「高校物理 波」の版間の差分

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水面を一定リズムでつついた時などの水面波は、たとえそのリズムの周期が精密に一定周期であっても、厳密にいえば、正弦波ではない。なぜなら、水面波の波面の発生のさい、水面の表面張力などが水面に作用していたり、さまざまな力が混ざっており、このため、水面波の波面の形状は、正弦波とは、ややズレている。また、媒質の水が部分的に円運動をしているなど、横波なのか縦波なのか、あまりハッキリとは区別できない。このように、水面波の仕組みは複雑である。
 
しかし、計算のための概略的な近似として、水面波の水面の形状にも近似的に正弦波を用いる場合はある。しかし、あくまで近似である。
 
 
137 行
図のように、ばねを水平に置き、端部を持ち、ばねの長さ方向に振動させると、波の振動の方向と、波の進行方向とが、同じ方向になる。
 
このように、振動の方向と、進行の方向とが、同じ方向である波を'''縦波'''(たてなみ、longitudinal(longitudinal wave)という。
 
ばねの縦波の場合、図のように、ばねが引き伸ばされて'''疎'''(そ)になった部分と、ばねが集中して'''密'''(みつ)になっている部分が、出来る。
 
ばねに限らず、一般に、縦波では必ず、粗密(そみつ)が出来るので、縦波のことを'''疎密波'''(そみつは、compression(compression wave)ともいう。
 
音の正体である音波も、縦波である。音(音波)は、空気中や液体中を、縦波として伝わる振動である。
 
:※ 数式で縦波を表したい際は、縦波の強さも、(高校レベルでは)三角関数で近似してよい。(入試などでも、そのような出題は多い。)
 
==いろいろな波==
*実験
金属の棒を持って来て片方を軽く叩いてみる。このとき、反対側に振動が伝わってくることを確かめる。
 
[[File:Wanderwelle-Animation.gif|thumb|right|横波の伝わり方。]]
[[File:P-wave longitudinal-wave jp.svg|thumb|right|300px|縦波のイメージ。地震のP波は縦波である。]]
 
実際には、この振動には2種類が存在する。まず一方は、振動が伝搬する方向と各点の変移が垂直である場合である。もう一方は、振動が伝搬する方向と各点の粒子の変移の方向が一致している場合である。
 
 
これらの波は、変移の波の伝搬方向に対する向きから区別され、伝搬方向と振動方向とが垂直の波を'''横波'''(よこなみ、transverse wave)と呼び、もういっぽうの伝搬方向と振動方向とが同じ波を'''縦波'''(たてなみ、longitudinal wave)と呼ぶ。一般には固体中を伝搬する縦波と横波の速度は、互いに異なっている。
 
 
固体を伝搬する波の例として、地震で生じる、振動の伝搬があげられる。地震の波は地震波(じしんは)と呼ばれ、その伝搬は固体としての地面そのものだけではなく、地面の上にある建造物などにも激しいゆれを与える。地震波にも縦波と横波があり、それらはそれぞれ'''P波'''と'''S波'''と呼ばれる。一般に、P波はS波よりも速度が大きいが、地面の上に大して大きな振動を与えるのはS波の方であるので、P波と思われる波を感じたら後に来る振動に備えて対処するのがよい。
 
 
身近な波の例として、最後にあげるのが光である。すでに[[中学校理科]]で光と音については似た性質があることが説明された。音と同様、光もまた波としての性質を持つ。これは、例えば後で述べる 回折(かいせつ) や 干渉(かんしょう) などの現象が、光に対しても観察されることからも明らかである。
 
:(※編集者へ 光の干渉の図)
一方、光はここまでにあげた波とは異なった性質も持つ。実は、いままでの波と違って、光はこれを媒介する物質を持たない。例えば、音は気体を媒介として伝搬されるので、真空の宇宙を音が通過することはできない。一方、光は真空の宇宙ですら自由に通過できる。これは、例えば太陽からの光が地球に届いて来ることからも、確かである。光の性質について、より詳しくは下の発展の項を参照。
 
:
*発展 光の性質:波と粒子の二重性
既に述べたが、光は波の性質を持ちながら、それを媒介する物質を持たないという性質を持つ。これは一見矛盾して見える。実際にはこのことは光だけでなく、粒子の一般的な性質を知る上で、重要な事柄である。この矛盾の現代的な解釈は、光は波であると同時に一つの粒子としての性質を持っている(粒子としての性質を強調するとき、特に[[w:光子]]と呼ばれることがある)という事である。つまり、波であるから光が波の性質を持つのは当然であり、同時に粒子でもあるので媒介する物質を持たないことも当然であるというのが矛盾に対する答えである。この性質は「波と粒子の二重性」と呼ばれ、光子だけでなくあらゆる粒子に関して成立する事柄である。
 
この記事では、この性質について詳しく述べることはできない。詳細は[[高等学校理科 物理II]]などを参照。
 
 
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:(※ 作図をお願い)
 
 
{{-}}
=== ホイヘンスの原理 ===
 
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|入射先の物質の屈折率
|}
 
 
{{コラム|エバネッセント光 (高校の範囲外)|
[[Image:Tirfm.svg|thumb|right|300px|(落射型の)全反射蛍光顕微鏡の構造<ol>
<li>試料</li>
<li>エバネッセント光</li>
<li>カバーガラス</li>
<li>オイル</li>
<li>対物レンズ</li>
<li>蛍光(検出する信号)</li>
<li>励起光</li>
</ol>]]
 
じつは、光が全反射をするとき、光のごく一部が、境界面で反射しきれずに、少量の光が向こう側の媒質に、はみでてから、光が反射する。このため、光は向こう側の媒質に、少しだけ、はみでており、このような光のことを'''エバネッセント光''' (evanescent light) という。
 
しかし、はみでる長さは、わずか数マイクロメートルほどの、かなり小さい長さである。高校の範囲では、エバネッセント光は、無いものとして、考えても平気である。
 
しかし、境界面にぶつかった光のほとんどの割合は、向こう側の媒質にハミ出ずに、境界面で反射するので、なのでエバネッセント光による位相のズレは、高校範囲では、考えなくて良い。
 
また、このエバネッセント光の計算は、高度に専門的なので、大学入試には出ないだろうから、高校生は安心して良い。
 
エバネッセント光の実用として、すでに、顕微鏡に応用されている。生命科学などで応用されている全反射照明蛍光顕微鏡では、媒質の境界面付近だけにエバネッセント光がしみだすので、境界面付近のごく薄い厚さの領域にだけ、光を当てることができる。これを利用して、領域外の物質が顕微鏡に写ることを遮断できる。
 
}}
 
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