「民法第660条」の版間の差分

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民法改正
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[[法学]]>[[民事法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
 
==条文==
(受寄者の通知義務
;第660条
: 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。
==解説==
改正民法第660条では
#寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
#第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない。
#受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。
===改正経緯===
この条文によって、寄託者は差押えなどの通知があれば第三者異議の訴え([[民事執行法第38条]])を提起して寄託物に対する権利を主張、立証する時間を得、執行不許を求めることができる。「ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。」とは、通知が無くても寄託者が差押えなどを知って第三者異議の訴えを提起しても問題が無いからである。
2017年改正により、以下のとおり改正。
#見出しを「受寄者の通知義務」から「受寄者の通知義務等」に。
#改正前本文を第1項とし、但書を追加。
#第2項及び第3項を新設。
==解説==
寄託物に対して、第三者が法的権利を主張し引渡しなどを求めてきたときの受寄者の対応について定める。
#寄託物に対して、第三者が法的権利を主張し引渡しなどを求めてきたときは、受寄者は、'''遅滞なく'''寄託者に通知しなければならない。これを怠ると、寄託の債務不履行を問われる。この受寄者からの通知により、寄託者は第三者異議の訴え([[民事執行法第38条]])を提起して寄託物に対する権利を主張、立証する時間を得、執行不許を求めることができる。
#:(例外)当該第三者の訴訟手続き等により、寄託者が既知の場合(第1項但書)は、通知の必要はなく、懈怠を問われることはない。この既知であることは、当該第三者の主張の時に受寄者が認知していることは要さず、事実で足りる。
#受寄者は、寄託物を'''寄託者の指示がない限り'''当該第三者に引き渡してはならない。
#:(例外)
#:#受寄者が寄託者に、第1項で定める通知を行なっていること、又は、寄託者が当該第三者の主張につき既知であること。
#:#当該第三者が寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決を示したとき。
#受寄者は、寄託物を寄託者に返還したことによって、引渡し等を求めた第三者に損害が発生した(例.寄託者が嫌韓を受けた後、別に処分した。)場合であっても、賠償の責を負わない。
 
==参照条文==
==判例==
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53845&hanreiKbn=02 損害賠償請求](最高裁判  昭和40年10月19日)
*[](最高裁判例 )
 
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[[category:民法|660]]
[[category:民法 2017年改正|660]]