「線型代数学/行列概論」の版間の差分

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566 行
==行列の演算続き==
 
===A<sup>-1</sup>逆行列===
 
<math>AX=XA=I</math>となる行列<math>X</math>が存在すれば、<math>X</math>を<math>A</math>の逆行列といい、<math>A^{-1}</math>と表す。<br>
一章の演習3の内容を思い出して欲しい。AX=EとなるようなXは必ずしも存在しなかった。逆行列は、AX=Eが成り立つような行列にのみ定義される。
また、<math>A</math>に逆行列が存在すれば、<math>A</math>を'''正則行列'''といい、逆行列はただ一通りに決まる。<br>
 
'''証明'''
定義(3.1.1)正則行列、逆行列
:<math>A</math>に逆行列<math>X,Y</math>が存在すると仮定すると。
:<math>AX=XA=I,AY=YA=I</math>が成り立つので、
:<math>X=XI=X(AY)=(XA)Y=IY=Y</math>よって<math>X=Y</math>となるので、逆行列が存在すれば、ただ一通りに決まる。
 
逆行列については、以下の性質が成り立つ。
AX=XA=EとなるXが存在するときXはA<sup>-1</sup>と書け、Aの逆行列と言う。またA自身を正則行列と言う。
#<math>(A^{-1})^{-1}=A</math>
#<math>(AB)^{-1}=B^{-1} A^{-1}</math>
'''証明'''
:#<math>A^{-1}</math>の逆行列は、定義から、<math>A^{-1}X=X A^{-1} = I</math>となる<math>X</math>であるが、<math>X</math>に<math>A</math>を代入すると成り立っているので、<math>(A^{-1})^{-1}=A</math>である。
:#<math>AB</math>の逆行列は、<math>(AB)X=X(AB)=I</math>となる<math>X</math>であるが、<math>X</math>に<math>B^{-1} A^{-1}</math>を代入すると、
:::<math>(AB)(B^{-1} A^{-1})=AI A^{-1} = A A^{-1} = I</math>
:::<math>(B^{-1} A^{-1})(AB)=B^{-1} I B =B^{-1} B = I </math>
::となり、式が成り立っているので<math>(AB)^{-1}=B^{-1} A^{-1}</math>である。
 
 
A<sup>-1</sup>は一意的に定まらなければならない。なぜならば、AX=XA=AY=YA=Eであれば、
 
X=XE=X(AY)=(XA)Y=EY=Y
 
 
定理(3.2.2)
 
 AX=EならばAは正則
 
 
この証明は5章で。次の性質は容易に示される。
 
 (1)Aが正則ならば、A<sup>-1</sup>も正則。
 
 (2)A,Bは共にn次正則行列なら、(AB)<sup>-1</sup>=B<sup>-1</sup>A<sup>-1</sup>
 
 
この定理は、正則行列の集合が[[有限群論序論|群]]である事を示す。群の定義はこの項目の続きと位置づける\[[行列式]]で。
 
定義(3.2.4)対称区分け
633 ⟶ 626行目:
O & A_{2,2}^{-1}
\end{pmatrix}</math>である。
 
===行列の累乗===