「集合論」の版間の差分

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s/\phi/\varnothing/5
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集合に属している物のことを'''元''' (element)と呼ぶ。先ほどの例から、「標高8500m以上の山」という集合では、「エベレスト、K2、カンチェンジュンガ、ローツェの4つの元がある」などと言う。「正の奇数すべて」の集合は、「1,3,5,...という無限個の元から成っている」と言える。元が集合に属していることを「<math>\in</math>」という記号で表す。例えば、自然数の全体という集合を<math>\mathbb{N}</math>とすると、<math>1 \in \mathbb{N}</math>と書ける。
 
なお、元が1つもない集合も集合とみなすことにする。そのような集合を'''空集合''' (empty set、null set)と呼び、<math>\phivarnothing</math>で表す。
 
== 記法と演算 ==
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'''例'''<br />
<math>\mathcal{P}(\{ 1,2,3 \} ) = \{\phivarnothing,\{1\},\{2\},\{3\},\{1,2\},\{1,3\},\{2,3\},\{1,2,3\}\}</math>
 
この例を見てもわかるように、有限個の元から成る集合(厳密な定義は後の節を参照)Xの冪集合<math>\mathcal{P}(X)</math>の元の個数は、Xの元の個数の2の冪である(この例でいえば、2<sup>3</sup>=8個)ので、<math>\mathcal{P}(X)</math>のことを<math>2^X</math>と書くこともある。
143 行
すなわちC(a)とは、同値関係~によってaと同値な元全体の集合である。これを~に関するaの'''同値類''' (equivalent class)と呼ぶ。このように定めると、次の性質が成り立つことが容易にわかる。
# <math> C(a)=C(b) \Leftrightarrow a \sim b</math>
# <math> C(a) \neq C(b) \Rightarrow C(a) \cap C(b) = \phivarnothing</math>
;証明
# <math>\Rightarrow :</math> <math>a \in C(a)</math>なので<math>a \in C(b)</math>よって<math>a \sim b</math>
#:<math> \Leftarrow :</math><math>x \sim a </math> なら <math>x \sim b</math> なので <math>C(a) \subset C(b)</math> 同様に <math> C(b) \subset C(a)</math>
# 対偶 <math> C(a) \cap C(b) \neq \phivarnothing \Rightarrow C(a) = C(b)</math>を証明する。<math> x\in C(a) \cap C(b)</math>となる<math>x \in A</math> が存在して <math> x \sim a</math> かつ <math> x \sim b</math> なので(1)より <math> C(x) = C(a), C(x) = C(b)</math>
この2番目の性質は、同値関係が与えられると、元の集合Aは、互いに交わらない部分集合族によって分割(直和分解)されることを表している。この、Aを分割する部分集合族のことを、Aを同値関係~で割った'''商集合''' (quotient set)といい、A/~と書く。集合の言葉できちんと書くと下のようになる。
 
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=== 用語 ===
集合族<math>\{ A_{\lambda} \}_{\lambda \in \Lambda}</math>を構成するすべての集合<math>A_{\lambda}</math>の合併をとった集合<math>\{ x | \exists \lambda \in \Lambda , x \in A_{\lambda} \}</math>を'''和集合'''といい、<math>\bigcup_{\lambda \in \Lambda} A_{\lambda}</math>と表す。特に<math>i,j \in \Lambda, i \ne j \Rightarrow A_i \cap A_j = \emptysetvarnothing</math>のとき、集合族<math>\{ A_{\lambda} \}_{\lambda \in \Lambda}</math>の和集合を<math>\coprod_{\lambda \in \Lambda} A_{\lambda}</math>と表し、'''直和'''という。
 
集合族<math>\{ A_{\lambda} \}_{\lambda \in \Lambda}</math>を構成するすべての集合に含まれている元の集合<math>\{ x | \forall \lambda \in \Lambda , x \in A_{\lambda} \}</math>を'''共通部分'''といい、<math>\bigcap_{\lambda \in \Lambda} A_{\lambda}</math>と表す。
215 行
これまで「有限」という言葉をナイーブに未定義のままで使ってきたが、ここできちんと定義しておく。
 
'''定義''' <math>[n]=\{1,2,...,n\}</math>とする。特に<math>[0]=\phivarnothing</math>とする。集合Aが有限集合(finite set)であるとは、ある自然数nに対してAと<math>[n]</math>が対等であることである。
 
これまでナイーブに想像していた概念と一致することを確認してほしい。有限集合でない集合のことを無限集合(infinite set)という。