「薬理学/感染症の治療薬」の版間の差分

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ページの作成:「「抗菌薬」と言った場合、細菌をやっつける薬のこと。ウイルスをやっつけるかどうかは不明。 ウイルスをやっつける薬には…」
 
選択毒性
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医学書によくある説明では、「抗菌スペクトルとは、抗菌薬がどの細菌に有効かの範囲を示したもの」のように「有効」とか「範囲」とかの用語で説明されるが、要するに上述の意味である。
 
=== 抗菌薬の原理 ===
たとえば、ヒトには細胞壁が存在しないが、細菌には細胞壁が存在するものも多い。したがって、細胞壁を標的として攻撃する薬物は、細菌のみを選択的に攻撃できる。このように、抗菌薬などが薬物がヒト以外の病原体や微生物だけを攻撃する性質のことを'''選択毒性'''という。
 
選択毒性は、ヒトと細菌との違いさえあればいいので、なにも細胞壁だけでなく、たとえば葉酸の合成の可否の違いでもいい。
 
ヒトは葉酸を合成できない。しかし、細菌には葉酸を合成できるものもある。
 
なので、葉酸の合成を阻害する薬は選択毒性が高い。
 
そして実際に、抗菌薬として葉酸合成を阻害する機序の抗菌薬もある。
 
 
 
一方、(細胞壁ではなく、細胞「まく」、)細胞膜の合成を阻害する原理の抗菌薬もある。ヒト細胞にも一般の動物細胞にも細胞膜があるので、必ずしも選択毒性は低くない<ref>『パートナー薬理学』、P461</ref>。だが、様々な理由により、細胞膜合成阻害の方式による抗菌薬も使われている。
 
=== グラム染色 ===
上述したとおり、細胞壁を攻撃する薬物は選択毒性いが高いので。抗菌薬として都合がいい。
 
細胞壁を構成する主な成分はペプチドグリカンである。
 
細菌の分類について抗菌薬や微生物学では、細菌をグラム陰性菌かグラム陽性菌かで分類する事が多い。
 
 
グラム陽性やグラム陰性とは、グラム染色という染色法によって分類される。
 
グラム陽性菌とグラム陰性菌とで、細胞壁構造が異なる。ペプチドグリカン層などの厚さに違いがある。
ペプチドグリカン自体は、グラム陽性菌もグラム陰性菌も細胞壁に保有している。
 
なお、グラム陰性菌は膜に脂質が比較的に多い<ref>『はじめの一歩の薬理学』、P272</ref><ref>『標準薬理学』、P421 </ref>。
 
== 脚注 ==