「高等学校生物/生物II/タンパク質と生物体の機能」の版間の差分

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== 光合成の仕組み ==
* ヒル反応
1939年、ヒル(イギリス人)は、葉をすりつぶしたのを混ぜた水にシュウ酸鉄(III)をくわえた液を用意して、つぎの実験を行った。
この液に、光を与えると、酸素が発生し、またシュウ酸鉄(III)は、シュウ酸鉄(II)に還元された。この反応を'''ヒル反応'''という。このヒル反応では、二酸化炭素を除去した場合でも酸素が発生する。なので、ヒル反応は二酸化炭素を必要としない。
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光によって、水が分解され、酸素と水素イオンH<sup>+</sup>と電子e<sup>-</sup>に分解されると考えられた。
そして、光合成で発生する酸素は、二酸化炭素の由来ではなく、水に由来すると考えられた。
 
のちにルーベンが、酸素の同位体<sup>18</sup>Oを用いて、光合成で発生する酸素が水に由来することを直接的に証明した。
 
ルーベンはクロレラと酸素同位体を用いた実験で、
:CO<sub>2</sub>およびH<sub>2</sub><sup>18</sup>Oを与えた場合と、
:C<sup>18</sup>O<sub>2</sub>およびH<sub>2</sub>Oを与えた場合と、
をそれぞれ実験し、
 
この結果、H<sub>2</sub><sup>18</sup>Oを与えた場合からはクロレラから<sup>18</sup>O<sub>2</sub>が発生した。
しかし、C<sup>18</sup>O<sub>2</sub>およびH<sub>2</sub>Oを与えた場合からは、<sup>18</sup>O<sub>2</sub>が発生しない(これら一連の酸素同位体の実験を「ルーベンの実験」という)・
 
 
:※ 検定教科書では、啓林館および第一学習社が、専門『生物』(生物IIに相当)の教科書で、ルーベンの実験を詳しく扱っている。数研はルーベンの名前のみ。東京書籍は、無し。
:※ ルーベンの実験は、化学の基礎知識(放射性同位体など)も動員できる思考力を要求する試験問題(中間期末テストや入試など)にしやすいだろうから、ぜひとも高校生は理解しておこう。
 
 
なお、厳密には、自然界にも<sup>18</sup>Oは自然発生するので、実験で用いる C<sup>18</sup>O<sub>2</sub> や H<sub>2</sub><sup>18</sup>O は、自然界よりも酸素同位体<sup>18</sup>O を多く含む二酸化炭素および水である。(※ 啓林館がそう説明している)
 
 
なお、植物の生体内では、シュウ酸鉄のかわりにNADPが光合成のさいに水素を受け取る酸化剤として働いている。
 
=== カルビン・ベンソン回路 ===