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[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
 
==条文==
[[w:連帯債務|連帯債務者]]の一人についての[[w:時効|時効]]の完成よる相殺等
;第439条
: #連帯債務者の一人のために時効完成債権者に対たときはて債権を有する場合において、その連帯債務者の負担部分についてが相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者も、そ義務を免れ利益のために消滅する。
#前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、そ の連帯債務者の負担部分'''の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒む'''ことができる。
 
====改正経緯====
2017年改正
#改正前は以下の条項が規定されていたが削除。
*[[民法第434条]]#:(連帯債務者の一人に対する履行ついて請求時効の完成
#::連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。
#改正前、第436条に置かれていた「[[w:連帯債務|連帯債務者]]の一人による[[w:相殺|相殺]]等」の条項を改正の上移動。
##連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
##前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分'''についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用する'''ことができる。
 
==解説==
連帯債務関係の存続に関する規定群の一つである。
消滅時効の完成は、その負担部分に限ってのみ、効果を生じる。
 
===1項===
連帯債務者の一人が、債権者に対して有する反対債権を自働債権として相殺権を行使した場合、債権は対当額で消滅する。その効果は、他の連帯債務者も主張することができる。すなわち、[[w:相殺|相殺]]は弁済や免除と並んで絶対的効力事由となっている。
 
===2項===
連帯債務者の一人が、債権者に対して反対債権を有する場合に、その相殺権を行使しないときは、改正前は、反対債権を有する債務者の負担部分を限度として、他の連帯債務者が「相殺を援用することができる」としており、文言の意味については以下のとおり争いがあったが、改正により判例法理を変更し、抗弁権説により規定された。
;相殺権説
:文言通り、他の連帯債務者は相殺権を行使でき、その場合に債権は絶対的に消滅するのだという説。
:判例の立場(大昭和12.12.11)。
;抗弁権説
:反対債権を他の連帯債務者が勝手に行使するのは私的自治のゆきすぎた制約になるとする立場からは、他の連帯債務者は反対債権に相当する額だけ弁済を拒絶できるに過ぎないという説。
 
第2項について、次の例で考える。連帯債務者S1とS2が債権者をGとする債務を負っているが、S2がGに反対債権をもっている。しかしS2が相殺適状にあるにも関わらず相殺しないままGがS1に全額について請求した。
 
この場合、もしS1が全額を弁済すると、S1はS2に求償する。S2は、S1に求償するぶんを調達するため、Gにもっていた反対債権を取り立て、S1に弁済する。確かに、これで妥当な結論が得られるが、まわりくどい。そこで、改正民法はS1がGからの請求に対して弁済を拒絶することができることを規定した。つまり、S1は、S2がS2自身の負担部分とS2がもっている反対債権でS2が相殺するまで、S1自身の負担部分だけを弁済すればよい。
 
==参照条文==
*[[民法第167条]](債権等の消滅時効)
*[[民法第434条]](連帯債務者の一人に対する履行の請求)
*[[民法第440条]](相対的効力の原則)
 
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