「集合論」の版間の差分

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より細かくみると、次が成り立つ。
 
'''命題'''<ref name="AC" /> ''X''が空集合でないとき、写像<math>f:X \to Y</math>が単射であることは、<math>r \circ f=id_X</math>を満たす写像<math>r:Y \to X</math>(''f''の左逆写像、またはレトラクトという)が存在することと同値である。また、写像<math>f:X \to Y</math>が全射であることは、<math>f \circ s=id_Y</math>を満たす写像<math>s:Y \to X</math>(''f''の右逆写像、またはセクションという)が存在することと同値である。
:(証明)
:(単射性)''f''が単射のとき、<math>y \in Y</math>に対して<math>y=f(x)</math>を満たす''x''が存在すれば(ただ一つなので)その''x''を<math>r(y)</math>とし、<math>y=f(x)</math>を満たす''x''が存在しなければ適当な''X''の元<math>x_0</math>を<math>r(y)</math>とすることで写像''r''が定まり、この''r''は<math>r \circ f=id_X</math>を満たす。
183 行
有限集合であるための同値な条件はこのほかにもあるが、ここではひとつ挙げておく。
 
'''命題<sup>*</sup><ref name="AC">この節の中で「<sup>*</sup>」を付した命題は、選択公理のもとで成り立つ命題である。このページでは[[公理的集合論]]には深く立ち入らないが、気になる読者のために軽く述べておくと、現代的な集合論は集合を「ものの集まり」といった漠然とした形で定義せず、いくつかの公理を満たすものとして定義している。これを公理的集合論という。この公理は当然直感的に「成り立ちそう」な公理を集めているのだが、その中にある選択公理という公理は「怪しい」結果を招くことから歴史的に他の公理である区別されており、認める立場と認めない立場があるきた。そのため、選択公理を含まない公理系でも成り立つ命題なのか、選択公理を含む公理系でしか成り立たない命題なのかは、このように区別することがしばしばある。</ref>''' 集合Aが有限集合であることは、Aと対等なAの真部分集合が存在しないことと同値。
 
たとえば、偶数の集合は整数の集合の真部分集合だが、これらは対等である。有限集合ではこのようなことは起きない。