「民法第733条」の版間の差分

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女子の再婚禁止期間を定めた規定。明治民法の規定([[民法第767条#参考|旧・民法第767条]])を戦後の民法改正において、そのまま継承した。女性のみに課される制限であって、[[w:日本国憲法第24条|日本国憲法第24条]]の両性の本質的平等に抵触するという指摘もあるが、本条の立法趣旨は「父性推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあ」り、合理的な根拠に基づく法的取扱いの区別であって憲法に反するものではない旨確認されている(最判平成7.12.5 判時1563.81 「平成7年判決」)。事実としては、戸籍上の夫婦関係があっても妻の性的生活がこれに拘束されるものではない一方で、現代においては、DNA鑑定など、状況の判断によらず確定的に父子関係を確定する手段もあるため、必ずしも女性に対する再婚の禁止によって父性の推定の重複を回避する必要性はないという指摘も強い。しかしながら、子の立場からは、父を確定するのに訴訟を待つという不安定な状態は好ましくないため、最高裁判所は依然本条項及び後述する[[民法第772条]]の合理性を認めている(最判平成27.12.16 民集69-8-2427 「平成27年判決」)。
 
しかしながら、本条の立法趣旨が「父性の推定の重複の回避」であるならば、明治民法以来の再婚制限期間は6ヶ月と、父性の推定を定めた[[民法第772条]]第2項における、「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」との定めは矛盾することとなる。なぜならば、婚姻を解消した夫(以下、「前夫」)については、「婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」が適用され、新たに婚姻した夫(以下、「後夫」)について「婚姻の成立の日から二百日を経過した後に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」を適用すると、前夫との離別後100日を経過せずに後夫と婚姻関係になることにより、「前夫の父性推定」と「後夫の父性推定」が重複し、立法趣旨である「父性の推定の重複の回避」が奏功しないこととなる。これを鑑み、2015年12月16日、最高裁判所大法廷は、再婚禁止期間の内、百日を超える部分について憲法違反であるとの判決を下した(平成25(オ)1079)。2016年6月7日、最高裁判決を受け、再婚禁止期間を六箇月から百日に短縮し、さらに重複が推定されない場合(①前婚の解消時に妊娠していない場合-制限の意味がない、②前婚解消後出産した場合-「前夫の父性推定」が確定する)には即時に再婚可能とした改正が行われ、同日施行された。
 
== 参照条文 ==