「旧課程(2013年度-2021年度)高等学校数学I/数と式」の版間の差分

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73 行
; 例題
 
* (例題1)
 
<math>\begin{align}
231 行
分母を有理化せよ。
 
#  <math>\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{12}} </math>
#  <math>\frac{\sqrt{2} + 2 \sqrt{3}}{3 \sqrt{2} - \sqrt{3}} </math>
 
* 解答
 
#  <math>\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{12}} \ = \ \frac{\sqrt{2}}{2 \sqrt{3}} \ = \ \frac{\sqrt{2} \sqrt{3}}{2 \sqrt{3} \sqrt{3}} \ = \ \frac{\sqrt{6}}{6}</math>
#  <math>\frac{\sqrt{2} + 2 \sqrt{3}}{3 \sqrt{2} - \sqrt{3}} \ = \ \frac{(\sqrt{2} + 2 \sqrt{3})(3 \sqrt{2} + \sqrt{3})}{(3 \sqrt{2} - \sqrt{3})(3 \sqrt{2} + \sqrt{3})} \ = \ \frac{6+ \sqrt{6} + 6 \sqrt{6} +6}{(3 \sqrt{2})^2 - (\sqrt{3})^2} \ = \ \frac{12 + 7 \sqrt{6}}{18-3} \ = \ \frac{12 + 7 \sqrt{6}}{15}</math>
 
304 行
 
「 27 は自然数の集合の要素である」といえる。
7以下の自然数の集合の要素は、1と2と3と4と5と6と7 である。
(※ 範囲外? )なお、数学的には、区別がはっきりしさえすれば、例えば「△△高校の今の3年B組の生徒全員」等も集合として考えることができる。かならずしも「集合」とは「自然数」や「整数」などの数でなくてもいい。
 
481 行
 
補集合について、次のことが成り立つ。
A∩<span style="text-decoration: overline">A</span>=φ ,   A∪<span style="text-decoration: overline">A</span>=U ,   <math>\overline{ (\overline{ A }) }</math> =A 
 
; ド・モルガンの法則<ref>[[ファイル:AugustusDeMorgan.png|サムネイル|ド・モルガン]]
533 行
 
===== 命題と条件 =====
====== 命題 ======
(数学的に)正しいかどうかを明確に判断できる主張を'''命題'''(めいだい、英: proposition)と呼ぶ。 例えば、「7は素数である」は命題の例である。 (一方、「5000は大きい数である」などは命題とはならない。なぜなら「大きい」という言葉の判断が主観的なものであり、判断に明確な基準が設定できないからである。)
数学的に正しいかどうかを明確に判断できる主張を'''命題'''(めいだい、英: proposition)と呼ぶ。
 
ある命題が明確に正しい(と証明される)とき、その命題は'''真'''(しん、英:truth): truth)であると呼ぶ。(たとえば、命題「7は素数である」は真である。) 命題が真でないとき、命題は'''偽'''(ぎ、英:false): false)であると言う。たとえば、命題 「 もし <math>x^2 = 4</math> であれば <math>x = 2</math> である。 」 は、偽の命題である。 この方程式は<math>x = -2</math>も解に持つ
例;
* 命題「7は素数である」は真である。
* 命題「11は偶数である」は偽である。
(数学的に)正しいかどうかを明確に判断できる主張を'''命題'''(めいだい、英:* proposition)と呼ぶ。 例えば、「7は素数である」は命題の例である。 (一方、「5000は大きい数である」などは命題ならない。なぜなら「大きい」という言葉の判断が主観的なものであり、判断に明確な基準が設定できないからである。
 
上の命題"実数<math>x^2 = 4</math>ならばについて、<math>x^2 - 4 = 20</math>である"のように、<math>x = -2</math>もあてはまるで偽た。 命題<math>\rm p \Rightarrow q</math>がて真であの定まときは主張を、<math>px</math>は満たすが<math>q</math>を満たさない例が存在に関する。そのような例を'''反例条件'''(はんれい)という。'''命題が偽であることを示すには、反例を1つあげればよい。'''
 
====== ならば ======
命題は、「pならばqである」の形式で書かれる場合が多い。
条件<math>p,q</math>について、<math>p</math>が真のとき、必ず<math>q</math>が真となるとき<math>p</math>ならば<math>q</math>といい、<math> p \Rightarrow q</math>とかく。このとき、条件<math>p</math>を'''仮定'''(assumption)、条件<math>q</math>を'''結論'''と呼ぶ。
これを表にすると以下のようになる。
{|class="wikitable" style="text-align:center"
: !p!!q!!<math> \rm p \Rightarrow q </math>
|-
|真||真||'''真'''
|-
|真||偽||'''偽'''
|-
|偽||真||'''真'''
|-
|偽||偽||'''真'''
|}
 
また、<math>p</math>が偽であるとき、<math>p \Rightarrow q</math>は無条件で真となる。なぜ?と思うかもしれないが、とっても自然なことである。たとえば、「エヌ氏が新宿にいる ならば エヌ氏は東京にいる」という命題について考える。エヌ氏が新宿にいるとき、「エヌ氏は新宿にいる」は真であり、「エヌ氏は東京にいる」も真であるので、「エヌ氏が新宿にいる ならば エヌ氏は東京にいる」は真である。次に、エヌ氏が渋谷にいるとき、「エヌ氏は新宿にいる」は偽であるが、「エヌ氏は東京にいる」は真である。最後に、エヌ氏が京都市にいるとき、「エヌ氏は新宿にいる」は偽であり、「エヌ氏は東京にいる」も偽である。
「 pならばqである」という命題を、記号「<math>\Rightarrow</math>」を用いて
しかし、エヌ氏が渋谷や京都市にいるとき、仮定は偽であるが、「エヌ氏が新宿にいる ならば エヌ氏は東京にいる」という命題は正しい。
 
;例
: <math> \rm p \Rightarrow q </math>
 
と書く。
 
命題「<math>x^2 = 4</math>ならば<math>x = 2</math>である」は<math>x = -2</math>もあてはまるので偽である。 命題<math>\rm p \Rightarrow q</math>が偽であるときは、<math>p</math>は満たすが<math>q</math>を満たさない例が存在するときである。そのような例を'''反例'''(はんれい)という。'''命題が偽であることを示すには、反例を1つあげればよい。'''
また、この条件pをこの命題の'''仮定'''(かてい、英:assumption)といい、条件qをこの命題の'''結論'''(けつろん)と呼ぶ。
 
* 問題
579 ⟶ 596行目:
==== 必要条件と十分条件 ====
[[ファイル:必要条件と十分条件.svg|サムネイル]]
2つの条件 <math>p,q</math> について、命題「p⇒q」<math>p\Rightarrow q</math>が真であるとき、
 
: <math>q</math>は<math>p</math>であるための '''必要条件'''であるという。<math>p</math>が成り立つためには、まず、<math>q</math>が成り立つことが必要という意味だ。
: pはqであるための '''十分条件''' (じゅうぶん じょうけん)である
: <math>p</math>は<math>q</math>であるための '''十分条件'''であるという。<math>q</math>が成り立つには、<math>p</math>が成り立てば十分という意味だ。
: qはpであるための '''必要条件''' (ひつよう じょうけん)である
 
2つの条件 p.,q について、
という。
 
命題「p⇒q」<math>p\Rightarrow q</math>命題「q⇒p」<math>q\Rightarrow p</math>の両方とも真であるとき、これを
2つの条件 p.q について、
 
命題「p⇒q」と命題「q⇒p」の両方とも真であるとき、これを
 
: <math>\rm p \Longleftrightarrow q</math>
594 ⟶ 609行目:
と書き、
 
: pはqであるための'''必要十分条件'''である。または、pとqは同値であるという。
 
という。
 
このとき、pとqを入れ替えることで、
602 ⟶ 615行目:
: qはpであるための必要十分条件である
 
ともいえることがわかる。
 
;例
エヌ氏が新宿にいる ならば エヌ氏は東京にいる という命題を考える。
 
エヌ氏が新宿にいるためには、まず、エヌ氏が東京にいる必要があるので、エヌ氏が東京にいることは、エヌ氏が新宿にいるための必要条件であるといえる。
 
エヌ氏が東京にいることを示すには、エヌ氏が新宿にいることを示せば十分なので、エヌ氏が新宿にいることは、エヌ氏が東京にいるための十分条件であるといえる。
 
<math>\rm p \Longleftrightarrow q</math> であるとき、pとqは「'''同値'''(どうち)である」という。
 
==== 「かつ」「または」と否定 ====
620 ⟶ 639行目:
 
条件を考えることは集合を考えることと同じなので、集合におけるド・モルガンの法則と同様に、条件においても、ド・モルガンの法則がなり立つ。
'''ド・モルガンの法則'''
<span style="text-decoration: overline">p またはかつ q</span> <math> \Longleftrightarrow </math> <span style="text-decoration: overline">p</span> かつまたは <span style="text-decoration: overline">q</span>
<span style="text-decoration: overline">p かつまたは q</span> <math> \Longleftrightarrow </math> <span style="text-decoration: overline">p</span> またはかつ <span style="text-decoration: overline">q</span>
<span style="text-decoration: overline">p または q</span> <math> \Longleftrightarrow </math> <span style="text-decoration: overline">p</span> かつ <span style="text-decoration: overline">q</span>
 
==== 逆・裏・対偶 ====
636 ⟶ 653行目:
と呼ぶ。
 
これらは、たがいに右図のような関係にある。 {{-}}
----たとえば、 もとの命題を
 
652 ⟶ 669行目:
 
このような例から、次のことが分かる。
ある命題が真であっても、その命題の逆は、かならずしも真とは限らない。
また、ある命題が真であっても、その命題の裏は、かならずしも真とは限らない。
では、もとの命題と対偶との関係は、どうなるだろうか。
[[ファイル:Sets_contraposition_diagram.svg|サムネイル]]
この考察をするため、条件pを満たすものを集合Pに対応させ、同様に条件qを満たすものを集合Qに対応させてみよう。
 
元の命題をその対偶を表にすると以下のようになる。
右の集合の図は、p⇒qが真であることを表す図である。この図では、Pに属している要素は、Qにも属している。(つまり <math>\rm P \subset Q</math>である。)一方、Qに属していいない要素は、Pにも属していない。(つまり <math>\rm \overline{Q} \subset \overline{P}</math> である。) このことからから分かるように、
{|class="wikitable" style="text-align:center"
ある命題が真であるとき、その命題の対偶も真となる。
!p!!q!!<math>p \Rightarrow q</math>!!<math>\overline{q}!!\overline{p}!!<math>\overline{q} \Rightarrow \overline{p}</math>
ある命題が偽であるとき、その対偶も偽である。
|-
つまり、一般の命題において、もとの命題と対偶との真偽は一致する。
|真||真||'''真'''||偽||偽||真
|-
|真||偽||'''偽'''||真||偽||偽
|-
|偽||真||'''真'''||偽||真||真
|-
|偽||偽||'''真'''||真||真||真
|}
つまり、一般命題表からわかるようおいてもとの命題とその対偶の真偽は一致する。
;例
「エヌ氏が新宿にいる ならば エヌ氏は東京にいる」という命題の対偶は、「エヌ氏が東京にいない ならば エヌ氏は新宿にいない」である。
 
==== 背理法 ====
1,312 ⟶ 1,337行目:
 
==== 連立不等式 ====
いくつかの不等式を組み合わせたものを'''連立不等式'''といい、これらの不等式を同時に満たす<math>x</math>の値の範囲を求めることを、連立不等式を'''解く'''という。
 
* 問題例
1,364 ⟶ 1,389行目:
絶対値を含む不等式について考えよう。
 
絶対値<math>|x|</math>は、数直線上で、原点<math>\mathrm{O}</math>と点<math>\mathrm{P} (x)</math>の間の距離を表している。
 
したがって、<math>a>0</math>のとき