「民法第772条」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
5 行
;第772条
# 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
# 婚姻の成立の日から二百200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
 
==解説==
12 行
婚姻関係が解消された場合、実際に婚姻中に懐胎したか否かを立証することは容易とはいえないため、子の利益のために2項の推定規定が置かれている。嫡出性が推定された子については、嫡出否認の訴えによらない限り、父子関係を否定することはできない。
 
もっとも、父の行方不明や事実上の別居状態にあったなどの事情がある場合は、形式上懐胎期間中に生まれた子であっても、推定は及ばないことになる('''推定のおよばない嫡出子''')。夫の生殖能力が無いことや、血液型の関係で夫の子ではありえない場合については見解が分かれている。
 
[[w:内縁|内縁]]関係が先行したため婚姻成立から200日以内に生まれた子は、嫡出推定規定の恩恵にあずかれないが、出生と同時に嫡出子の身分を取得する(推定されない嫡出子)と解するのが判決である(大審院昭和15年1月23日連合部判決民集19巻54頁)。ただし、その父子関係を否定するためには嫡出否認の訴えによるまでもないともするのが判決である(大審院昭和15年9月20日民集19巻1596頁)。学説上はこの類型の子にも一定の条件を満たせば嫡出性を推定してもよいと考える見解が有力である。
 
[[w:内縁|内縁]]関係が先行したため婚姻成立から200日以内に生まれた子は、嫡出推定規定の恩恵にあずかれないが、出生と同時に嫡出子の身分を取得する(推定されない嫡出子)と解するのが判決である(大審院昭和15年1月23日連合部判決民集19巻54頁)。ただし、その父子関係を否定するためには嫡出否認の訴えによるまでもないともするのが判決である(大審院昭和15年9月20日民集19巻1596頁)。学説上はこの類型の子にも一定の条件を満たせば嫡出性を推定してもよいと考える見解が有力である。
===改正への取り組み===
令和4年1月11日現在、法制審議会において、女性の再婚禁止期間に関する[[民法第733条]]の削除にあわせて、判例法理その他を取り込んだ改正を検討中である。令和3年11月2日開催民法(親子法制)部会における改正案は以下のとおりである(下線部が改正箇所)。
# 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。<u>女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。</u>
# <u>1の場合において、婚姻の成立の日から200日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、</u>婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
# <u>1の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。</u>
# <u>1から3により子の父が定められた子について、嫡出否認の訴えによりその父であることが否認された場合における3の適用においては、3の「直近の婚姻」とあるのは,「直近の婚姻([[民法第774条|第774条]]の規定により子がその嫡出であることが否認された夫との間の婚姻を除く。)」とする。</u>
==参照条文==
*[[民法第774条]](嫡出の否認)