「高等学校保健体育保健/精神の健康」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
→‎精神医学と心理学: 文章が現状、単に知識を羅列したものになっており、構成されていないので段落ごとにサブタイトルをつけて修正。
→‎精神医学に関する諸々、雑感: ユング派の学説を無視した一方的なフロイト派の主張を修正。出典をつけて追記。<ref>『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日 初版第1刷、114ページ</ref>。
201 行
具体的な解決法を示す奴が偉くて物事をわかっていると思い込んでいるのは、単に万能感が欲しい底の浅い愚か者だからだろう。
 
=== 精神医学に関する諸々、雑感 ===
;心理学におけるフロイト派とユング派
 
精神医学の分野では、この項目ではとりあえず、[[w:ジークムント・フロイト|ジークムント・フロイト(Wikipedia)]]、[[w:カール・グスタフ・ユング|カール・グスタフ・ユング(Wikipedia)]]の 2名を重要人物として挙げておく。
 
フロイトの主張は、精神不調の原因を性欲に結び付けることが多く<ref>岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、65ページ</ref>、現代ではその点を指摘し、疑問視する意見も多い。しかし実は性欲というのは人間の基本的な情欲で、一生にわたっての最重要テーマなので、それと精神の問題を結びつける主張は、それほど不適切なものではない。
実際、ユングはフロイトが何でも性欲を原因に結びつける事を批判している<ref>『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日 初版第1刷、114ページ</ref>。
 
一方、フロイト派の主張としては、実は性欲というのは人間の基本的な情欲であるから、一生にわたっての最重要テーマであり、それと精神の問題を結びつける主張は、それほど不適切なものではないとする考えである。フロイトは、性欲に限らず衝動的であるが生存や子孫繁栄に必要な本能的欲求をまとめて「エス」と命名して定義し、特に性欲に限っては「リビドー」と命名して定義した。
近代ヨーロッパにおいてフロイトの脚光後、哲学や思想において、哲学者・思想家のフーコーやラカンが、フロイトの精神分析の言説を取り入れた<ref>岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、53ページ</ref>。今ではフロイトの権威もかなり褪せて、批判的に語られることも多いが、歴史的に重要な著名人で、思想的にも社会に大きな影響を与えた精神医学上の大きなインパクトであることは間違いないだろう。
 
ユングとフロイトは彼ら個人的にも対立して学説も対立したが、しかし両者の学説にも共通点がある。その共通点とは、人間の心理には、意識の他にも「無意識」が存在するという共通点であり、フロイトとユングで若干の無意識の解釈の違いはあるものの、しかし「無意識」という概念がある事自体は共通している<ref>『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日 初版第1刷、115ページ</ref>。
近年「アスペルガー症候群」という用語がよく話題になるが、この考え方に関する疑問が各国の医学会から提出されており、一説では「アスペルガー症候群」に限っては実は精神疾患ではなく個々人の倫理観の問題だろうという指摘もされている<ref>『標準精神医学』、医学書院、第7版、17ページ</ref>。しかしそもそも『精神疾患』とは何だろうか?『個々人の倫理観』とは何だろうか?とりあえず勢いのあるそれらしい言葉を当てはめれば物事を理解した気になるのは、いちばん安易で、痴的な態度だろう。
 
ユングはフロイトよりも若い世代の心理学者であり新しいが、かといってユングの登場によってフロイト派の学説が葬られたわけではなく、たとえばより若い世代の心理学者エリクソンの学説はフロイト理論に立脚している<ref>『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日 初版第1刷、113ページ</ref>。
 
 
;哲学や思想への影響
一方、近代ヨーロッパにおいてフロイトの脚光後、哲学や思想において、哲学者・思想家のフーコーやラカンが、フロイトの精神分析の言説を取り入れた<ref>岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、53ページ</ref>。今ではフロイトの権威もかなり褪せて、批判的に語られることも多いが、歴史的に重要な著名人で、思想的にも社会に大きな影響を与えた精神医学上の大きなインパクトであることは間違いないだろう。
 
 
;「ヒステリー」
「ヒステリー」という用語があるが(ただし医学的に非厳密なので、21世紀の現代医学では用いられなくなった)、「ヒステリー」とは俗語的には「少しだけ不愉快なだけの事でも、大きく怒りちらす事」のように言われており、国語辞典では「わずかなことでも、感情をおおげさに表すこと」<ref>『新明解国語辞典 第八版』、三省堂、1310ページ</ref>などのように書かれている。医学的には、「ヒステリー」とは、「身体に異常が無いにもかかわらず、うまく動かせない等の異常が起きること」とされており、この医学的ヒステリーは女性に多いと昔から言われている<ref name="r206">岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、206ページ</ref>。
 
「ヒステリーは女性の病気」というのは、古代ギリシアの時代から、医学者ヒポクラテスなどが同様の発言をしている(ただし、当時はヒステリーという言葉は無く、別の言い回しだった)。ここでいう「ヒステリー」も俗語の意味とは違う可能性が高い<ref name="r206" />。
 
よくフロイトがヒステリー患者の治療をしたのがフロイト心理学の発明のキッカケなどと言われるが、しかし正確には、当初のヒステリー患者を診察をしたのは医師ブロイワーであり、フロイトはブロイワーとの共同研究の成果を、ブラウワーとの共著『ヒステリー研究』で発表したのである。
 
 
;「アスペルガー症候群」
近年「アスペルガー症候群」という用語がよく話題になるが、この考え方に関する疑問が各国の医学会から提出されており、一説では「アスペルガー症候群」に限っては実は精神疾患ではなく個々人の倫理観の問題だろうという指摘もされている<ref>『標準精神医学』、医学書院、第7版、17ページ</ref>。しかしそもそも『精神疾患』とは何だろうか?『個々人の倫理観』とは何だろうか?とりあえず勢いのあるそれらしい言葉を当てはめれば物事を理解した気になるのは、いちばん安易で、痴的な態度だろう。
 
 
;雑感
前編集をもとに様々な雑感を書いたが、基本的に現在のこの項目の筆者は今の精神医学者に対する不信感、批判の気持ちはかなり強い。極端な言説を弄するなら、人間を生かすことなく殺している、インチキ商売だろう。