとは別クラスになっているという学説である。ただし、(別の樹状細胞からの刺激などより、なんらかはMHCクラスII理由でT細胞がいったんキほかにMHCクー化したスIもで、キラーT細胞は、マクロファージ樹状細胞も殺す事が分かっている。一見すると樹状細胞が殺されるには不合理のように見えるが、炎症を抑えるメカニズムだろうという学説がある。
 
:B細胞のMHCが(マクロファージと同様に)クラスIIなのも、おそらく上述のマクロファージや樹状細胞の理屈と関係があるのだろう、・・・という学説がある。
 
:(※ 小まとめ. )つまり、ほとんどすべての有核細胞は、キラーT細胞が、その細胞を(おそらくだが目的としては、キラーTが攻撃すべきかどうかの判定のために)認識することが、MHCクラスI分子によって可能である事になるだろう。
 
発達中のT細胞は胸腺で発達するが、胸腺皮質上皮細胞にはもMHCがあるのだが、なんと胸腺皮質上皮細胞のMHCクラスIと反応するT細胞はキラーT細胞になり、胸腺上皮のMHCクラスIIと反応するT細胞がヘルパーT細胞になる<ref>河本宏『もっとよくわかる! 免疫学』、2018年5月30日 第8刷、103ページ</ref><ref>宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、163ページ</ref>という事まで、現在では解明されている。
 
 
上述のように、T細胞には、MHCを認識する受容体がある。なお、T細胞には、さらに多くの種類の受容体があり、MHCを認識する受容体以外にも、異なる機能をもった受容体が、いくつもある。
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::この「ペプチドMHC分子複合体」によって、MHCからT細胞に情報を送る仕組みである(クラス1もクラス2も、ヘルパーTかキラーTかの違いはあるが、送る先はともにT細胞である)。そして、有機の異物が侵入してない場合にも、MHCの先端には自己のタンパク質を分解した断片(いわゆる「自己ペプチド」)がくっつけられており、提示されている。自己タンパク質断片の提示される場合では、T細胞は提示された細胞を自己と認識するので、その場合にはT細胞は活性化されないという仕組みである。
 
<!-- ※ 調査中:) 侵入した異物がタンパク質やアミノ酸などを含まない場合の異物についてはどうか、専門書を見ても、書かれていない。文献では、異物として、最近やウイルスを構成するタンパク質を想定している文献ばかりだが、「では、栄養素などを構成するタンパク質やアミノ酸も、細胞は異物として認識するために細胞表面に抗原として提示するのかどうか?」については、残念ながら調査した文献の範囲内では書かれていなかった。-->