「線型代数学/線型空間」の版間の差分

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以下、特に断りなければ<math>K</math>を体(field)とする。一般の体をよく知らない場合には、<math>K</math>を<math>\mathbb{R},\mathbb{C}</math>などに読み替えても概ね差し支えない。
 
一般の体<math>K</math>上の'''線型空間'''(linear space)とは、次の公理を満たすような集合(set)のことである。
 
'''公理'''
47 行
 
'''定義''' <math>K</math>上のベクトル空間<math>V</math>の部分集合<math>S = \{ v_1,v_2, \cdots , v_n \}</math>に対し、
:<math>< \langle S> \rangle = \{ \sum_{i=1}^n a_i v_i | a_i \in K \}</math>を<math>S</math>が<math>K</math>上で生成する部分空間といい、<math>S</math>をこの部分空間の'''生成系'''という。
 
=== 基底と次元 ===
58 行
一般の線型空間においてもこのようなベクトルの組があれば便利である。そのようなものがあるとき、このベクトルの組に特別な名前をつけよう。
 
'''定義''' <math>x_1,x_2,\dots,x_n</math>を<math>V</math>の元の組とする。<math>V</math>の任意の元<math>x</math>に対し、<math>x = a_1 x_1, + a_2 x_2 + \cdots + a_n x_n</math>となる<math>K</math>の元の組<math>a_1,a_2,\dotscdots,x_na_n</math>が線型独立であ唯一つ存在するとき、<math>x_1,x_2,\dots,x_n</math>は<math>V</math>の'''基底'''(basis)であるという。
 
注意すべきなのは、基底は一つの線型空間に対し一組とは限らないということである。たとえば、先ほどの<math>e_1,e_2,e_3</math>も<math>\mathbb{R}^3</math>の基底であるが、一方
67 行
 
'''命題''' <math>x_1,x_2,\dots,x_n</math>と<math>y_1,y_2,\dots,y_{n'}</math>を<math>V</math>の基底とすると、<math>n=n'</math>
 
<!--- '''証明''' <math></math> --->
 
 
つまり、(もし基底が存在すれば)基底の元の数は一定である。言い換えると、基底の元の数は各線形空間に固有の数値である。そこで、この数に名前をつけることにする。
 
'''定義''' <math>x_1,x_2,\dots,x_n</math>という<math>V</math>の基底が存在するとき、<math>n</math>を<math>V</math>の'''次元'''(dimension)といい<math>\dim V</math>であらわす。このとき<math>V</math>は<math>n</math>次元<math>K</math>線型空間であるという。
 
そのよう<math>dim V = n</math>とる自然数<math>n</math>が存在するとき、<math>V</math>は有限個のからなであ基底という。そのような<math>n</math>が存在しないとき、<math>V</math>は無限次元であるといい。<math>dim V = \infty</math>と書く。また、<math>\{ \mathbf 0 \}</math>は最も最小の線型空間であるが、この線型空間の次元は、<math>dim \{ \mathbf 0 \} = 0</math>であるとする

実は、無限次元線型空間には無限個の元からなる基底が存在することが知られている。例えば、上で例としてあげた線型空間は最初の<math>K^n</math>以外は無限次元の線型空間であるが、<math>K[X]</math>には<math>1,X,X_2,X_3,\cdots</math>という基底がある。<math>C^\infty(\mathbb{R})</math>の基底や<math>\mathbb{R}</math>の<math>\mathbb{Q}</math>上の基底はここまで簡単に書き表すことはできないが、存在することは知られている。
 
=== 部分空間 ===
線型空間の部分集合がまた線型空間になっていることがある。そのようなとき、この部分集合を線型部分空間(あるいは単に部分空間)という。正確に書けば以下のとおりである。
 
'''定義''' <math>W \subset V</math>が次の性質を満たすとき、<math>W</math>は<math>V</math>の'''線型部分空間'''(linear subspace)であるという。
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公理3は一見すると公理2から導かれるように見えるが、そうではない。なぜならば、空集合は公理1,2を満たすが、公理3を満たさない。公理3は空集合は部分空間と呼ばないようにするための公理である。
 
'''命題''' <math>V</math>を線型空間、<math>W</math>を<math>V</math>の線型部分空間であるとき、<math>dim V \ge dim W</math>
 
== 線型写像 ==