「高等学校保健体育保健/精神の健康」の版間の差分

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適応障害
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要するに統合失調症とは、「意識を統合するのに失調する病気」というような意味である。
 
要するに、幻覚があり、なんだかよく分かんない精神病は、とりあえず「統合失調症」に分類されているような状態である。
 
なので、ためしにネットで「統合失調症」の説明を調べてみると「統合失調症の結果、怒りやすくなることがある」という説明もある一方で、「統合失調症の結果、落ち込んで行動力の無くなることがある」という対立するような説明すらあるような状況ですらある。
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:※ ワープロソフトなどで漢字変換しても、幻視と幻聴は変換で出てくるが、嗅覚と味覚の幻覚のほうは変換に出てこない。
 
 
 
統合失調症は、本人の倫理や思想などではなく、比較的に生物学的な要因が大きいとされ、遺伝的な影響が大きいとされる。
 
その根拠として、
:世界的にどの国でも発生率がどの国でも一定している事、
および
:養子に出された人の、生物学的親と養親とで、生物学的親が統合失調の場合、子の統合失調も多いという統計がある事、
 
などが根拠になっている。
 
医学書などでは、養子なので、生物学的親の教育の影響は無いだろう、という判断のようだ。
 
 
だが、実際の養子とは、必ずしも生物学的親と子の関係を絶つとは限らないので、やや気をつける必要がある。(てっきり「捨て子」をイメージしそうだが、そうではない。)
 
たとえば、親戚の家系が途絶えそうなので、その親戚の家に子を養子に出すという場合がある(作家の江川達也(漫画家)がそういう家庭である。なお作家本人がその経歴を公表している)。このような養子縁組の送り先がもとの家庭に近い場合、生物学的親と子の交流は、養子に出された後も続くだろう。
 
 
また、生物学的親が非・統合失調で裕福だがなんらかの理由で(たとえば上述のように)養子に出した場合などは、たとえば養親の家庭に資金援助のある可能性すらもありうる。
 
一方で、生物学的親が統合失調の場合、貧困な場合のほうが多いだろう。このように、統合失調の親と非統合失調の親では、経済状況も異なっている事を留意する必要がある。
 
[[File:Swan neck falsk experiments japanese.svg|thumb|450px|対照実験の生物学における例<br>パスツールのフラスコによるハエ発生の実験]]
 
[[File:Swan neck falsk experiments sealed japanese.svg|thumb|250px|]]
 
 
=== 医学の学説の精度の低さ ===
読者の学生としては、一見すると養子の統計解析はいわゆる「対照実験」のように見えるかもしれない。しかし医学では、実は厳密には対照実験が不可能である事を考慮しておく必要がある。
 
精神疾患にかぎらず、医学においては倫理的に、人体実験により健常者に重度の病気にかからせるような人体実験をするわけにもいかない。なので、医学では、人間特有の複雑な病気かつ重度の病気では、実は対照実験が出来ない場合が多い。特に精神医学では、動物実験すらも出来ない場合が多い(動物が幻覚を見てるかどうかすら、人間には不明である)。
 
また、倫理的・社会的な事情により、養子縁組で対照実験を、不特定かつランダムになるために強制的に養子縁組を法律的に強制するわけにもいかないので、サンプルがある程度は片寄っている可能性も考慮しなければならない。ネズミなどの動物実験ならば、親子のネスミを科学の進歩のために強制的に引きはがして生活させる等の動物実験も可能だが、しかし人間でそのような非人道的な実験をするわけにはいかないからである。
 
 
なので、医学の「対照実験」とされる実験や研究があるとしたら、それは相対的には「対照」性が高い実験・研究という程度のものにすぎず、けっして厳密に絶対的な対照実験ではない。このため、「対照実験」をもちいた研究の成果とされる学説の精度は、一般の物理学や化学・生物学などの学説と比べると、医学の学説はあまり精度が良くない事に、われわれは留意しなければならない。
 
このような精度の低い相対的「対照実験」で証明できるのは、けっして因果関係の証明ではなく、当面のあいだの相関関係の証明でしかない。(※ なお、「相関関係」の用語の数学的な意味についてはwikibooks高校数学の『[[高等学校数学I/データの分析#相関関係]]』を参照せよ。)
 
また学生のリテラシーとして知っておくべき事としては、実は、科学における「因果関係」の証明とは、とても難しく、とても多くの種類の実験を要求するのである。wikibooks『[[検定外高校生物#科学リテラシー]]』にあるだろう「コホート研究」の用語を調べてもらえれば分かるだろう。
 
小学校や中学校・高校などでは、教育時間の都合などにより、証明となる実験例を1つか2つなどの少数の実験にまとめざるを得ない。しかし実際に研究において因果関係を科学者コミュニティが証明するには、その何十倍もの多様な実験が科学者たち全体によって背景として行われている。学校の教科書では、何十種類もある実験例の中から、若者・子供や諸学者にも分かりやすいものを選んでいるだけに過ぎない。
 
 
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その他、患者に体験を語らせて自己分析させたり客観視させたりなどの方策もある。しかし、これもまた、効果は必ずしも、それほど良くない<ref>『標準精神医学』、医学書院、第7版、309ページ</ref>。
 
 
;適応障害
サラリーマンなどの社会人が新しい職場などで、仕事などがうまくいかないため、会社に行くのが不安などで、なじめないで困る事を、適応障害(てきおう しょうがい)という。
 
もしかしたら読者には疑問として、「そもそも医学であつかうべき病気なのか? 労働者の待遇や個人の労働観の問題では? 退職すればいいじゃん? あるいはパワハラ問題とか? 治療すべきは患者ではなく、転職しづらい日本社会では? ・・・(以下略)」などの疑問はわくかもしれない。だが現実として(日本だけでなく欧米などでも)世界的に、適応障害の患者には、患者が治療をもとめれば抗うつ薬(こううつやく)などが処方されたりする。
 
実際のところ、医学的にも「適応障害」についての分泌的な特異性のある原因は解明できていない。そのため「適応障害」という、原因のよく分からない現象論的な分類をされてしまっている。
 
「適応障害」の患者のほうも、会社をやめるのではなく、投薬をつづけながら、会社に通う、または休職しながらも会社員として勤務先に所属したままにしている(そういう人が、「治療」を希望する。そうでない人は、さっさと退職したり転職するので)。