「ゲームプログラミング/バランス調整」の版間の差分

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これらを、もし、すべて同時に調整すると、とても大変になりますし、おそらく同時調整は不可能です。
 
なので、味方の基礎能力値、または敵の基礎能力値のどちらかを先に、大まかにエイヤッと決めます。一般に、目立ちやすいパラメータを、調整前に、先におおよその数値を決める言になるでしょう。
 
なので、一般に、目立ちやすい部分は、調整前に、先におおよその数値を決めてしまいましょう。
 
そして、調整の実行では、ほぼ1種類のパラメータだけに限定して調整できるようにしましょう。
 
数学的にたとえるなら、ゲームバランスは多変数関数であり、敵の強さと味方の強さによって決まる「相対値」です。それぞれの戦闘の攻略のしやすさは、敵の強さと味方の強さとの差し引き、または割合といった相対値で決まります(「強さ」をどう定量化するかは、ともかく)。
 
とにかくゲームバランスは相対値ですので、敵または味方の強さを先にエイヤッと大まかに決定しておかないと、もう片方の相手陣営の強さを決定できません。
 
 
なお、仲間のパーティキャラが8人や10人も多くいるゲームの場合、それぞれの仲間の強さを決めるには、先に基準になる仲間キャラクター1人~2人を決め、その基準キャラからの相対値で決めるとラクです。ただし、その相対値の式を決定するために、通しプレイが何通りかのパーティの調整のため数回ほどプレイが必要になります。
 
同様に、装備の種類が槍・剣・斧・メイス・鞭・フレイル・弓などなど、何種類もある場合、基準になる武器を1種類か2種類、決めます。
 
 
結局のところ、仲間の数が多い、装備品の数が多いなど、要素が多ければ多いほど、なんだかんだで通しプレイの必要な回数も増えます。たとえ式を使ってプレイ回数を減らそうにも、その「式」を調整する事自体に通しプレイが必要です。通しプレイをしないで済ますような上手い方法なんて、無いのです。
 
 
ゲームが長編になる場合、まずはプロトタイプ的に、序盤をやや多めに通しプレイをして、とりあえず序盤のバランスがゲームとして面白くなるように調整します。とはいえ、ゲーム制作当初は、そもそも終盤のストーリーがまだ未完成だったりするので、意図せずとも、こういったプロトタイプ的に序盤をやや多めに調整する方法が自然に行われる事になります。
 
 
なお、フリーゲームや同人ゲームなどでも、よく開発版未公開の部分(たとえばゲーム後半部など)を、リバースエンジニアリングしてみてデータの中身をのぞいてみると、データの種類によって、ほとんど完成版と数値が同じ種類のパラメータもあれば、まったく数値の違うパラメータもあります。
 
操作キャラクターの基礎能力値や、装備品の能力は同じなのに、敵の強さが違っていたりします。
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なので、事前に、優先的に実現したい機能を明確に決めておく必要があります。
 
なので設計のさいに、優先度べつに到達目標を作っておく必要があります。
 
 
欧米の経営者が、経営哲学でよく「目標はすべて実現しようとするのではなく、優先度の差をつけろ」というのは、おそらく、こういう事を言ってるのでしょう。日本人の知ってる例でも、ソニーの元経営者のハワード=ストリンガーは「アブストラクトを作れ」と日本社員に言ってたようですし(ここでいうアブストラクトとは、けっして日本語でいう「抽象」ではなく、論文とかの冒頭に書く要点の文を「アブストラクト」と言うように、要点のことであり、つまり設計の際に優先実現したい機能のこと)。米国アップル・コンピュータのジョブスなども似たような事を言っていました。
 
 
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:もし数学の用語に読者が詳しいなら、「パラメータ・バリエーション」とは、実験による検証において「偏微分」(へんびぶん)や「変数分離法」を合わせたような、謎(なぞ)の調整手法を、解を求める代わりに擬似的に実験(ゲームの場合ならテストプレイ)で用いたモノという表現でしょうか。
:ちなみに物理学の解析力学という分野にある「変分法」(へんぶんほう)という計算手法を英語でバリエーションというが、しかし、ギルブレスのいう「パラメータ・バリエーション」は明らかに(物理学の)変分法とは別の手法である。
 
 
=== 各論 ===