「高等学校化学II/医薬品の化学」の版間の差分
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医薬品が、それを使用した生物におよぼす変化を'''薬理作用'''という。
一般に、医薬品は体内でさまざまな作用を起こす。このうち、治療の目的に沿った作用を'''主作用'''といい、それ以外の作用を'''副作用'''という。▼
人類は、古代の時代から天然の植物などから医薬品として機能するものを採取して使用してきた。このような天然由来の医薬品を'''{{Ruby|生薬|しょうやく}}'''という。▼
=== 歴史 ===
現在では、人工的に化学合成された有機化合物が、医薬品として多く使用されている。▼
[[ファイル:Papaver somniferum 2021 G3.jpg|サムネイル|ケシの実を傷つけて出た液体を乾燥させたものがアヘンである。]]
ケシの実から取れる果汁を乾燥させたアヘンも古代から知られている生薬の一つである。アヘンは、紀元前1500年のエジプトでは鎮痛剤として利用されていた。
▲一般に、医薬品は体内でさまざまな作用を起こす。このうち、治療の目的に沿った作用を'''主作用'''といい、それ以外の作用を'''副作用'''という。
19世紀初頭、アヘンから、麻酔・鎮痛薬の'''モルヒネ'''が抽出された。▼
19世紀後半に、いくつかの薬の化学構造が解明され、これらの成果をもとに、いくつかの薬品が合成された。▼
1910年ドイツのパウル・エールリヒと{{Ruby|秦佐八郎|はたさはちろう}}によって梅毒の治療薬サルバルサンがつくられた。
▲現在では、人工的に化学合成された有機化合物が、医薬品として多く使用されている。
== サリチル酸系の医薬品 ==
古くから、ヤナギの樹皮には
19世紀初頭に、化学分析によって、サリシンや、それから生じる'''サリチル酸'''の存在が知られ、解明されていった。サリチル酸は、サリシンが体内で加水分解されて生じる。
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微生物がつくりあげる化学物質で、ほかの微生物や細菌を殺したり、ほかの微生物や細菌の増殖を阻害したりする作用(抗菌作用)のあるものを'''抗生物質'''(antibiotics <ref>荻野治雄『データベース4500 完成英単語・熟語【5th Edition】』、桐原書店、2020年1月10日 第5版 第6刷発行、P.388</ref>)という。
1929年にイギリスのフレミングは、アオカビから取れる物質に、このような抗菌作用があることを見つけ、この物質に'''ペニシリン'''
:(※ 暗記は不要: )パンなどに生える青色のカビも通常、アオカビである<ref>David P.Clark 原著『クラーク分子生物学』、田沼靖一 監訳、平成19年12月10日 発行、丸善、P36</ref>。
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細菌は突然変異により、抗生物質の効かない細菌が生まれて、生き残ることがある。そのような、抗生物質につよい細菌を'''耐性菌'''
抗生物質を無闇に使い続けると、このような抗生物質のきかない微生物だけを残して増やしてしまう。
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* ペニシリンの作用の仕組み
[[File:ペニシリンG 化学構造.svg|thumb|450px|ペニシリンG]]
ペニシリンG の構造の
▲19世紀初頭、アヘンから、麻酔・鎮痛薬の'''モルヒネ'''が抽出された。
▲19世紀後半に、いくつかの薬の化学構造が解明され、これらの成果をもとに、いくつかの薬品が合成された。
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