「中学校保健/応急手当」の版間の差分

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失神しても起立性調節障害の場合は救急車を呼ばないので、記述を修正。
→‎発展的記述:熱中症の応急処置のくわしい説明: 範囲外として、「I度」(軽症)・「II度」(中等症)・「III度」(重症) についてコラムで追記。
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まず、冷やすことです。
 
熱中症の患者は、発汗(はっかん)により塩分が不足しているため、身体の調節機能が低下しています。なので、塩水などで塩分補給も行うことも、必です。
 
熱中症の症状には、おもに熱けいれん、熱疲労、熱射病がある。(熱失神を加える場合もある。)
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熱疲労、熱けいれん、どちらの場合でも、応急処置をしても回復しない場合は、救急車を呼ぶなどして、病院に行かせる。
 
 
:(※ 範囲外: )学校でもし熱中症が回復しない場合、移送先は図にもあるように、(保健室ではなく)病院です。そもそも保健室で出来る医療的な行為は、設備的にも、消毒や異物除去などの軽度の医療的行為に限られます。また、保健室は設備的にも、消毒薬や傷薬以上の薬品は置いてないのが原則です<ref>郷木義子 編集、『職場・学校・家庭・地域での応急手当マニュアル』、ふくろう出版、2014年4月1日 改訂版発行、P.171</ref>。あとは包帯とガーゼと絆創膏(ばんそうこう)などが保健室に置いてあります。保健室は こういった軽度の治療行為のための施設なので、なので回復しないと生命の危機になるような重度の病気は、保健室ではなく病院に送ります。なお、保健室にも応急処置のための氷嚢(ひょうのう)や氷枕(こおり まくら)などは備蓄してあります<ref>郷木義子 編集、『職場・学校・家庭・地域での応急手当マニュアル』、ふくろう出版、2014年4月1日 改訂版発行、P.182 ※ 昭和61年 文部省体育局通知『保健室の備品について』</ref>。
{{コラム|:(※ 範囲外: )重傷者を保健室ではなく病院に送る理由|
:(※ 範囲外: )学校でもし熱中症が回復しない場合、移送先は図にもあるように、(保健室ではなく)病院です。そもそも保健室で出来る医療的な行為は、設備的にも、消毒や異物除去などの軽度の医療的行為に限られます。また、保健室は設備的にも、消毒薬や傷薬以上の薬品は置いてないのが原則です<ref>郷木義子 編集、『職場・学校・家庭・地域での応急手当マニュアル』、ふくろう出版、2014年4月1日 改訂版発行、P.171</ref>。あとは包帯とガーゼと絆創膏(ばんそうこう)などが保健室に置いてあります。保健室は こういった軽度の治療行為のための施設なので、なので回復しないと生命の危機になるような重度の病気は、保健室ではなく病院に送ります。なお、保健室にも応急処置のための氷嚢(ひょうのう)や氷枕(こおり まくら)などは備蓄してあります<ref>郷木義子 編集、『職場・学校・家庭・地域での応急手当マニュアル』、ふくろう出版、2014年4月1日 改訂版発行、P.182 ※ 昭和61年 文部省体育局通知『保健室の備品について』</ref>。
:また、熱射病の意識低迷に限らず、一般に学校で誰かの意識喪失が持続的な場合、原則的に救急車で病院に送ります<ref>郷木義子 編集、『職場・学校・家庭・地域での応急手当マニュアル』、ふくろう出版、2014年4月1日 改訂版発行、P.172</ref>。また、意識があっても、意識が低迷している場合には、救急車で病院に送るのが望ましい<ref>衛藤隆『最新 Q&A 教師のための救急百科 第2版』、大修館、2018年4月20日 第2版 第1刷 発行、P.35</ref>と言われています。
:※ なので、テスト勉強のための暗記としては、「熱射病の場合だけ応急手当をせずに ただちに救急車を呼ぶ」と覚えればいいのです。そのほかの熱中症の手当ての順序は、応急手当て → 回復しなければ救急車 、という順序です。
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:また、そもそも医師ではない教職員には、病名の診断を(法的にも技術的にも)本来は行えない<ref>衛藤隆『最新 Q&A 教師のための救急百科 第2版』、大修館、2018年4月20日 第2版 第1刷 発行、P.3</ref>。なので、とりあえず「意識喪失が持続したら病院。回復しなかったら病院。」と覚えておけば、生徒としては実用上は問題は無いだろう。あと、応急手当てが必要になるような事態になったら、たとえ回復をしても、念のため、なるべく早めに病院で診察を受けよう、受けさせよう<ref>衛藤隆『最新 Q&A 教師のための救急百科 第2版』、大修館、2018年4月20日 第2版 第1刷 発行、P.3</ref>。
:ただし例外的に瞬間的な意識低迷があっても、長時間の集会中に倒れた場合は(「起立性調節障害」という)、原因は頭部の血圧が下がったことによるので、横にさせておけば回復する場合が多いことが経験的に知られており、なので救急車は呼ばないのが普通<ref>衛藤隆 ほか著『最新 Q&A 教師のための救急百科 第2版』、大修館、2018年4月20日 第2版 第1刷 発行、P.80</ref>。しかし炎天下での集会の場合は、たとえ集会中であっても、熱中症が原因である可能性もあるので、けっして即断では起立性調節障害だろうと決め付けてはならない<ref>衛藤隆 ほか著『最新 Q&A 教師のための救急百科 第2版』、大修館、2018年4月20日 第2版 第1刷 発行、P.80</ref>。その他、心臓疾患や神経疾患などの持病のある生徒が倒れた場合、それぞれの患者の病状に応じた対応をするが<ref>衛藤隆 ほか著『最新 Q&A 教師のための救急百科 第2版』、大修館、2018年4月20日 第2版 第1刷 発行、P.80</ref>、専門的なので本ページでは説明は省略する。
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{{コラム|(※ 範囲外: )※ 分類が変わるかも?|
検定教科書では、「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」という3分類がされているが、この他の分類として近年、症状の重さ別に3段階で「I度」(軽症)・「II度」(中等症)・「III度」(重症) という分類も提唱されており、環境省などの行政などもその分類を利用している<ref>[https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/2-1.pdf 環境省熱中症予防サイト『熱中症になったときには』] 2021年5月25日に閲覧.</ref>。
 
このため、もしかしたら教科書の説明が将来的に変化するかもしれません。
 
環境省サイトやその他の文献<ref>衛藤隆 ほか著『最新 Q&A 教師のための救急百科 第2版』、大修館、2018年4月20日 第2版 第1刷 発行、P.347</ref>などによると、手当ての方法がどう変わるかというと、
:意識があれば、軽い立ちくらみなどがあっても、とりあえず冷やしたり、生理食塩水の程度の食塩水を飲ませるなどの応急手当てをする。(I度) 
:意識があっても、上記のI度の治療を行っても回復しない場合、病院へ移送します。(II度)
:意識が無い場合、重症であり、ただちに病院へ移送します(III度)。
 
また、I度の症状でも、絶対にすずしい場所で休ませます。もし、それまでスポーツしていたら、該当者のスポーツを休止させます。休止させるのは当然の原則だと読者は思われるでしょうが、しかし実際の学校現場では、ときどきこの原則が守られずに死亡に至り裁判になった事もあります<ref>衛藤隆 ほか著『最新 Q&A 教師のための救急百科 第2版』、大修館、2018年4月20日 第2版 第1刷 発行、P.346</ref>。
 
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