「設計の理論」の版間の差分

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一般に在庫の台帳は小さな事業所でも数千種類の在庫部品があるので、台帳にあるその数千種の再チェックをするのは時間の無駄なので、並び替えはしません。もし在庫番号の並び替えをすると、「本当に並び替え後の番号が合っているか?」などのチェックの手間が生じます。
 
 
 
== 品質の検証 ==
製造業でもIT企業でも品質の検証は、部品ごとの検証と、全体の組立てをしたあとの検証という、最低でも2段階です。
 
少なくとも、自動車業界はそうです。
 
個々の材料部品などは、実際に引張り試験や荷重試験などを実際に物理実験を行い、部品の耐久値が規定や要求仕様を満たしているかを、事前に確認します。そして自動車の走行試験や衝突試験などは、実際に部品を組み立てて製品の状態である自動車にしてから走らせて見るしか、方法はありません。
 
チェックにおいて、シミュレーションなどは無駄です。なぜなら、もしそのシミューレション手法自体にバグや不具合が潜んでいたら、元も子もありません。
 
「チェックの最終確認においてシミュレーションが無駄」といのは、これは自動車業界だけでなく、航空宇宙などでも同様です。日本のJAXAは「はやぶさ」の部品モジュールの開発において、実際に部品を組み立てたうえでの(シミュレーションではなく)物理実験をしています(※ 講談社ブルーバックス『小惑星探査機「はやぶさ」の超技術』で確認できます。)。
 
また、産業技術総合研究所での測定の国家標準器開発などでも同様の手法であり、実際に測定器を製品として組み立てた上での物理実験をしています(テレビ番組では、TBS科学番組『夢の扉』でメタンハイドレート採掘の産総研の研究者が、そうシミュレーションの問題点を指摘しました)。
 
ソフトウェアの開発では原理的に物理実験は無理ですが、それでも不具合対策の確認は、最終的には、実際にそのソフトをユーザー視点で使用してみる「実践」/「試用」しかありません。
 
 
ソフトウェア業界だと、個々の部品ごとにチェックすることを「単体テスト」といいます。一方、全体的に組みたててみてチェックすることを「ビッグバンテスト」と言います。
 
 
;シミュレーションの目的はコストダウン投資
さて、チェックにおいて、シミュレーションなどは無駄であり。なぜなら、もしそのシミューレション手法自体にバグや不具合が潜んでいたら、元も子もないのでした。
 
ではシミュレーションの意義は何かと言うと、工業系に強いライター(「文筆家」の意味)の山根一眞『メタルカラー』シリーズのどれかに書かれていると思いますが、意義はけっして直接のチェックではなく、既に行った物理的な検証実験をもとにそれをシミュレーションと照らし合わせることにより相互検証することで、検証回数を減らすことにより費用節約するのが目的です。
 
たとえばシミュレーションなしでは20台の機械装置を耐久実験のため壊さないといけない工程であると仮定して、もしシミュレーションありなら耐久試験で壊すのは12台ですむ工程にできるなら、今後の自社の新製品では8台ぶんの費用が節約できます。そういうコストダウン投資のためにシミュレーションをするのです。
 
== 脚注・参考文献 ==