「ゲームプログラミング/バランス調整」の版間の差分

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プレイヤーの作業数を減らすことがバランス調整につながる
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=== プレイヤーの作業数を減らすことがバランス調整につながる ===
上述の、鎧と服の着替えは、プレイヤーの作業数を増やし、プレイヤーに面倒くささを感じさせます。
基本的に、プレイヤーに面倒なことをさせる設計は、その時点で既に「ゲームの難易度のバランスが崩れてしまっている」と用心したほうが良いでしょう。
 
 
そもそも、文明の発達では、人間に面倒な作業を減らさせるために、古代から製造業や産業などが発達してきた経緯があります。なのでゲーム中のアイテムの設計も、リアリティを考えるなら、あまりに面倒な作業をプレイヤーに要求させる設計なら、それはリアリティも欠けます。
 
 
たとえば、現実世界の現代の防具を考えてみましょう。
 
* 自衛隊や軍隊の防具は、防弾チョッキのように、動きやすさと弾丸への耐性を兼ね備えています。
* 消防士の消防服は、難燃性や火の粉の払いやすさなどの耐火性と、動きやすさなどを、兼ね備えています。
 
 
けっして現場での任務中の消防市が、現実では「動きやすいけど耐火性の低い特殊服」と「動きにくいけど耐火性の高い特殊服」をたびたび着替えたりなんて、しません。
 
なので、剣と魔法のファンタジーRPGのゲームでも、剣と魔法の両方に強い防具があるのが、リアリティからの見地です。
 
よって、RPGで、もし「剣には強いけど魔法には弱い」防具ばかりのRPGがあれば、ゲーム序盤の貧乏な開始時点での装備ならともかく、ゲーム中盤~後半の主人公に資金力などのある状態ですら防具の性能に偏りがあるなら、それはリアリティが欠けます。
 
 
しかしゲームでは時々、間違ったトレードオフの設計として、たびたび、ゲーム後半の資金力のある状態ですら、「剣には強いけど、魔法には弱い服」と「剣には弱いけど、魔法には強い服」を対戦相手や探索場所に応じて何度も着替えたりするような設計を、フリーゲームなどで見かけます。
 
この設計のまずいところとして、ゲーム中の後半では、RPGの場合なら操作キャラクターが増えることを見落としている事です。たとえば仲間として10人近くいるキャラクターを、いちいち装備を頻繁に変更して、「剣には強いけど、魔法には弱い服」と「剣には弱いけど、魔法には強い服」を対戦相手や探索場所に応じて何度も着替えたりするのは、かなり操作量が増えて面倒です。
 
このように、間違ったトレードオフ設計をゲームに導入してしまうと、リアルでない事自体のマズさに加えて、さらに操作性の悪さが派生的に加わってしまいます。
 
 
しかも、さらに、
:「毒攻撃に強いけど、他の攻撃に弱い服」、
:「マヒ攻撃に強いけど、他の攻撃に弱い服」、
:「石化攻撃に強いけど、他の攻撃に弱い服」、
:「即死攻撃に強いけど、他の攻撃に弱い服」、
:・・・
以下略を、ダンジョンに応じて毎回、着替えるのは、かなり面倒です。しかも仲間の人数分の掛け算です。
 
つまり、最低限の必要な着替えの回数の式が、間違ったトレードオフ設計をしてしまうと、
:着替えの回数 = 仲間の人数 × 特殊攻撃(毒・マヒ・石化、即死など)の種類数 × ダンジョン数
の式になります。たとえば例として、ゲーム後半の仲間の人数=10人、特殊攻撃の種類=10種類、ゲーム後半のダンジョン数×10、と仮定すると、
:10×10×10=1000
なので、プレイヤーに1000回の着替えの動作を、間違ったトレードオフ設計のせいで余計に必要としていまいます。
 
一言で言うと、クソゲー化しています。
 
しかも、この間違ったトレードオフ設計のマズい所として、ゲーム後半になるまでプレイヤーには問題点としては気づかれません。なぜなら、ゲームにおいて敵の毒攻撃やらマヒ攻撃やら何やらが熾烈になってくるシーンは大抵、ゲーム後半から、だからです。
 
このため、作家の周囲の仲間・友人も、開発初期の序盤では問題点に気づきづらく、なかなか改善しづらいです。
 
== 参考文献・脚注など ==