「高等学校数学A/場合の数と確率」の版間の差分

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次のような問題を考えてみよう。
100までの自然数のうち、2または3の倍数は何個あるか?
 
 
 
では、この公式を参考にして
100までの自然数のうち、2または3の倍数は何個あるか?
の答えを求めよう。
 
 
100までの自然数のうちの、2の倍数の集合をAとして、3の倍数の集合をBとすると
:n(A)= 100/2 =50   なので、集合Aの要素の個数(2の倍数の個数)は 50個、つまり n(A)= 50 である。
:n(B)については[99÷3]=33 なので 集合Bの要素の個数(3の倍数の個数)は33個、つまり n(B)= 33 である。
 
 
3つの有限集合の和集合の要素の個数については、次の公式が成り立つ
 
n(A∪B∪C) = n(A) + n(B) + n(C) −n(A∩B) −n(B∩C) −n(C∩A) + n(A∩B∩C)
 
;問題
 
また、100以下の自然数のうち、
:A∩B∩C は 30の倍数の集合 となる。
 
A∩B∩C の要素の個数は
==== 階乗 ====
最初に、n個の異なったものを並べ換える場合の数を数える。
まず最初に並べるものはn個、次に並べるものは(n-1)個、その次に並べるものは(n-2)個 ... とだんだんと選べるものの数が減って行き、最後には1個しか残らなくなることに注目すると、この事柄に関する場合の数は
:<math>
n (n-1) (n-2) \cdots 3 \cdot 2 \cdot 1
</math>
となり、1からnまでの自然数の積になる。
となる。
 
(III)
(I)の結果から(II)の結果を引けばよいが、ここではその結果が正しいかどうか
確かめるためにも5桁の奇数が得られる組み合わせを数え上げてみる。
==== 順列 ====
===== 順列 =====
n個の異なったものからr個を選んで、順番をつけて並べる仕方の数を、<math> {}_n\operatorname{P}P_r_r </math>と書く。
また、このような計算の仕方を '''順列''' (じゅんれつ、英:permutation) という。
 
 
最初に並べるものはn通り、次に並べるものは (n−1)通り 、その次に並べるものは (n−2)通り ,... 最後には (n−(r−1))通り というように、だんだん選べるものの数が減って行くことに注目すると、順列の総数として
:<math> {}_n\operatorname{P}P_r_r = n (n-1) (n-2) \cdots (n-r+1) = \frac{n!}{(n-r)!}</math>
が得られる。
 
:※ なお <math> {}_n\operatorname{P}P_r_r </math> のP とは、順列を意味する英語 permutation の頭文字である。
 
一般に <math> {}_n\operatorname{P}P_r_r </math> では n ≧ r である。
 
 
 
(I)
:<math>{} _5 \operatorname{P} _3</math>
 
(II)
:<math>{} _4 \operatorname{P} _2</math>
 
(III)
:<math>{} _7 \operatorname{P} _3</math>
 
(IV)
:<math>{} _{10} \operatorname{P} _5</math>
 
(V)
:<math>{} _{10} \operatorname{P} _1</math>
 
(VI)
:<math>{} _7 \operatorname{P} _0</math>
をそれぞれ計算せよ。
 
** 解答
それぞれ
:<math>{} _n\operatorname{}P} _r = n (n-1) (n-2) \cdots (n-r+1) = \frac{n!}{(n-r)!}</math>
を用いて計算すればよい。
 
結果は、
(I)
:<math>{} _5 \operatorname{P} _3 = 5 \times 4 \times 3 = 60</math>
 
(II)
:<math>{} _4 \operatorname{P} _2 = 4 \times 3 = 12</math>
 
(III)
:<math>{} _7 \operatorname{P} _3 = 7\times 6\times 5 = 210</math>
 
(IV)
:<math>{} _{10} \operatorname{P} _5 = 10\times 9\times 8\times 7\times 6 = 30240</math>
 
(V)
:<math>{} _{10} \operatorname{P} _1 = 10 </math>
 
(VI)
:<math>{} _7 \operatorname{P} _0 = \frac {7!}{7!} = 1</math>
となる。
 
(V)と(VI)については一般的に整数nに対して
:<math>{} _n \operatorname{P} _1 = n</math>
:<math>{} _n \operatorname{P} _0 = 1</math>
が得られる。このとき
:<math>{} _n \operatorname{P} _0 = 1</math>
は元々の順列の定義からすると"n個のものの中から1つも選ばない場合の数"に対応しており、少々不自然なように思えるが、このように値を置いておくと便利であるため通常このように置くのである。あまり、実際の場合の数の計算でこのような値を扱うことは多くはないといえる。
 
円順列の総数として、次のことが成り立つ。
 
異なる n個 の円順列の総数は <math> (n-1)! </math> である。
 
==== 組み合わせ ====
n個の異なったものからr個を選んで、順番をつけずに並べる仕方の数を、<math> {}_n\operatorname{C}C_r_r </math>と書き、このような計算を 組み合わせ(くみあわせ、英:combination) という。
例えば、いくつもあるボールに番号がふってあるなどの方法で、それぞれのボールが区別できるn個のボールが入った箱の中からr個のボールを取りだす時、取りだしたボールを取りだした順に並べるとすると、この場合の数は順列<math>{} _n\operatorname{}P} _r</math>に対応する。
 
一方、取りだしたボールの種類が重要であり取りだした順番が特に必要でないときには、この場合の数は組み合わせ<math>{} _n\operatorname{}C} _r</math>に対応する。これらの数はお互いに異なった場合の数であり、互いに異なった計算法が必要となる。
 
<math>{} _n\operatorname{}C} _r</math>は、<math>{} _n\operatorname{}P} _r</math>通りの並べ方を作った後にそれらの並びを無視したものに等しい。ここで、r個を取りだして作った並びについて、並べ方を無視するとr!個の並びが同一視されることがわかる。
 
なぜなら、r個のお互いに区別できる数を自由に並び換える場合の数はr!であり、それらが全て同一視されるとすれば全体の場合の数は
r!の分だけ減ることになるからである。よって、
:<math> {}_nC_r_n\operatorname{C}_r =\frac { {}_nP_r_n\operatorname{P}_r }{r!} = \frac{n!}{(n-r)!r!}</math>
が得られる。
 
 
(I)
:<math>{} _5C_5\operatorname{C} _2</math>
 
(II)
:<math>{} _7C_7\operatorname{C} _3</math>
 
(III)
:<math>{} _{10}\operatorname{C} _1</math>
 
(VI)
:<math>{} _8C_8\operatorname{C} _0</math>
 
を計算せよ。
**解答
それぞれについて
:<math>{}_nC_n\operatorname{C} _r =\frac { {}_nP_n\operatorname{P} _r }{r!} = \frac{n!}{(n-r)!r!}</math>
を用いて計算すればよい。
 
(I)
:<math>{} _5C_5\operatorname{C} _2 = \frac {5\times 4}{2\times 1} = 10</math>
 
(II)
:<math>{} _7C_7\operatorname{C} _3 = \frac { 7\times 6\times 5} { 3\times 2\times 1} = 35</math>
 
(III)
:<math>{} _{10}\operatorname{C} _1 = \frac {10} {1} = 10</math>
 
(VI)
:<math>{} _8C_8\operatorname{C} _0 = 1 </math>
となる。(IV)については一般に整数nに対して
:<math>{} _nC_n\operatorname{C} _0 = 1</math>
を定義する。
 
実際にはこのような場合の数を計算しようと考えることはあまり無いと思われるが、計算の便宜上のため定義を上のようにする。
また、上の計算では
:<math>{} _n\operatorname{}C} _r =\frac { {}_n\operatorname{}P} _r }{r!}</math>
の式をそのまま用いると、
:<math>{} _nC_n\operatorname{C} _0 = \frac {{} _nP_n\operatorname{P} _0} {0!} = \frac 1 {0!} = 1</math>
つまり、
:<math>0! = 1</math>
ボールの取りだし方は組み合わせの数を用いて計算できる。
5つのボールの中から2つを取りだすのであるからその場合の数は、
:<math>{} _5C_5\operatorname{C} _2 = \frac {5!}{2!3!} = \frac { 5 \cdot 4 \cdot 3 \cdot 2\cdot 1}{(3 \cdot 2 \cdot 1)( \cdot 2 \cdot 1)}</math>
:<math>= 10</math>
となる。よって、ボールの取りだし方は10通りであることがわかる。
(I)
最初にボールを取りだすときには、6つのボールの中から3つのボールを取りだすことからその場合の数は
:<math>{} _6C_6\operatorname{C} _3</math>
だけある。また、次にそれを取り除いた中から2つのボールを取り除くときには
その取りだし方は、
:<math>{} _3C_3\operatorname{C} _2</math>
だけある。
よって、このときの場合の数は
:<math>{} _6C _3 \times {} _3C_3\operatorname{C} _2 </math>
だけになる。実際この値を計算すると、
:<math>{} _6C _3 \times {} _3C_3\operatorname{C} _2 = 20 \times 3 = 60</math>
となり、60通りであることが分かる。
 
(I)の場合と同様に6つのボールの中から2つのボールを
取りだすことからその場合の数は
:<math>{} _6C_6\operatorname{C} _2</math>
だけある。また、次にそれを取り除いた中から2つのボールを取り除くときには
その取りだし方は、
:<math>{} _4C_4\operatorname{C} _2</math>
だけある。
よって、このときの場合の数は
:<math>{} _6C _2 \times {} _4C_4\operatorname{C} _2 </math>
だけになる。実際この値を計算すると、
:<math>{} _6C _2 \times {} _4C_4\operatorname{C} _2 = 15 \times 6 = 90</math>
となり、90通りであることが分かる。
 
(III)
(II)と同じ計算で値を求めることが出来るが、今回はボールをいれた袋が
互いに区別できないことに注意しなくてはならない。
 
 
<math> {}_n\operatorname{C}C_r_r </math>について以下の式が成り立つ。
:<math> {}_nC_r = _n \operatorname{C} _{n-r}</math>   ,
:<math> {}_n C _r = _{n-1} C_r + _{n-1} \operatorname{C} _{r-1}</math>
 
 
導出
:<math> {}_n\operatorname{C}C_r_r = \frac{n!}{(n-r)!r!}</math>
を用いると、
:<math> {}_n\operatorname{C}C__{n-r} = \frac{n!}{(n-(n-r))!(n-r)!}</math>
:<math> = \frac{n!}{r!(n-r)!}</math>
:<math> = {}_n\operatorname{C}C_r_r </math>
が得られ、示された。
 
同様に
:<math> {}_n\operatorname{C}C_r_r = \frac{n!}{(n-r)!r!}</math>
を用いると、
:<math> {}_{n-1} C_r + _{n-1} \operatorname{C} _{r-1}</math>
:<math>= \frac {(n-1)!}{(n-1-r)!r!} +\frac {(n-1)!}{(n-r)!(r-1)!} </math>
:<math>= \frac {(n-r)}n {}_n\operatorname{C}C_r_r +\frac r n {}_n\operatorname{C}C_r_r</math>
:<math>= {}_n\operatorname{C}C_r_r</math>
となり示された。
 
 
* 問題例
:<math>{} _nC_n\operatorname{C} _r = _n \operatorname{\operatorname{C}} _{n-r}</math>
を用いて
(I)
:<math>{} _5C_5\operatorname{C} _3</math>
 
(II)
:<math>{} _7C_7\operatorname{C} _4</math>
 
(III)
:<math>{} _{10}\operatorname{C} _9</math>
 
(VI)
:<math>{} _8C_8\operatorname{C} _5</math>
をそれぞれ計算せよ。
 
答えを得ることが出来るが、通常は簡単化してから計算した方が楽である。
(I)
:<math>{} _5C_5\operatorname{C} _3 = {} _5C_5\operatorname{C} _{5-3} = {} _5C_5\operatorname{C} _2 = 10</math>
 
(II)
:<math>{} _7C_7\operatorname{C} _4= {} _7C_7\operatorname{C} _{7-4}={} _7C_7\operatorname{C} _3 = 35</math>
 
(III)
:<math>{} _{10}\operatorname{C} _9= {} _{10}\operatorname{C} _{10-9}= {} _{10}\operatorname{C} _1 = 10</math>
 
(VI)
:<math>{} _8C_8\operatorname{C} _5= {} _8C_8\operatorname{C} _{8-5}= {} _8C_8\operatorname{C} _3= 56</math>
となる。
 
 
なっていることに注意せよ。
 
___________
|_|_|_|_|_|
___________
|_|_|_*|_|_|
|_|_|*_|_|_|
|_|_|_|_|_|
|_|_|_|_|_|
 
 
左下にいる人は9回進むことで右上の点に辿り着ける。そのため、左下にいる人が選びうるルートの数は9回のうちのどの回で右ではなく上を
選ぶかの場合の数に等しい。このような場合の数は、9回のうちから自由に4つの場所を選ぶ方法に等しく、組み合わせを用いて書くことが出来る。実際に9回のうちから自由に4つの場所を選ぶ方法は、
:<math>{} _9C_9\operatorname{C} _4</math>
で書かれる。この量を計算すると、
:<math>{} _9C_9\operatorname{C} _4 = 126</math>
が得られる。
 
a点を通過して進むルートの数はa点の左の点までいってからa点を通過し、a点の右の点を通って右上の点までいく仕方の数に等しい。
それぞれのルートの数は(I)の方法を用いて計算することができる。この数を実際に計算すると、
:<math>{} _4 \operatorname{C} _2 \times {} _4 \operatorname{C} _2 = 6 \times 6 = 36 </math>
となり、36通りであることが分かる。
 
== 確率 ==
==== 確率の計算 ====
ある場合の数が、実際に現われる割合のことを確率(かくりつ、英:probability)と呼ぶ。
 
ある場合の数が実際に現われる割合は、その場合の数を割り算で、その事柄において起こり得る全ての事柄の場合の数で割ったものに等しい。
** 解答
赤白あわせて5個の玉から2個を取り出す方法は
:<math>{} _5C_5\operatorname{C} _2 = \frac {5\times 4}{2\times 1} = 10</math>(通り)
 
このうち、2個とも白玉になる場合は
:<math>{} _3C_3\operatorname{C} _2 = \frac {3\times 2}{2\times 1} = 3</math>(通り)
よって求める確率は <math> \frac {3}{10} </math>
 
|-
|style="padding:5px"|
(1)どんな事象Aについても、 <math>0 \leqq \operatorname{P}(A) \leqq 1</math><br>
(2)決して起こらない事象の確率は 0<br>
(3)必ず起こる事象の確率は 1
|style="padding:5px"|
AとBが排反事象のとき、AまたはBが起こる確率は
:'''<math>P(A \cup B) = P(A)+\operatorname{P}(B)</math>'''
|}
 
** 解答
12人の中から3人の委員を選ぶ場合の数は
:<math>{} _{12}\operatorname{C} _3 = \frac {12\times 11\times 10}{3\times 2\times 1} = 220</math>(通り)
ここで、「3人とも男子である」事象をA、「3人とも女子である」事象をBとすると、「3人とも同性である」事象は、和事象A &cup; Bであり、しかも、AとBは排反事象である。
 
:<math>\operatorname{P}(A) = \frac {{} _7C_7\operatorname{C} _3 }{220}= \frac {35}{220}</math> 
 
:<math>\operatorname{P}(B) = \frac {{} _5C_5\operatorname{C} _3 }{220}= \frac {10}{220}</math> 
よって求める確率は <math>P(A \cup B) = P(A)+\operatorname{P}(B) = \frac {35}{220} + \frac {10}{220} = \frac {45}{220} = \frac {9}{44}</math>
 
==== 余事象の確率 ====
|style="padding:5px"|
Aの余事象を<math>\overline{A}</math>とすると<br>
:'''<math>P(A) = 1 - \operatorname{P}(\overline{A})</math>'''
|}
 
** 解答
8個の玉から3個の玉を取り出す場合の数は
:<math>{} _8C_8\operatorname{C} _3 = \frac {8\times 7\times 6}{3\times 2\times 1} = 56</math>(通り)
いま、「少なくとも1個は白玉である」事象をAとすると、<math>\overline{A}</math>は「3個とも赤玉である」という事象だから
:<math>\operatorname{P}(\overline{A}) = \frac {{} _5C_5\operatorname{C} _3 }{56} = \frac {10}{56} = \frac {5}{28}</math>
よって求める確率は 
:<math>P(A) = 1 - \operatorname{P}(\overline{A}) = 1 - \frac {5}{28} = \frac {23}{28}</math>
 
=== 独立な試行と確率 ===
|style="padding:5px"|
2つの独立な試行S,Tについて、Sでは事象Aが、Tでは事象Bが起こる確率は<br>
:'''<math>P(A) \times \operatorname{P}(B)</math>'''
|}
<br>
|style="padding:5px"|
ある試行で、事象Eの起こる確率がpであるとする。この試行をn回繰り返すとき、事象Eがそのうちr回だけ起こる確率は<br>
:'''<math>{} _nC_n\operatorname{C} _r \; p^r \; (1-p)^{n-r}</math>'''
|}
 
:<math>\frac {2}{6} = \frac {1}{3}</math>である。
よって、1個のさいころを5回投げるとき、3の倍数の目が4回出る確率は
:<math>{} _5C_5\operatorname{C} _4 \; \left( \frac{1}{3} \right)^4 \; \left(1 - \frac{1}{3} \right)^{5-4} = \frac {10}{243}</math>
 
==== 期待値 ====
1,079

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