「薬理学/生理活性物質と消化器作用薬」の版間の差分

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現代では、'''アモキシシリン'''、'''クラリスロマイシン'''に加えて、'''プロトンポンプ阻害薬'''を併用する'''3剤併用療法'''が一般的である。
 
 
== 腸の下痢と便秘 ==
=== 「下痢」とは ===
「下痢」と効くと、なんとなく細菌性の印象を受けるかもしれないが、しかし医学的には感染によるかどうかは無関係であり、
「下痢」とは単に、通常時の便と比べてやわらかく液状の便を出すことである<ref>『標準薬理学』、P542</ref>。
 
なので、たとえば神経性の大腸過敏症による場合でも「下痢」に含まれる<ref>『NEW薬理学』、P492</ref>。
 
 
下痢によって電解質が失われるが、しかし下痢は体内の病原菌などを排出する防御反応として起きている場合もあるので、
 
重篤な下痢でもないかぎり、むやみに下痢を抑制しないほうが安全であるし<ref>『NEW薬理学』、P492</ref>、むしろ、むやみに下痢止めするのは有害である<ref>『パートナー薬理学』、P333</ref>。
:(※ 電解質は、栄養剤でも飲んで補充すれば済む。)
 
 
なので、感染症による重篤な下痢の場合、たとえば、いったん排便を促したあとに、次に下痢止めを投与するなどの処置が必要になる<ref>『NEW薬理学』、P492</ref>。
 
上述では「下痢止め」といったが医学的には止瀉薬(ししゃやく)、制瀉薬という。
 
 
=== 下剤 ===
腸狭窄、腸閉塞の際には、下剤は禁忌である<ref>『パートナー薬理学』、P333</ref>。
:※ なお、便にかぎらず尿でも、尿道の閉塞・狭窄では利尿剤は禁忌のはず。
 
なお、閉塞などによる便秘にことを器質的便秘という<ref>『標準薬理学』、P542</ref>。なので、器質的便秘の際には下剤は禁忌である。
 
なお、腸の活動低下または活動の異常な亢進による便秘は、機能性便秘という<ref>『NEW薬理学』、P494</ref><ref>『標準薬理学』、P542</ref>。
 
それ以外の、一般の便秘の際に、便を出させるために下剤が使われる。病原体の排出のほか、毒物や有害物質を飲み込んだ場合の便による排出にも下剤は使われる<ref>『NEW薬理学』、P494</ref>。
 
 
;塩類下剤
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウムは腸管から吸収されず、浸透圧作用<ref>『標準薬理学』、P543</ref>やその他の作用<ref>『NEW薬理学』、P494</ref>により、下剤になる。
 
ナトリウム系、マグネシウム系ともに<ref>『NEW薬理学』、P494、表X-9 『作用機序による下剤の分類』</ref>、腎不全のある患者には電解質異常を起こすので注意<ref>『標準薬理学』、P543</ref>。
 
;刺激性下剤
天然の下剤としては、'''ヒマシ油'''も刺激性下剤である。
 
 
アロエ<ref>『シンプル薬理学』、P206</ref><ref>『パートナー薬理学』、P334</ref>、センナ<ref>『標準薬理学』、P543</ref><ref>『パートナー薬理学』、P334</ref>も刺激性下剤である。
 
センナ、アロエの副作用に骨盤腔の充血があるので、妊婦には禁忌<ref>『パートナー薬理学』、P334</ref><ref>『NEW薬理学』、P494、表X-9 『作用機序による下剤の分類』</ref>。
 
 
== 脚注 ==