「高等学校政治経済/経済/物価の動き」の版間の差分

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→‎デフレと景気との関係: 数学的に不正確な部分を修正。
サムエルソンのモデルを w:乗数・加速度モデル 2022年3月3日 (木) 13:28‎ より引用。
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数学的にはまったく不正確な計算だが、しかし実際の20世紀のケインズ政策的な公共投資がこれと似たような考え方で行われてきたので(ただし消費Cではなく投資Iが駆動源だが)、まったくのデタラメな推論とは言えないし、歴史的にはニューディール政策など多くのケインズ的な政策に実例すらある。(※ どうしても数学的な厳密性にこだわるなら、記号をイコール「=」ではなく別の記号に変えるなどの工夫が必要かもしれない。ただし、小室はそのような工夫はしてない。本ページでも説明の単純化のため、小室と同様の一次方程式の記法で表現する事とする。)
 
ともかく、このような近似的な記法および推論が必要だが、単純な方程式を使うことで、なんと相互関係も記述できてしまうのである<ref>小室直樹、『小室直樹の経済原論』(復刊本)、東洋経済新報社、2015年6月11日発行(原著は1997年の刊行)、P363</ref>。(※ ただし、数値の具体的な算出には役立たない。)
 
 
小室の著作では紹介されていないが、経済学では下記の式が昔から知られている。
国民所得の上昇を好景気だとすれば、
 
すでに経済学者サムエルソンが、所得Yと消費Cを数列の方程式にして、計算を行っている。
 
サムエルソンなどにより、式
:<math>Y_t=C_t+I_t</math>
:<math>C_t = C + cY_{t-1}</math>
:<math>I_t = I + v (Y_{t-1}-Y_{t-2}) </math>
ただし、
* <math>Y</math>: GDP
* <math>C</math>: <math>C_t</math>はt期の消費。<math>C</math>は基礎消費。
* <math>I</math>: <math>I_t</math>はt期の投資。<math>I</math>は独立投資。
* <math>c</math>: 消費性向
* <math>t</math>: t期(時間)
* <math>v</math>: 加速度係数
 
が提唱されている。これは数列の連立方程式である。計算は頑張れば高校レベルでも計算可能だが(数列の式なので)、高校生には時間の節約のため計算の説明は省略する(詳しくはwikipedia『[[w:乗数・加速度モデル]]』を参照)。これをサムエルソンの「乗数・加速度モデル」という。
 
小室はおそらくサムエルソンの式を参考にしたのだろう。しかし、スパイラルの説明では、小室はサムエルソンの式を紹介していない。
 
 
代わりに小室は、 単純な一次方程式
:国民所得 Y = 消費 C + 投資 I
ともかくを使いこのような近似的な記法およびとみなした推論が必要だが、単純な方程式を使うことで、なんと相互関係も記述できてしまうのであるとした<ref>小室直樹、『小室直樹の経済原論』(復刊本)、東洋経済新報社、2015年6月11日発行(原著は1997年の刊行)、P363</ref>。(※ ただし、数値の具体的な算出には役立たない。)
 
 
小室によれば、国民所得の上昇を好景気だとすれば、
 
「Y=C+I」という式だけで、
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:・・・国民所得の上昇 → 消費の上昇 → 国民所得の上昇 → 消費の上昇 → ・・・
 
というスパイラルを表せたことになる<ref>小室直樹、『小室直樹の経済原論』(復刊本)、東洋経済新報社、2015年6月11日発行(原著は1997年の刊行)、P365</ref>としている
 
 
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なので、検定教科書などにある「デフレ・スパイラル」の意味は、経済数学などでは、あまり意味も無い。
 
サムエルソンの「乗数・加速度モデル」と、小室の著作にかかれた「インフレ・スパイラル」と「デフレ・スパイラル」の関係を知っていれば、つまりデフレ・スパイラル論は、インフレなどの研究に活用された「乗数・加速度モデル」の手法および成果を近似的に用いてデフレを研究・制御・記述などをしようという手法であろう。