「戦術学入門」の版間の差分

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ランチェスターの法則の説明が間違っている。士気の定量化ではない。
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==== 戦闘力 ====
===== ランチェスターの法則 =====
戦闘力(Capacity of battle)とは各部隊が戦闘を遂行する能力を指す概念である。戦闘力の優劣によって戦闘を実施する部隊の戦果の原因が説明され、また戦果の予測も左右される。戦闘力を具体的にどのような要素から判断するのかについては古典的な分析として、まず物的な局面に注目するものがある。兵員と装備の物量が大きければ大きいほど戦闘力は向上するものであり、例えば100名の兵員から組織される部隊は50名から組織される部隊に対して2倍の戦闘力を有しているとする分析である。しかし戦闘力をさらに詳細に分析するならば、兵員の規律や士気などの無形的要素を組み合わせなければならない。つまり、火力部隊の戦闘力は火砲とそれを操作する射撃要員の物量という有形的要素と、砲兵火力を発揮するための射撃の速度、精度、士気から判断される無形的要素から導き出すことができる。したがって100名の統制がとれていない武装した群衆と50名の規律ある戦闘部隊の間には戦闘員としての錬度、団結、そして士気という無形的要素に由来する戦闘力の格差が存在していると指摘できる。このような戦闘力の議論は現在では作戦研究の領域で数学的方法が応用されており、その基本的モデルとしてランチェスターのモデルなどが提案されており、兵棋演習の戦果や損害の計算法として採用されている。しかし、戦闘は戦力の戦闘力の合計によってのみ左右されるのではなく、戦闘力を戦場に配置する戦闘陣によって規定される。
戦闘力(Capacity of battle)とは各部隊が戦闘を遂行する能力を指す概念である。戦闘力の優劣によって戦闘を実施する部隊の戦果の原因が説明され、また戦果の予測も左右される。戦闘力を具体的にどのような要素から判断するのかについては古典的な分析として、まず物的な局面に注目するものがある。
 
兵員と装備の物量が大きければ大きいほど戦闘力は向上するものであり、例えば100名の兵員から組織される部隊は50名から組織される部隊に対して2倍の戦闘力を有しているとする分析である。
 
このような基本的モデルとしてランチェスターのモデルなどが提案されており、兵棋演習の戦果や損害の計算法のひとつとして採用されている。
 
 
ランチェスターのモデルとは、幾つかの種類があるが、そのうち有名なモデルの内容は、現代ではゲームに例えると思うのでその例で説明すると、RPG(ドラクエやファイナルファンタジーのようなジャンル)のパラメーターに例えるなら、兵員数がHPと攻撃力を兼ねるモデルである。
 
このような戦闘力の定量的な議論は、現在では数学的方法が応用されており、たとえば上述のランチェスターの法則は、高校レベルの微分方程式(常微分の連立微分方程式)で表すことも可能である。実際、大学生むけの入門的な応用数学の教科書のいくつかを見てみると、ランチェスターの法則が微分方程式の式計算問題が項目で紹介されているような書籍も幾つかある。
 
ランチェスターの法則から導ける結果として、もし兵員数が2倍になると、その効果は、けっして単に敵の2連戦に耐えられるような長期戦の対応だけでなく、さらに攻撃力アップによる、次に述べる副次的な別の効果がある。
 
具体的には、兵員が増えれば仮定により戦闘力(ゲームで言う「攻撃力」)もアップするので、いままで倒せなかった強い敵国の軍が倒せるようになる可能性が増える。また、攻撃力がアップすることにより、敵軍の殲滅(ゲームに例えるなら戦闘中の敵全員のHPを0にする事)に要する時間が減少するので、殲滅までに受けた自軍の損耗も減らせる。つまり自軍の被害は、戦闘終了までに受けた時間に応じて、比例的に増加する事がランチェスターの法則から導かれる(なお、ドラクエなどのRPGゲームでも同様の現象がある事が知られている)。
 
ともかく、兵員数の増加には、上述のように副次的な効果がある。
 
このため、よく言われる事として、兵員数の2倍への倍増は、その効果はけっして2倍ではなく、上述の副次効果により乗数的に効果が出るので、たとえば4倍~8倍くらいの効果になる場合もある(実際にどの程度の効果が出るかは、モデルの係数などによって変わる)。
 
こういった数学的な事が、近代ヨーロッパでは既に言われていたので、なので現実の世界史の戦争での用兵もそれに従い、その結果、なるべく兵力は分散させずに、兵力を拠点や作戦目標などに集中させる戦術が実際に好まれ、多くの戦場で採用された。
 
近代世界史におけるシベリア鉄道など鉄道による兵員輸送や軍需物資輸送などによって軍事力が向上するという理屈も、なぜ向上するのかという理由を根本的に考えれば、ランチェスターの法則のような考え方が前提になっているだろう。
 
 
===== 実際の戦闘力 =====
しかし戦闘力をさらに詳細に分析するならば、兵員の規律や士気などの無形的要素を組み合わせなければならない。つまり、火力部隊の戦闘力は火砲とそれを操作する射撃要員の物量という有形的要素と、砲兵火力を発揮するための射撃の速度、精度、士気から判断される無形的要素から導き出すことができる。したがって100名の統制がとれていない武装した群衆と50名の規律ある戦闘部隊の間には戦闘員としての錬度、団結、そして士気という無形的要素に由来する戦闘力の格差が存在していると指摘できる。
 
また、戦闘は戦力の戦闘力の合計によってのみ左右されるのではなく、戦闘力を戦場に配置する戦闘陣によって規定される。
 
==== 戦闘陣形 ====