「高校化学 酸素を含む脂肪族化合物」の版間の差分

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乳酸は、糖類の発酵によって生じる。
 
==== 光学鏡像異性体 ====
[[ファイル:Lactic-acid_enantiomer_jp.svg|サムネイル|500x500ピクセル|乳酸の光学異性体]]
乳酸(lactic acid)は、ヨーグルトなどの乳製品に含まれているヒドロキシ酸であるが、この乳酸は炭素原子に結合している4つの原子や原子団が、4つとも異なる。このように、4本のうでにそれぞれ異なる置換基が結合した炭素原子を、'''不斉炭素原子'''(asymmetric carbon atom)という。たとえば、乳酸(CH{{sub|3}}CH(OH)COOH)には不斉炭素原子が1個存在する。
[[ファイル:Lactic_acid-stereocenter.svg|中央|300x300ピクセル|乳酸の不斉炭素原子]]
上図を見ると分かるように、*印をつけた炭素原子の周りに、それぞれ色分けされた4つの異なる置換基が結合しているのが分かる。この*印がついた炭素原子が不斉炭素原子である。
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ここで上の構造式は平面上に書かれているが、現実にはこの分子は立体として存在する。不斉炭素原子を中心とした正四面体の各頂点に、結合軸が配置しているのである。すると、構造式が上のように同一であっても、立体的にはどう動かしても重ね合わせることのできないものが存在する。これらは、たがいに鏡に写した関係にある。
 
このように、構造式が同一である鏡写しの関係もかかわらず立体的には重ね合わせることのできった異性体を'''光学鏡像異性体'''(optical isomer)といったり、あるいは'''鏡像(enantiomer)<ref>光学異性体'''(enantiomer)よぶも</ref>という
 
光学異性体の一方をL体といい、もう一方をD体という。
 
光学鏡像異性体の一方をL体といい、もう一方をD体という。
L体とD体との関係のたとえとして、よく、右手と左手との関係にたとえられる(検定教科書でも、そういう例えが多い)。
 
L鏡像異性とD体との関係のたとえとして、よく、右手と左手との関係にたとえられる(検定教科書でも、そういう例えが多い)
光学異性体は、L体とD体とで、融点や密度などほとんどの物理的性質は同じだし、化学反応に対する化学的性質も同じである。しかし、偏光に対する性質や、また、味や におい などの生理作用が異なる。 偏光については、L体とD体とで、偏光をする向きが逆方向である。
 
光学鏡像異性体は、L体とD体とで、融点や密度などほとんどの物理的性質は同じだし、化学反応に対する化学的性質はほとんど同じである。しかし、偏光に対する性質や、また、味や におい などの生理作用が異なる。 偏光については、L体とD体とで、偏光をする向きが逆方向である。
乳酸のほかにも、アミノ酸の一種であるアラニンにも不斉炭素原子が存在し、よって光学異性体が存在する。
 
なお、乳酸は、近年では、生分解性樹脂の原料としても、活用されている。
=== 水溶液中の水素結合 ===
カルボン酸が比較的に水に溶けやすいものが多いのは、水素結合によると考えられている。
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:CH{{sub|2}}(OH)-CH(OH)-CH{{sub|2}}OH + 3HNO{{sub|3}} &rarr; CH{{sub|2}}(ONO{{sub|2}})-CH(ONO{{sub|2}})-CH{{sub|2}}ONO{{sub|2}}
:[[File:Nitroglycerin vzorec.png|center|thumb|ニトログリセリン]]
 
 
== 予備知識 ==
 
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脂肪酸の構造中、不飽和化(二重結合や三重結合が多いほど)しているほど、融点は低い。
 
いっぽう、飽和脂肪酸(つまり単結合ばかりの脂肪酸)は比較的、融点が高い(つまり、融けにくい)。
 
そのため飽和脂肪酸は、室温で固体のものが多い。
 
 
いっぽう、不飽和脂肪酸は、融点が低い。なので不飽和脂肪酸は、室温で液体のものが多い。
 
天然の油脂を構成する脂肪酸には、炭素数が16〜18の高級脂肪酸のものが多い。
 
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== 油脂 ==
[[File:油脂の構造.svg|thumb|300px|油脂の構造]]
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脂肪酸とグリセリン <chem>C3H5(OH)3</chem> がエステル結合した化合物を'''油脂'''という。
 
なお天然油脂のうち、常温で固体の油脂を構成する'''脂肪酸には'''(fat)パルミチン酸やステアリン酸液体ような高級油脂を'''脂肪酸が多油'''(fatty oil)と
 
脂肪は飽和脂肪酸により構成されているものが多く、脂肪油は不飽和脂肪酸により構成されているものが多い。
油脂のうち、室温で固体の油脂を'''脂肪'''(fat)といい、液体の油脂を'''脂肪油'''(fatty oil)という。
 
脂肪これ飽和脂肪酸により構成されていは直線状であが多く (に対して、不飽和脂肪酸は融点二重結合の部分で折れ曲った形をしてるため、こで)立体構造により分子同士が近づきにくくなり、分子間力が働きにくくなるためいっぽう脂肪油は不飽和脂肪酸の融点が低くなることにより構成されていものが多い
 
天然に存在する脂肪酸は常に分子中の炭素の個数が16か18のものが多い。
 
以下に、油脂を構成する主な脂肪酸の例を示す。
油脂を構成する脂肪酸は様々であるが、天然に存在する脂肪酸は常に分子中の炭素の個数が偶数個となっている。飽和脂肪酸は直線状の分子となっているが、不飽和度が高くなるほど分子は折れ曲がった形状となる。以下に、油脂を構成する主な脂肪酸の例を示す。
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