「高等学校数学I/図形と計量」の版間の差分

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2 行
 
 
=== 三角比 ===
ここでは、[[w:三角比|三角比]](さんかくひ)と、それを用いた定理を扱う。
 
12 行
がある。
 
==== 正弦、余弦、正接 ====
たとえば、2つの直角三角形において、直角以外のある1つの角の大きさが等しいとき、その2つの三角形は相似であるといえる。このとき、相似な2つの三角形の角の大きさはそれぞれ等しい。また3辺それぞれの長さは定まらないが、3辺の長さの比は等しくなる。これらのことから、直角以外の角度は辺の長さの比によって特徴づけられるといえる。
 
27 行
</math>
:<math>
\tan
</math>
というのである。すなわち、sin r は、
39 行
</math>
:<math>
\tan r = \frac a b
</math>
で、 cos r, \tan r も定義する。
 
覚え方としてしばしば以下の説明が用いられる。数学的には無意味な説明だが、これが覚えやすければ用いてもよい。下の図の中で、小文字のsを筆記体でかくときのつづりに対応する量が<math>\sin</math>であり、筆記体のcに対応する量が<math>\cos</math>であり、筆記体のtに対応する量が<math> \tan</math>である。
:[[画像:Sinの定義.png]][[画像:Cosの定義.png]][[画像:Tantanの定義.png]]
 
この定義から、<math>\sin </math>,<math>\cos </math>, <math> \tan </math>について次の性質が成り立つ。
:<math>\sin (90^\circ -x ) = \cos x</math>
:<math>\cos (90^\circ -x ) = \sin x</math>
:<math> \tan (90^\circ -x ) = \frac 1 { \tan x}</math>
 
* 証明
<math>90^\circ-x</math>は、xという大きさの角を持った直角三角形があるとき、直角でもxでもない大きさの角である。(三角形の内角の和が<math>180^\circ</math>であるため。)このため、<math>90^\circ-x</math>に対する三角比は、xに対する三角比を定義するのに使った三角形を用いて表わすことが出来る。実際にこの定義を導入すると、確かにこの結果が成り立つ。
 
==== 定義の範囲の拡張 ====
ここまでで、<math>0^\circ < r < 90^\circ</math>の条件を満たす角度rに対して、正弦、余弦、正接を定義した。しかし、これ以降三角形に関する定理を扱う上では、<math>90^\circ < r < 180^\circ</math>までの範囲で正弦、余弦、正接を定義しておくと都合がよい。ここでは、三角比の定義の範囲を拡張する方法を説明する。
 
61 行
[[File:Trigonometric Functions in Acute Angle Defined by Unit Circle.png|thumb|400px|left|単位円を使って定義された、鋭角における三角関数]]
 
ここで、<math>\sin x</math> ,<math>\cos x</math>, <math> \tan x</math>の値はそれぞれ、
:<math>\sin x = \frac{b}{\rm
m OA}</math> ,<math>\cos x = \frac{a}{\rm
m OA}</math>, <math> \tan x = \frac{b}{a}</math> と表せる。
OAは円Oの半径なのでOA=1である。よって
:<math>\sin x = b</math> ,<math>\cos x = a</math>, <math> \tan x = \frac{b}{a}</math> といえる。
 
{{-}}
73 ⟶ 75行目:
 
ところが、<math>90^\circ < x < 180^\circ</math>のときも、先に述べた式の値を考えることはできる。そこで、このときも
:<math>\sin x = b</math> ,<math>\cos x = a</math>, <math> \tan x = \frac{b}{a}</math> と定義する。
 
ところで、<math>x = 90^\circ</math>のとき、Aはy軸上にあるためx=0となる。よって<math> \tan x</math>は、<math>\frac{b}{0}</math>となってしまうため定義されない。
 
{{-}}
 
以上より、<math>0^\circ < x < 180^\circ</math>を満たす角xの正接、正弦、余弦の値は、単位円上に点A(a,b)をとり、
:<math>\sin x = b</math> ,<math>\cos x = a</math>, <math> \tan x = \frac{b}{a}</math> として求められる。
 
 
87 ⟶ 89行目:
また、図形的な性質を用いると、<math>0^\circ<x<90^\circ</math>のとき次の性質が成り立つ。
:<math>
\sin (90 ^\circ + x) = \cos x, \cos (90^\circ + x ) = - \sin x, \tan (90^\circ + x )=-\frac 1 { \tan x}
</math>
:<math>
\sin (180 ^\circ - x) = \sin x, \cos (180^\circ - x ) = - \cos x, \tan (180 ^\circ - x)=- \tan x
</math>
 
102 ⟶ 104行目:
この時、対応する正弦が等しく、余弦が大きさが等しく符号が負になっていることがわかる。正接の関係式は、
:<math>
\tan x = \frac {\sin x}{ \cos x}
</math>
を用いれば、前の2式から得ることが出来る。この式については後述する。
 
==== 三角比の相互関係 ====
ここまでで、直角三角形を用いる場合と単位円を用いた場合に、三角比の定義を行った。これらの式はそれぞれ、
:<math>
\tan x = \frac {\sin x} {\cos x}
</math>
の関係を満たす。実際直角三角形の場合の定義の式を代入すれば、
123 ⟶ 125行目:
</math>
:<math>
\tan ^ 2 r + 1 = \frac 1 {\cos ^2 r}
</math>
が得られることを示せ。(<math>\sin^2 r\ ,\ \cos^2 r\ ,\ \tan^2 r</math>は、それぞれ
<math>(\sin r)^2\ ,\ (\cos r)^2\ ,\ ( \tan r)^2</math>という意味である。)
* 解答
155 ⟶ 157行目:
:<math>\begin{align}
\frac{\sin ^ 2 r}{\cos ^ 2 r} + \frac{\cos ^ 2 r}{\cos ^ 2 r} & = \frac 1 {\cos ^2 r}\\
\tan ^2 r + 1 & = \frac 1 {\cos ^2 r}
\end{align}
</math>
161 ⟶ 163行目:
 
* 問題
<math>\sin r = \frac 1 3</math>のときの<math>\cos r </math>, <math> \tan r</math>の値を求めよ。ただし、<math>0^\circ < r < 90 ^ \circ</math>を満たすとする。
 
* 解答
178 ⟶ 180行目:
</math>
となる。
さらに、<math> \tan r=\frac{\sin r}{\cos r}</math>に代入すると、
:<math> \tan r = \frac{\frac{1}{3}}{\frac{2\sqrt{2}}{3}}=\frac{\sqrt{2}}{4}</math>
となる。
 
189 ⟶ 191行目:
とするそれぞれの直角三角形の辺の長さの比を用いることで、
:[[画像:直角三角形の例.png]]
<math>30^\circ \ ,\ 60^\circ \ ,\ 45^\circ</math>に対して、<math>\sin, \cos , \tan</math>の大きさを求めよ。
 
* 解答
<math>45^\circ \ ,\ 45^ \circ\ ,\ 90^\circ</math>の直角二等辺三角形では、斜辺が一番長く、その長さは他の辺の長さの<math>\sqrt 2</math>倍である。このことを用いると、
:<math>\sin 45^\circ= \frac {\sqrt 2 }2 \ ,\ \cos 45^\circ= \frac {\sqrt 2 }2 \ ,\ \tan 45^\circ= 1</math>が得られる。
<math>30^\circ \ ,\ 60^\circ \ ,\ 90^\circ</math>の直角三角形では、辺の長さの比は、短い順から、<math>1 : \sqrt 3 : 2</math>となっている。このことを用いると、
:<math>\sin 30^\circ= \frac 1 2 \ ,\ \cos 30^\circ= \frac {\sqrt 3}2 \ ,\ \tan 30^\circ= \frac {\sqrt 3 }3</math>
:<math>\sin 60^\circ= \frac {\sqrt 3} 2 \ ,\ \cos 60^\circ= \frac 1 2 \ ,\ \tan 60^\circ= \sqrt 3 </math> が得られる。
 
* 備考
これらの角度の三角比はよく用いるので、必要なときに即座に導出できるようにしておくべきである。一方で、三角比はこれらの角でなくとも任意の角で定義できる概念であることも忘れてはならない。なお、これらの角以外の角の三角比の値が必要な場合は、いくつかの例外を除けば正確な値をきれいな形で表記することは困難であり、教科書巻末などに載っている三角比の表を用いることになる。
 
=== 三角比のかかわる定理 ===
==== 正弦定理、余弦定理 ====
ここでは、[[w:正弦定理|正弦定理]](せいげんていり)と[[w:余弦定理|余弦定理]](よげんていり)という2つの定理を扱う。これらは三角比を用いた定理であり、任意の三角形について成立する定理である。
 
===== 正弦定理 =====
最初に正弦定理を使う。三角形の辺の長さがa,b,cと与えられ、相対する角の大きさがA,B,Cと与えられるとき
:<math>
312 ⟶ 314行目:
このことは確かに成立している。
 
===== 余弦定理 =====
 
ある三角形の3辺の長さが分っているとき、その三角形は一意的に決まる。そのため、3つの辺の長さを用いて、おのおのの角の大きさを表わすことが出来る。
370 ⟶ 372行目:
三角形ABCについて、辺の長さ
:<math>
\textrm extrm{AB} = 3
</math>
:<math>
\textrm extrm{BC} = 4
</math>
:<math>
392 ⟶ 394行目:
</math>
:<math>
=9 + 16 - 24 \times imes \frac 1 2
= 13
</math>
432 ⟶ 434行目:
</math>
:<math>
= \frac{9 + 13- 16}{2 \times imes 3 \times imes \sqrt{13}}
</math>
:<math>
461 ⟶ 463行目:
で与えられる。
 
具体的に''a''のおおよその値を求めてみる。平方根の表より<math>\sqrt{13} \fallingdotseqallingdotseq 3.6</math>なので、<math>\frac{1}{\sqrt{13}}=\frac{\sqrt{13}}{13} \fallingdotseqallingdotseq 0.277</math>であり、三角比の表でこれに近い余弦の値を探すことで、
:<math>a \fallingdotseqallingdotseq 74^\circ</math>
が得られる。
 
484 ⟶ 486行目:
余弦定理によって、
:<math>
AC ^2 = 4 ^2 + 7 ^2 - 2 \times imes 4 \times imes 7 \times imes \cos 60 ^\circ
</math>
:<math>
554 ⟶ 556行目:
となる。
 
==== 図形の計量 ====
===== 相似形の面積比、体積比 =====
 
長さの比が2倍になると面積は4倍になる。一般に、長さの比が <math>a</math> 倍になると面積は <math>a^2</math> 倍になる。長さの比が2倍になると体積は8倍になる。一般に、長さの比が <math>a</math> 倍になると体積は <math>a^3</math> 倍になる。
 
=====球の表面積、体積=====
球の表面積を''S''として、体積を''V''とするとき
:<math>S=4 \pi r^2</math>
566 ⟶ 568行目:
<!-- 平面図形や簡単な空間図形の計量?? -->
 
=====三角形の面積公式=====
三角形の2辺a,bとその間の角Cが与えられているとき、三角形の面積Sは、
:<math>S=\frac 1 2 ab \sin C</math>