|ブドウの果実中に存在
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脂肪族の1価カルボン酸を'''脂肪酸'''という。 ▼
鎖式
分子中の炭素数が少ないカルボン脂肪酸を'''低級カルボン脂肪酸'''、炭素の多いカルボン脂肪酸を'''高級カルボン脂肪酸'''という。低級カルボン酸はカルボキシ基(-COOH)の性質が強く現れまた、水に溶けて炭素間結合が単結合のみの脂肪酸性を示す。この'''飽和脂肪酸性の強さは'''、硫二重結合または三重結合を含む脂肪酸や硝を'''不飽和脂肪酸・塩'''という<ref>飽和脂肪酸などの強酸よりは弱く、炭酸より強素原子に結合できる水素が飽和している。一方、高級カルボン不飽和脂肪酸は二重結合または三重結合の部分に水素を付加出来るため、炭化素原子に結合できる水素とが飽和しての性質が強く現れ、水に溶けにくい油状の固体ないという意味である。</ref>。
分子中のカルボキシ基の個数による分類もある。ギ酸や酢酸のように分子中にカルボキシ基を1つ持つカルボン酸を1価カルボン酸(モノカルボン酸: mono-carboxylic acid)といい、カルボキシ基を2つ持つカルボン酸を2価カルボン酸(ジカルボン酸: di-carboxylic acid)という。
▲脂肪族の1価カルボン酸を'''脂肪酸'''という。
=== ギ酸 ===
なお、乳酸は、近年では、生分解性樹脂の原料としても、活用されている。
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== 不斉合成 ==
* ラセミ体
香料などに使われるメントールはアルコールの一種であるが、メントールには''l''体と''d''体とがあり、このうち香料としての作用があるのは''l''体のみである。光学異性体をもつ化合物を、通常の方法で化学合成して作ろうとすると、''l''体と''d''体との等量混合物(「ラセミ体」という)ができてしまう。
しかし近年、特別な触媒を用いた合成によって、さまざまな光学異性体の化合物の''l''体と''d''体とを区別して、そのうちの一方だけを選択的に合成できる手法が確立された(不斉合成、「ふせい ごうせい」)。
[[ファイル:Menthol_synthesis.png|サムネイル|600x600ピクセル|ミルセンをもとにした、メントールの不斉合成]]
そのような不斉合成の例として、''l''-メントールの不斉合成がある。
メントールには図のように、環状部分があり、そのため、表裏があり、そのため、無計画な合成反応では''l''体と''d''体とが生じてしまう。(キシレンやベンゼンなど、最初から環の形をした化合物に置換基を足していく方法だと、''l''体だけを合成することはできない。)
日本の野依良治(のより りょうじ)は、''l''-メントールをめざす(不斉)合成のさい、ミルセンという非環状アルケン化合物をもとに、メントルの非環状部分に近い構造を先に合成しておき、あとから別の反応で、このメントールの環状部分に相当する部分に閉じる方法をもちいることにより、高収率で''l''-メントールを不斉合成する方法を発見した。野依はそのほかにも不斉合成に関する業績を多く持ち、その業績によりノーベル化学賞を2001年に受賞した。
[[ファイル:BINAP_Enantiomers_Structural_Formulae_V.1.svg|サムネイル|300x300ピクセル|BINAP触媒]]
また、この''l''-メントールなどの不斉合成の際に用いる触媒であるBINAP(バイナップ)触媒は、野依が開発した。
[[ファイル:BINAP_3D.png|左|サムネイル|BINAP触媒の立体構造]]
: BINAP触媒のビナフチル骨格は、図のようにねじれた構造になっており、そのねじれが時計まわり、または反時計まわりのいずれかになっている。時計回りと反時計まわりとの間の相互変換は、かさ高い-P(C6H5)2(ジフェニルホスフィノ)基と上下のナフチル基で向かい合った(ぺリ位という位置)水素によって妨げられる。すなわち、一定の方向のねじれを有するため、特定の立体構造を選択できる。
なお、ミルセンそのものは、松やハッカや月桂樹などの植物に含まれる化合物でもある。(※ ウィキペディア日本語版『ミルセン』による)工業的には、松などに含まれるビネンなどの熱分解で合成できる。
: なお、BINAP触媒そのものにも、時計まわりのものと反時計まわりのものがあり、それぞれ鏡像異性体の関係である。(乳酸のような不斉炭素原子による不斉を中心不斉と呼ぶのに対して、BINAPのそれは軸不斉と呼ぶ。大学以上の内容です。)
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== 入試範囲 ==
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「油脂」の定義は、あまり化学的に厳密ではない。よく用いられる定義は、「油脂は、グリセリン (C<sub>3</sub>H<sub>5</sub>)OHと脂肪酸とのエステルである」という定義である。しかし、高級脂肪酸とのエステルに限定する場合もある(啓林社の教科書)。
一般に、パルミチン酸などの脂肪酸を化学式に含むものを、「油脂」という場合が多い。
動植物の体内の「油」や「脂肪」といわれるものには、この組成(グリセリン (C<sub>3</sub>H<sub>5</sub>)OHと脂肪酸とのエステル)のものが多いので、(特別あつかいしてか、)「油脂」という用語がある。(※ 検定教科書や大学教科書では、厳密性を重視してか、こういう説明は無い。しかし、こういう背景事情が無いと、なぜ、こういう用語があるのか意味不明だろう。)
英語の fat and oil が、日本語の「油脂」の意味に近い。(実教出版の化学資料集では、fats and oils を油脂の英訳としている。)
ただし、一般に単に「油」 oil とだけ言った場合、かならずしもグリセリンや脂肪酸を含むとは限らないので、気をつける必要がある。
さて、カルボン酸には、パルミチン酸のように脂肪の成分になっているものが多い。
このため、鎖状の炭化水素基と1つのカルボキシル基からなる鎖状モノカルボン酸を'''脂肪酸'''という。なお、「油脂」を加水分解すると、脂肪酸とグリセリンが得られる (定義から当然。脂肪酸とグリセリンの化合物を「油脂」というから)(反応式については、詳しくは後の節で後述する)。
天然の油脂を構成する脂肪酸には、炭素数が16〜18の高級脂肪酸のものが多い。
さて、冒頭の表中に「ヒドロキシ酸」とある。分子中にヒドロキシ基 -OH とカルボン基 -COOH の両方をもつカルボン酸のことを'''ヒドロキシ酸'''という。乳酸やクエン酸、リンゴ酸や酒石酸がヒドロキシ基である。
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[[File:Glycerol structure.svg|thumb|グリセリン]]
ごま油や牛脂などの'''油脂'''(ゆし、fats and oils)は、脂肪酸とグリセリン (C<subchem>C3H5(OH)3</subchem>H<sub>5</sub>)OH がエステル結合したものである化合物を'''油脂'''という。
つまり、ごま油も牛脂も、脂肪酸とグリセリン (C<sub>3</sub>H<sub>5</sub>)OH がエステル結合したものだという共通性がある。
なお天然の油脂を構成する脂肪酸には、パルミチン酸やステアリン酸のような高級脂肪酸が多い。
油脂のうち、室温で固体の油脂を'''脂肪'''(しぼう、fat)(fat)といい、液体の油脂を'''脂肪油'''(fatty oil)という。
脂肪は飽和脂肪酸により構成されているものが多く (飽和脂肪酸は融点が高いので)、いっぽう脂肪油は不飽和脂肪酸により構成されているものが多い。
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