「高等学校化学II/医薬品の化学」の版間の差分

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医薬品が、それを使用した生物におよぼす変化を'''薬理作用'''という。
 
人類は、古代の時代から天然の植物などから医薬品として機能するものを採取して使用してきた。たとえば、薬草などである。このよう天然由来の医薬品を'''{{Ruby|生薬|しょうやく}}'''という。
 
現在では、人工的に化学合成された有機化合物が、医薬品として多く使用されている。
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19世紀初頭に、化学分析によって、サリシンや、それから生じる'''サリチル酸'''の存在が知られ、解明されていった。サリチル酸は、サリシンが体内で加水分解されて生じる。
 
そして19世紀に、サリチル酸解熱鎮痛薬として、さかんに使われていたが、胃に悪影響を与えることが、しだいに分かっていった。そのため、19世紀後半ごろには副作用の弱い'''アセチルサリチル酸'''が開発され使用されるようになった。
 
アセチルサリチル酸は1898年にドイツで「'''アスピリン'''」の商品名で医薬品として売り出され、現在でも解熱鎮痛薬としてアスピリンの名前で世界各地で売られている。(日本では、某社の『バファリン』などにも、アスピリンが含まれている。)
しかし、サリチル酸は、胃に悪影響を与えることが、しだいに分かっていった。
 
[[File:アセチルサリチル酸.svg|thumb|アセチルサリチル酸]]
さて、サリチル酸の副作用のため、胃に悪影響を与えない解熱鎮痛薬の開発が進められ、そして19世紀後半ごろに副作用の弱い'''アセチルサリチル酸'''が開発され使用されるようになった。
 
アセチルサリチル酸は1898年にドイツで「'''アスピリン'''」の商品名で医薬品として売り出され、現在でも解熱鎮痛薬としてアスピリンの名前で世界各地で売られている。(日本では、某社の『バファリン』などにも、アスピリンが含まれている。)
 
現在では、サリチル酸系の多くの医薬品が存在している。
 
[[File:アセチルサリチル酸.svg|thumb|アセチルサリチル酸]]また、サリチル酸にメタノールを反応させて作ることのできる'''サリチル酸メチル'''は、消炎鎮痛薬(筋肉痛などを抑える薬)として用いられている。たとえば、某社の『サロンパス』などのように、サリチル酸メチルは湿布薬として用いられていたりする。
 
 
なお、これらサリチル酸系の解熱薬は、けっして細菌などを攻撃してるのではなく、熱や炎症などの症状をやわらげるだけである。このように、病原菌を攻撃せず、症状をやわらげる事が主な作用の医薬品を、'''対症療法薬'''(たいしょうりょうほうやく)という。
 
またなお、サリチル酸メチルは揮発性の液体である。
 
 
(※ 範囲外? :)なお、「対症療法」とは、病気の根本原因を取り除かすに、または取り除けずに、症状をやわらげる事を言う<ref>文部科学省『疾病と看護』、平成25年1月20日発行、P420 </ref>。対症療法では根本原因を除けないが、症状が激しすぎて衰弱の激しい患者に対しては対症療法も価値がある<ref>文部科学省『疾病と看護』、平成25年1月20日発行、P420 </ref>。
 
 
* 参考: プロスタグランジンとサリチル酸系医薬品との関係 (※ 教科書の範囲外)
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=== 抗生物質 ===
微生物がつくりあげる化学物質で、ほかの微生物や細菌を殺したり、ほかの微生物や細菌の増殖を阻害したりする作用(抗菌作用)のあるものを'''抗生物質'''(こうせい ぶっしつ、antibiotics(antibiotics <ref>荻野治雄『データベース4500 完成英単語・熟語【5th Edition】』、桐原書店、2020年1月10日 第5版 第6刷発行、P.388</ref>)という。
 
1929年にイギリスのフレミングは、アオカビから取れる物質に、このような抗菌作用があることを見つけ、この物質に'''ペニシリン'''(Pencillin)と名付けた。
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なお、ストレプトマイシンは、結核にきく抗生物質である。土壌細菌のつくる物質からストレプトマイシンが発見された。
 
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サルファ剤や抗生物質のように、病気をおこす細菌や微生物を、直接、細菌への破壊的な作用を起こすことで、病気を治療する医薬品を'''化学療法薬'''という。
 
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* ペニシリンの作用の仕組み
[[File:ペニシリンG 化学構造.svg|thumb|450px|ペニシリンG]]