「被害者の承諾・同意」の版間の差分

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== 「被害者の承諾・同意」概論 ==
:刑法の謙抑性の観点から、法益を放棄したものについては実質的処罰根拠を欠くというものは正当な考え方である。しかしながら構成要件論の発達により、その内容の多くは、「本人の意に反して」等の形で構成要件自体に含有されているものと解される(これを「'''合意'''(''Einverständnis'')」と定義し、違法性阻却事由としての「'''同意'''(''Einwilligung'')」と区別する場合もある)。したがって、「被害者の承諾・同意」を違法性阻却事由として論ずる局面は後述するとおり、かなり限定的となっている。しかしながら、有効な「被害者の承諾・同意」を考察することは、違法性阻却事由のみならず構成要件を論ずるにおいても有効である。
:有効な「被害者の承諾・同意」の、主体側の要件としては、
::(1)法益が個人に属するものであること(後述)
::(2)承諾能力があること
::(3)承諾適格があること(原則は本人による承諾であり、代理を認めない)
::(4)真意によるもの(錯誤がない)であること(但し、争いあり)
:があげられ、その行使態様としては
::(1)目的が合法である、又は違法でないこと、及び
::(2)行為そのものが社会的に認容できるものであることが要求される。
:行使態様における成立要件の具備状況については、ともに十分であれば異論なく同意ありとされるが、片方が欠ける場合又はその水準が低い場合には、いずれに比重を置くかで、[[行為無価値]]派と[[結果無価値]]派で争いがある。
 
== 承諾・同意の有効な範囲 ==