「高等学校古文/漢文とは何か、漢文をどうして学ぶのか」の版間の差分

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これは、[[w:前漢|前漢]]期(紀元前206年 - 8年)に完成された漢文の、文法の簡潔性と漢字の強い抽象化機能の賜物といえ、東アジア文化圏において、西欧諸国における[[w:ラテン語|ラテン語]]と同じ機能を果たしたといえる。
 
日本では、朝鮮半島を通じ、漢字とともにその表現方法として、遅くとも4世紀には伝わったものとされる。日本においても、相当に長い期間、公式の文書は漢文で記されものとされていた。また、教養のひとつとして、漢文を読むことが、盛んになされたが、そのような環境において、漢文の語彙・文法を頭に入れ、それによって書いた文章も漢文の一種になる。ただ和語も混ざるので和様漢文とよばれる。『日本書記』などがそうである<ref>和様漢文は山川『日本史用語集』にあり</ref>。ただし、日本では、比較的早い時代に、日本語自体の音声の特徴にあった表記方法である'''かな'''(仮名、即ち、「仮の表現」。これに対して、漢字を『真名』という)が発明され、表現方法としても、漢字の抽象化機能を生かしたまま表現できる「[[w:和漢混淆文|和漢混淆文]](和漢混交文)」が工夫されたため、自由に日本語を表現することができた。
 
近代に至って、日本が明治維新を向かえ、近代化の一環として、話し言葉(口語)と書き言葉(文語)を近づけることにより、社会の変化に柔軟に対応できることを可能にするための[[w:言文一致運動|言文一致運動]]を起こしたのと同様に、清朝が滅んでからの中国は、近代化を進めるために、書き言葉を話し言葉に近づける運動がなされた。これを、[[w:白話運動|白話運動]](「白」は「告白」等に見られる「いう」の意)という。これは、清以降、中華民国を経由し、現代の中国である中華人民共和国における表現方法となっており<ref>そのため、現代の中国語では、北京周辺の標準語(これを普通話という)と、各地の方言(広東語など)は、文字表現も異なることとなっている</ref>、漢文は中国語を表す表現方法となっていない。しかし、現代の中国人も、古典となった中国語を読み、暗記し、そこにおける語彙や文の作りを覚え、古典の文体で書くことがあり、それも「漢文」といえる。
 
===高校漢文===
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次の時代である戦国時代に、孔子の弟子筋により、孔子の言行録である「[[論語]]」が編纂される。この頃漢文の表記法が一応の完成を見せ、また、その後の中国において国教ともいえる位置を占める[[w:儒教|儒教]]の創始者である孔子の「論語」は、長期にわたって東アジア全体に大きな影響を与えた。高校漢文においても、最も重要なテキストのひとつである。
 
この時代、中国は社会体制の大きな転換期であり、儒教のみならず、いろいろな思想が各地で興った、これを[[w:諸子百家|諸子百家]]という。彼らは、自らの思想を分かりやすく伝えるため、多くのたとえ話をした。これらの多くが現代にも「故事成語」として残るものである。これらの、出典としては、儒家の「[[孟子]]」、道家の「[[荘子]]」、兵家の「[[孫子]]」等が有名である。検定教科書や参考書には、孫子を除く、孟子や荘子などがく取り上げられる。
 
この転換期の混乱を[[w:秦|秦]]の[[w:始皇帝|始皇帝]]が収め、その業績を漢が継ぎ、実に数百年ぶりに、国土の安定を得る。中国には歴史を重んずるという伝統があるが([[高等学校古文/歴史書]]参照)、この国家の安定において、過去の各地の歴史書を大成した作品が生まれる。[[w:司馬遷|司馬遷]]による「[[高等学校古文/歴史書/史記|史記]]」である。これは、それ以前の歴史を大成するのと同時に、その後の中国の[[w:正史|正史]]の形を決め、論語同様、東アジア全体に大きな影響を与えた。勿論、高校漢文においても、最も重要なテキストである。極論を言うなら、「論語」と「史記」が、ある程度読みこなせれば、その水準の3/4程度は達したものと考えても良いくらいである(あと、1/4は後述する漢詩である)。
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語句の意味、用法、文の構造を理解する。その方法は、辞書を引くことなどになる。漢文の場合は、おのおのの漢字と熟語については、漢和辞典を引く。句形や置字については、教科書の中で説明を探すか、漢和辞典の句形や置字の解説をよむ。また、熟語の中で、専門用語の場合は、広辞苑など詳しい国語辞典を引く。
 
漢字を引くことについては、教科書・受験問題に関わらず、自分が目にする文章を、冒頭からながめ、すこしでもひっかかり、意味がすぐに思いかばないものは、どれも辞典を引く。辞典を引くのは時間がかかるようだが、自分で意味を考え出そうとして時間をかけるより引いた方が早く、ひとつひとつ地道にやっていくと意外と進みははやい。
 
===内容を構成や展開にそくしてとらえる===
内容を構成や展開にそくしてとらえる。その方法は、語句の意味や句形につうじて、それにより目にしている文章の全体を見渡たせるようになることである。漢文を、日本語の文章と同じような感覚ですらすらよめる、そういう状態を想像し勉強をする。
 
また構成や展開にそくしてとらえる、というのは、目にしている文章のあるフレーズについて、そのようにする、ということである。それは、一面としてつぎのことである。目にしているフレーズ内の語句が、同じ文章内のべつの箇所にもていないかをさがし、べつの箇所での、その語の用法をみる。つまりその語がどういうほかの事物とイメージ的に結び付けられているかをみる。そしてその〈用法〉を、もとの目にしていたフレーズにあるその語句に代入して読む。
 
このような、他の箇所での用法をてそれを代入して読む、というやりかたが客観的な漢文の読解法になる。
 
===思想や感情を読み取る===
人間、社会、自然などにたいする思想や感情を読み取る。その方法も、他の箇所での用法をみてそれを代入して読む、ということになる。これが著者にそくして客観的に読み取る方法である。
 
===優れた表現の理解===