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医学用の流体力学
(医学用の流体力学)
 
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== 流体力学 ==
大学の生理学では伝統的に、流体力学の初歩の内容が教えられている。主に、下記のベルヌーイの法則などが教えられている。
応用としては、主に、人間の血管の血圧などの理解や測定などに応用されている。
 
{{コラム|医学における流体力学を学ぶにあたっての注意|
※ はたして、機械工学科などでよく教えていてるような金属管(またはガラス管)などの硬い剛体管の中での流れ解析の理論を、血管のような弾力的な管に適用していいかのかという厳密性の問題はあるが、しかし伝統的に大学の生理学教育では、剛体管のような管での流体力学が生理学でも教えられている。
 
上記の注意は、『標準生理学』でも同様の内容が述べられている<ref>『標準生理学』、P533 </ref>。あくまで近似的なものである。
 
医学部での血管の流体力学では、水や油など、単純な流体を想定すればいい。
 
なお、機械工学的には、水とは異なり、さらに発展的に粘度が変数になるような流体を扱う「レオロジー」という学問分野もあるが(『標準生理学』にも「レオロジー」という用語が章の冒頭文にある(P.533))、しかし レオロジ-は工学部でもまだ大学院レベルの研究段階であり、まだ医学部などに教えられるような体系的な段階にはなってないので、医学部では当面、レオロジーは学ばなくていい。
 
普通の水や油では、 粘度は物質に固有な定数としていい。(おそらく理科年表などを見れば書いてあるだろう。もし無くても、機械工学や土木工学などの流体力学の初歩の本を読めん場書いてある。)
}}
 
 
[[File:Venturifixed2.PNG|thumb|ベンチュリ管を流れる液体の流れ]]
 
流体のエネルギーは以下の式で表される。
 
:<math> p + \frac{\rho V^2}{2} + \rho gz = constant </math> [Pa]
 
この関係式を'''ベルヌーイの原理'''(Bernoulli's principle)という。なお、ρは密度である。h は基準面からの高さである。
 
 
重要なのは、つまり流体のエネルギーでは、圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーを考える必要がある。
 
もちろん、ベルヌーイ式中の変数pが圧力エネルギーである。
 
ρghは位置エネルギーである。
 
なお、上式中のポテンシャルエネルギーは、圧力エネルギ- p と位置エネルギー ρgh の合計二つである。
 
<math>\frac{\rho V^2}{2}</math> は運動エネルギーである。
 
 
そして、ベルヌーイの式の主張する内容はつまり、
流体エネルギー保存則式は、圧力エネルギ-、運動エネルギー、位置エネルギーの合計が(摩擦などの無い限り)一定である事を主張している。
 
 
厳密には摩擦などがあるので、摩擦によってエネルギーの散逸(さんいつ)があるので、流れのエネルギーの合計は位置ごとに違っていたりして一定ではない。しかし、摩擦があるのは何も流体力学だけでなく、高校で習う物理I(『物理基礎』)とかの力学だって摩擦を考えた場合はエネルギー保存の式が成り立たないので、そういのと同じことである。
 
なので、ベルヌーイの式は、流体の法則をよく説明している。
 
 
摩擦の無い流体のことを、「理想流体」という。上述のような初等的なベルヌーイの式が扱っている流体も、理想流体である。
流体力学の理論的には、「粘度」(ねんど)と呼ばれる物性値がゼロであれば、「理想流体」と見なせる(というか、書物によっては「理想流体」の定義。たとえば『標準生理学』が粘度がゼロであることを理想流体を定義している<ref>『標準生理学』、P533 </ref>)。
 
 
なお、hは基準面からの高さである。
 
分野によって、同じ法則を「ベルヌーイの法則」と呼んだり、「ベルヌーイの定理」(Bernoulli's theorem)と呼んだり、多少の呼び名のゆれがある。ギャノング生理学が「ベルヌーイの原理」、『標準生理学』は「ベルヌーイの定理」で呼んでいる。
:※ なお、theorem は「セオレム」と読む。
 
上のベルヌーイ式の変数 p は、『標準生理学』では「側圧」(lateral pressure)と呼んでいる<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref>。
 
:※ なお一般的な機械工学書では、ベルヌーイ式の p は「静圧」(static presure)と呼んでいる<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref><ref>原田幸夫『工業 流体力学』、槇書房、2002年9月20日 6刷 発行、P48 </ref>。
 
実験的な事実として、右のベンチュリ管の図のように、管路が狭まると、圧力は低くなる。(※ ギャノング生理学にも、ベンチュリ管の図が描いてある。)
これは、管路がせばまったので流速が速くなったが、流体の合計エネルギーを一定にするためにそのぶんpの値が小さくなったからである、と解釈される。
 
ベンチュリ管から縦に突き出ている細長い垂直な管の水面の高さは、静圧(つまり側圧)に比例している<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref>。
 
 
ベルヌーイ式中の ρgh または係数(ρg)を省いた hは、工学では一般に「位置水頭」とか「位置ヘッド」(potential head)とか言う。
だが医学では、人体の「頭」との区別から、 ρgh または h を「位置水頭」(potential head)と呼ぶのが良いだろう。『標準生理学』でも、「位置水頭」(potential head)と呼んでいる。
 
 
工学では、どちらかというと定数を省いた「h」だけを「位置ヘッド」および「位置水頭」と呼ぶ場合が多いが<ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref><ref>原田幸夫『工業 流体力学』、槇書房、2002年9月20日 6刷 発行、P48 </ref>、あまり本質的ではないので、本wikiでは深入りしない。また『標準生理学』では区別せず、 ρgh を「位置水頭」と呼んでいる<ref>『標準生理学 第8版』、P.554</ref><ref> 中山康喜『改訂版 流体の力学』、養賢堂、2004年3月10日 第7版 発行、P57 </ref>。
:※ 工学の場合、呼び名を覚えさせる問題なんて出ないので。
 
呼び名が無いと不便なので本wikiでは、ベルヌーイの定理の計算における h または ρgh を「位置水頭」と呼ぶことにしよう。 本wiki中で h または ρgh のどちらを呼んでいるかは、読者が文脈から適宜に判断してもらいたい。
 
さて、
ベルヌーイの式は、下記のように両辺を ρg で割り算して式変形できる。
:<math> \frac{p}{\rho g} + \frac{V^2}{2g} + z = constant </math> [Pa]
こちらの式が「ベルヌーイの原理」または「ベルヌーイの定理」などとして紹介される場合もある。
 
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