「薬理学/生理活性物質と消化器作用薬」の版間の差分

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催吐薬と制吐薬
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現代では、'''アモキシシリン'''、'''クラリスロマイシン'''に加えて、'''プロトンポンプ阻害薬'''を併用する'''3剤併用療法'''が一般的である。
 
 
== 催吐薬と制吐薬 ==
催吐薬(さいとやく)という、嘔吐をさせる薬があるが、しかし実用できる機会は少ない。
 
なぜなら、意識の無い場合、嘔吐させると肺に嘔吐物が入り窒息の危険があるので禁忌である。
 
意識のある場合、咽頭を機械的に刺激して嘔吐させるのが安全で確実である<ref>『パートナー薬理学』、P330 </ref>。
 
 
催吐薬には、アヘンアルカロイド<ref>『パートナー薬理学』、P331 </ref>の'''アポオルヒネ'''や、生薬の吐根(トコン)<ref>『パートナー薬理学』、P330 </ref>のアルカロイドの'''エメチン'''がある。
 
 
嘔吐の生理学的な機序としては、延髄最後野にある化学受容器引金帯(CTZ)は、この部分の血液脳関門は未発達であるので、
誤って誤飲した毒物・危険物などが血中に乗れば作用するようになっており、
CTZに作用が加わると胃に嘔吐させる仕組みになっている。
 
つまり、血中の毒物などの濃度のモニターとしてCTZは機能している<ref>『標準薬理学』、P548 </ref>。
 
 
ドパミンD<sub>2</sub>受容体を刺激すると嘔吐を催すのは、CTZにドパミンD<sub>2</sub>受容体が存在するからである。
 
 
催吐薬の'''アポモルヒネ'''は、CTZのドパミンD<sub>2</sub>受容体を刺激して、嘔吐させる<ref>『標準薬理学』、P548 </ref>。
 
催吐薬のエメチンも、CTZに作用して嘔吐させる仕組みである<ref>『標準薬理学』、P551 </ref>。エメチンは甘味料を加えたトコンシロップとして用いられる。