「高等学校物理/物理II/電気と磁気」の版間の差分

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Nermer314 (トーク | 投稿記録)
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152 行
 
:ただし、ヘルツのような方法で測定できる波長は、人間が肉眼で確認できて手で動かせるような程度の波長の大きさの場合だけであろう。つまり、センチメートル単位や1メートル以上とかのような波長である。いっぽう、もし波長がナノメートル単位やマイクロメートル単位などの場合は、回折格子などを使って波長を測定することになる。詳しくは『[[高等学校物理/物理II/原子と原子核]]』のコラムを参照せよ。フラウンホーファーやラザフォオードなどの物理学者がスペキュラム合金などの素材を用いて回折格子を作成している。
 
 
{{コラム|(※ 範囲外: )医療MRIの磁気の波も、物理学的には電磁波|
マクスウェルの方程式では、上述のように電場の変化が生じると、磁場の変化も生じて、さらにその磁場の変化によりまた電場も変化していく・・・という現象を微分方程式で記述している。
 
マクスウェル方程式の意義として科学面では、放射線(X線)もテレビ電波やラジオ電波も可視光(太陽光や電気照明など)も、すべて電磁波であるとして統一的に式計算をできるようになるという科学的な意義がある。X線と可視光との違いは、単に波長(および、波長によって決まる量子エネルギー)の差である、と現代(21世紀)では考えられている。
 
ここで産業への応用として気になるのは、20世紀後半以降の医療では、X線によるレントゲン撮影の代わりに磁場を使って人体などの内部を観察するMRIなどの技術がある、という事。
 
MRIは、磁場ばかりが取り上げられて、X線と違って安全性があると主張されるが、しかしマクスウェルの方程式からでは、磁場を使った以上、たといMRI磁場であっても電場が派生的に発生するハズで、なんらかの電磁波が発生する事になる(波長はともかく)。
 
 
しかし、大学の物理学の教科書や大学の電気電子工学の電磁波工学の教科書を読んでも、あまりこういった実用面の疑問は答えていない。(MRIの専門書はどうか知らないが、少なくとも、『物理学』や『電磁波工学』などの科目では、まったく検証されていない。)
 
: ※ MRI は高校でも習うし、電磁波も(微分を使わない範囲で)仕組みだけ文章で高校で習うが、しかしMRIの電磁波がどうなってるか、大学でもマトモに扱われていない。
 
なお、MRIは、体内の水素原子と共鳴する波長だけを選択的に人体に照射して、その反応の電磁波を観察する、という仕組みである。核磁気共鳴法(かくじき きょうめいほう)という仕組みの一種。(なお、電子レンジも、これと似たような仕組み。)
 
 
読者は「体内を電磁波が通っても平気なのか?」という疑問もあるかもしれないが、なんと赤外線も体内を通過しているので、その点は読者は安心していい。銀行ATMなどにある「静脈認証」システムも、赤外線による観察システムである。
 
 
病院や銀行では、(科学リテラシーのとぼしい)利用者を安心させるために、ことさらにX線とMRIと赤外線との共通点(すべて電磁波である)を挙げない。しかし物理学では、X線も磁場の波も赤外線も、すべて電磁波である、あるいは電磁波を発生させるモノである、となっているのが物理学的な本当の見解である。
 
 
現実として、MRIや銀行ATM静脈認証の利用で、けっして(X線の被爆みたいに)「MRIで(あるいは銀行ATMで)ガン患者が発生した」だとか、「電子レンジみたいに加熱して熱傷(ねっしょう)した」だとか、そういう事件は、寡聞(かぶん)にして、科学の界隈では聞かない。
 
 
なお、X線とMRIは元になる電磁エネルギーの発生の機構が違う。たとえばX線は主に、放電によって発生させる。X線管も、比較的に大電圧での放電管の一種である。(一般の電気照明などではX線は発生していないので、安心していい。)
 
MRIの電磁波発生装置は、基本的には電磁石による電磁エネルギーの発生である。
 
静脈認証システムなどの赤外線発生装置は、基本的に赤外線LEDなどの半導体(LEDは半導体の一種)である。
 
 
学校教育では、式の計算がテストに出しやすいので、学生はつい、あかたも式だけで何でも計算できるかのように錯覚しがちだが、しかし現実には、式には含まれていない、装置などの機構の情報も科学的な検証には必要である。
 
}}
 
== 発展: 相対論の一次近似 ==
=== 運動する磁束は電場を誘起する ===
磁場Bの中を、電荷qの荷電粒子が速度vで運動すると、ローレンツ力はベクトル外積を用いて f=q・v×B の力が粒子に働くが、ここで観測者の座標系を変えたとして、同じ粒子を、粒子と同じ方向に速度vで動く座標形Kの中の観測者から見たらどうなるか? 座標系Kでは、粒子の速度は v(K)=0 であり、磁束の速度を V<sub>b</sub> とすると、前の座標系の粒子とは反対方向に動くので、
:V<sub>b</sub> =-v である。
新しい座標系Kから観測しても、粒子が f=q・v×B の大きさの力を受けて加速されることには変わらないが、座標系kでは、荷電粒子は静止していたのに、ローレンツ力を受けたと考えるのは不合理である。磁束は、V<sub>b</sub>=-v で運動していたので、磁束の運動によって f=q・(-V<sub>b</sub>)×B = -q・V<sub>b</sub>×B の力を受けたと考えるべきである。粒子を質量0の質点とみなせば、静止している荷電粒子に力を及ぼせるのは、電場だけだから、つまり速度 V<sub>b</sub> で運動する磁束が、 E=-V<sub>b</sub>×B の誘導電場を誘起することになる。このとき、磁場と誘導された電場は垂直である。
 
=== 運動する電場は磁界を作る ===
もし、「運動する電場は磁界を作る」とすれば、アンペールの法則 「直線状に無限に長い導線を流れる 電流I は距離R だけ離れた場所に B・2πr=μI の磁場を作る。」という現象は、じつは「導線の中で荷電粒子が運動することによって、荷電粒子といっしょにその粒子が作る電場も動き、その電場の運動が、磁場を誘起している。」という可能性がある。
電流が流れている無限長の、まっすぐな導線を考える。線密度 q[C/m] で分布した電荷は、図のように円筒対称な電荷を作る。
 
(※ ここに図を。)
 
直線から距離rのときの電気力線の密度Dは
:D=εE= <math> \frac{q}{2\pi r}</math>
よって
:εE・2πr =q   ①
電流 I は電荷分布 q が速度 V<sub>e</sub> で運動しているとして 
:I = qV<sub>e</sub>
:[A]=[c/m]・[m/s]=[c/m]
と定義すれば、
 
電流 qV<sub>e</sub> が距離 r のところに作る磁場Bはアンペールの法則から、
:B・2πr(=μI)= μqV<sub>e</sub>   ②
となる。
 
このとき、磁場の向きは、V<sub>e</sub> から 半径r方向 にねじを回す向きである。
 
:②÷①から B/εE = μ V<sub>e</sub> B=εμ V<sub>e</sub>・E
向きまでふくめてベクトル積で表せば、
:<math>\vec {B} </math>=εμ <math>\vec {V_e} \times \vec E</math> となる。
 
つまり
:速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は、誘導磁場 B=εμV<sub>e</sub>×E を作る。
という、重要な結論が得られる。
 
あるいは、 μH=B をもちいて B=μH=εμ V<sub>e</sub> ×E より
:H=εμV<sub>e</sub>×E となって、さらに D=εE より 
:H=μV<sub>e</sub>×D 
である。
 
まとめ
 
速度 V<sub>b</sub>で運動する磁束Bは 
:E=-V<sub>b</sub>×B
の誘導電場を誘起する。   ・・□1
 
速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は
:B = εμ V<sub>e</sub> × E 
の誘導磁場を作る。
 
E,Bのかわりに、D,Hを使って表記すれば、
:D = -ε V<sub>b</sub> × B
かつ
:H = V<sub>e</sub> × D   (・・・□2) 
 
 
さて、電磁波が速度Cで真空中を伝わるとすれば、 Vb = Ve = C とする。 □1式と□2式の外積をとると、
: E×H =(-V<sub>b</sub>×B)× (V<sub>e</sub>×D) = (-C×μH) × (C×εE) 
:= εμ ( C<sup>2</sup>) E×H
よって
:εμ・c<sup>2</sup> =1
である。
 
よって、電磁波の速度は <math> c = \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} }</math> と予測できる。
 
このεとμに実測値を入れると、光速の測定値 <math> c = 299792458 m/s</math> と、高い精度で一致する。
 
この事から、光は、電磁波である事が分かる。また、電磁波は、光速度Cで真空中を伝わる。
 
また、これより、運動電場の誘導する磁場は
:B = (1/ C<sup>2</sup> )V<sub>e</sub>×E   ③
とも変形できる。
 
③式を、ガウスの法則(①式) と組み合わせると、アンペールの法則(②式)が得られる。
よって、「速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は、 B=εμ V<sub>e</sub> ×E の誘導磁場を作る。」という過程が妥当だったことがわかる。
 
=== ポインティング ベクトル ===
電磁波では電場 E と磁場 B が光速 C で運動しているので 磁束の運動速度 V<sub>b</sub> は V<sub>b</sub> = C であり、誘導電場 E は E =-V<sub>b</sub>×B であるので、両式より E = -c×B である。(電磁波の電場と磁場の関係式)なお
:<math> \mathbb{B} = \mu \mathbb{H} </math>
であるので、
電磁波は
:<math> \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math>
の方向に進んでいるはずだ、ということを注目しよう。
 
この <math> \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math> で定義される量を '''ポインティング ベクトル''' とよぶ。
これは単位面積をとおって流れ出る電磁場のエネルギーの流れの量をあらわす。
 
さて、電磁場のエネルギー密度は <math> u = \frac{1}{2}\varepsilon E^2 + \frac{1}{2}\mu H^2 </math> なので、これに電磁波の電場と磁場の関係式 <math> \mathbb{E} = - \mathbb{C} \times \mathbb{B} </math> を代入して、
:<math> \varepsilon \mu \cdot c^2 = 1 </math>
の関係を用いると、(エネルギーでは、2乗によりマイナス符号がなくなるので、絶対値を取って|E|=|c×B| としておくと、計算が簡単になる場合がある。)
 
結果として 
:<math> u = \varepsilon E^2 </math>   (電磁波のエネルギー密度)
となる。
電磁波が、壁にあたって吸収されるとき、単位時間に単位面積あたり 光速C の大きさの体積のなかの電磁波が壁に衝突するので、 
:c・u 
のエネルギーが、単位時間に単位面積に流れ込むはずである。
 
s= c・u に u= ε・E^2 を代入して、 <math> \epsilon \mu \cdot c^2 = 1 </math> と |E|=|c×B|を利用すると、結果的に
: s = <math> \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} } \epsilon E^2 </math> =<math> \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} } \epsilon |E||cB| </math> =|E|・|H|
である。
 
よってポインティング ベクトル E×H は単位面積を通って流れ出る電磁場のエネルギーの流れをあらわす。
:E×Hの単位は [V/m]・[A/m]=[V・A/m<sup>2</sup>]=[W/m<sup>2</sup>]
 
=== ポインティング ベクトル と 運動量密度 ===
ポインティング ベクトル S = E×H = εμ(C<sup>2</sup>)E×H は
:D=εE と B=μH をもちいて S = E×H =(C<sup>2</sup>)D×B とも書ける。
:<math> \mathbb{D} \times \mathbb{B} = \frac{1}{c^2} \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math>
である。
 
天下り的な説明だが、この G=D×B という量は、運動量の密度である。この量 G=D×B を、電磁波の「運動量密度」(うんどうりょうみつど)という。実際に、D×B の単位は
:[D×B] = [{1 / (C<sup>2</sup>)}] [E×H] = [1 / (m/s)<sup>2</sup>] [W/m<sup>2</sup>]
:= [N・s/m<sup>3</sup>]
となる。
たしかに、運動量の密度の単位と等しい。
 
* 発展: 光電効果との関係
ところで、のちの単元で習うが、光電効果では エネルギーuと運動量pの関係は、光速度Cをもちいて、 u=cp と書ける。
:s=c・u は s= cu =|E×H| であり、 u=cp とあわせて、
:s=c (cp) = (c<sup>2</sup>) p =|E×H|
これより
:p = (1/c<sup>2</sup>) |E×H| = εμ |E×H| 
: = |εE×μH| = |D×B|
向きまで含めて
:p = D×B
となって、確かに G = D×B は運動量密度となる。
 
=== 電磁誘導の再検討 ===
長さLのまっすぐな針金が、速度vで磁場Bの中を横切るとする。簡単のため、針金の軸と速度vの方向と磁場Bは垂直とする。このとき、針金の中の電荷にかかる力および電場はローレンツ力により、
:F = q v×B
:F/q = E = v×B の電位が、針金の長さ方向に派生する。
電場Eにそって長さLだけ、電荷qが上げられたら、エネルギーは qEL 変化する。電位は V=EL である。
:V = LvB = ⊿Φ/⊿t 
これより、誘導電圧 V は、磁束の1秒あたりの時間変化になる。
では、仮に固定された回路の中にソレノイドを通して、このソレノイドに交流電流を流した場合も、回路に誘導電圧が発生するのだろうか。答えは「する」。
 
== 磁性体 ==
416 ⟶ 241行目:
 
なお、ある種類の物質が、圧力をくわえると電圧が発生する現象が起きる物質の場合、そのような性質のことを圧電性(あつでんせい)という。
 
 
== 半導体 ==
ケイ素 Si やゲルマニウム Ge は、導体と絶縁体の中間の抵抗率をもつことから、ケイ素やゲルマニウムなどは半導体と言われる。
624 ⟶ 447行目:
 
 
 
== 発展: 相対論の一次近似 ==
=== 運動する磁束は電場を誘起する ===
磁場Bの中を、電荷qの荷電粒子が速度vで運動すると、ローレンツ力はベクトル外積を用いて f=q・v×B の力が粒子に働くが、ここで観測者の座標系を変えたとして、同じ粒子を、粒子と同じ方向に速度vで動く座標形Kの中の観測者から見たらどうなるか? 座標系Kでは、粒子の速度は v(K)=0 であり、磁束の速度を V<sub>b</sub> とすると、前の座標系の粒子とは反対方向に動くので、
:V<sub>b</sub> =-v である。
新しい座標系Kから観測しても、粒子が f=q・v×B の大きさの力を受けて加速されることには変わらないが、座標系kでは、荷電粒子は静止していたのに、ローレンツ力を受けたと考えるのは不合理である。磁束は、V<sub>b</sub>=-v で運動していたので、磁束の運動によって f=q・(-V<sub>b</sub>)×B = -q・V<sub>b</sub>×B の力を受けたと考えるべきである。粒子を質量0の質点とみなせば、静止している荷電粒子に力を及ぼせるのは、電場だけだから、つまり速度 V<sub>b</sub> で運動する磁束が、 E=-V<sub>b</sub>×B の誘導電場を誘起することになる。このとき、磁場と誘導された電場は垂直である。
 
=== 運動する電場は磁界を作る ===
もし、「運動する電場は磁界を作る」とすれば、アンペールの法則 「直線状に無限に長い導線を流れる 電流I は距離R だけ離れた場所に B・2πr=μI の磁場を作る。」という現象は、じつは「導線の中で荷電粒子が運動することによって、荷電粒子といっしょにその粒子が作る電場も動き、その電場の運動が、磁場を誘起している。」という可能性がある。
電流が流れている無限長の、まっすぐな導線を考える。線密度 q[C/m] で分布した電荷は、図のように円筒対称な電荷を作る。
 
(※ ここに図を。)
 
直線から距離rのときの電気力線の密度Dは
:D=εE= <math> \frac{q}{2\pi r}</math>
よって
:εE・2πr =q   ①
電流 I は電荷分布 q が速度 V<sub>e</sub> で運動しているとして 
:I = qV<sub>e</sub>
:[A]=[c/m]・[m/s]=[c/m]
と定義すれば、
 
電流 qV<sub>e</sub> が距離 r のところに作る磁場Bはアンペールの法則から、
:B・2πr(=μI)= μqV<sub>e</sub>   ②
となる。
 
このとき、磁場の向きは、V<sub>e</sub> から 半径r方向 にねじを回す向きである。
 
:②÷①から B/εE = μ V<sub>e</sub> B=εμ V<sub>e</sub>・E
向きまでふくめてベクトル積で表せば、
:<math>\vec {B} </math>=εμ <math>\vec {V_e} \times \vec E</math> となる。
 
つまり
:速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は、誘導磁場 B=εμV<sub>e</sub>×E を作る。
という、重要な結論が得られる。
 
あるいは、 μH=B をもちいて B=μH=εμ V<sub>e</sub> ×E より
:H=εμV<sub>e</sub>×E となって、さらに D=εE より 
:H=μV<sub>e</sub>×D 
である。
 
まとめ
 
速度 V<sub>b</sub>で運動する磁束Bは 
:E=-V<sub>b</sub>×B
の誘導電場を誘起する。   ・・□1
 
速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は
:B = εμ V<sub>e</sub> × E 
の誘導磁場を作る。
 
E,Bのかわりに、D,Hを使って表記すれば、
:D = -ε V<sub>b</sub> × B
かつ
:H = V<sub>e</sub> × D   (・・・□2) 
 
 
さて、電磁波が速度Cで真空中を伝わるとすれば、 Vb = Ve = C とする。 □1式と□2式の外積をとると、
: E×H =(-V<sub>b</sub>×B)× (V<sub>e</sub>×D) = (-C×μH) × (C×εE) 
:= εμ ( C<sup>2</sup>) E×H
よって
:εμ・c<sup>2</sup> =1
である。
 
よって、電磁波の速度は <math> c = \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} }</math> と予測できる。
 
このεとμに実測値を入れると、光速の測定値 <math> c = 299792458 m/s</math> と、高い精度で一致する。
 
この事から、光は、電磁波である事が分かる。また、電磁波は、光速度Cで真空中を伝わる。
 
また、これより、運動電場の誘導する磁場は
:B = (1/ C<sup>2</sup> )V<sub>e</sub>×E   ③
とも変形できる。
 
③式を、ガウスの法則(①式) と組み合わせると、アンペールの法則(②式)が得られる。
よって、「速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は、 B=εμ V<sub>e</sub> ×E の誘導磁場を作る。」という過程が妥当だったことがわかる。
 
=== ポインティング ベクトル ===
電磁波では電場 E と磁場 B が光速 C で運動しているので 磁束の運動速度 V<sub>b</sub> は V<sub>b</sub> = C であり、誘導電場 E は E =-V<sub>b</sub>×B であるので、両式より E = -c×B である。(電磁波の電場と磁場の関係式)なお
:<math> \mathbb{B} = \mu \mathbb{H} </math>
であるので、
電磁波は
:<math> \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math>
の方向に進んでいるはずだ、ということを注目しよう。
 
この <math> \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math> で定義される量を '''ポインティング ベクトル''' とよぶ。
これは単位面積をとおって流れ出る電磁場のエネルギーの流れの量をあらわす。
 
さて、電磁場のエネルギー密度は <math> u = \frac{1}{2}\varepsilon E^2 + \frac{1}{2}\mu H^2 </math> なので、これに電磁波の電場と磁場の関係式 <math> \mathbb{E} = - \mathbb{C} \times \mathbb{B} </math> を代入して、
:<math> \varepsilon \mu \cdot c^2 = 1 </math>
の関係を用いると、(エネルギーでは、2乗によりマイナス符号がなくなるので、絶対値を取って|E|=|c×B| としておくと、計算が簡単になる場合がある。)
 
結果として 
:<math> u = \varepsilon E^2 </math>   (電磁波のエネルギー密度)
となる。
電磁波が、壁にあたって吸収されるとき、単位時間に単位面積あたり 光速C の大きさの体積のなかの電磁波が壁に衝突するので、 
:c・u 
のエネルギーが、単位時間に単位面積に流れ込むはずである。
 
s= c・u に u= ε・E^2 を代入して、 <math> \epsilon \mu \cdot c^2 = 1 </math> と |E|=|c×B|を利用すると、結果的に
: s = <math> \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} } \epsilon E^2 </math> =<math> \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} } \epsilon |E||cB| </math> =|E|・|H|
である。
 
よってポインティング ベクトル E×H は単位面積を通って流れ出る電磁場のエネルギーの流れをあらわす。
:E×Hの単位は [V/m]・[A/m]=[V・A/m<sup>2</sup>]=[W/m<sup>2</sup>]
 
=== ポインティング ベクトル と 運動量密度 ===
ポインティング ベクトル S = E×H = εμ(C<sup>2</sup>)E×H は
:D=εE と B=μH をもちいて S = E×H =(C<sup>2</sup>)D×B とも書ける。
:<math> \mathbb{D} \times \mathbb{B} = \frac{1}{c^2} \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math>
である。
 
天下り的な説明だが、この G=D×B という量は、運動量の密度である。この量 G=D×B を、電磁波の「運動量密度」(うんどうりょうみつど)という。実際に、D×B の単位は
:[D×B] = [{1 / (C<sup>2</sup>)}] [E×H] = [1 / (m/s)<sup>2</sup>] [W/m<sup>2</sup>]
:= [N・s/m<sup>3</sup>]
となる。
たしかに、運動量の密度の単位と等しい。
 
* 発展: 光電効果との関係
ところで、のちの単元で習うが、光電効果では エネルギーuと運動量pの関係は、光速度Cをもちいて、 u=cp と書ける。
:s=c・u は s= cu =|E×H| であり、 u=cp とあわせて、
:s=c (cp) = (c<sup>2</sup>) p =|E×H|
これより
:p = (1/c<sup>2</sup>) |E×H| = εμ |E×H| 
: = |εE×μH| = |D×B|
向きまで含めて
:p = D×B
となって、確かに G = D×B は運動量密度となる。
 
=== 電磁誘導の再検討 ===
長さLのまっすぐな針金が、速度vで磁場Bの中を横切るとする。簡単のため、針金の軸と速度vの方向と磁場Bは垂直とする。このとき、針金の中の電荷にかかる力および電場はローレンツ力により、
:F = q v×B
:F/q = E = v×B の電位が、針金の長さ方向に派生する。
電場Eにそって長さLだけ、電荷qが上げられたら、エネルギーは qEL 変化する。電位は V=EL である。
:V = LvB = ⊿Φ/⊿t 
これより、誘導電圧 V は、磁束の1秒あたりの時間変化になる。
では、仮に固定された回路の中にソレノイドを通して、このソレノイドに交流電流を流した場合も、回路に誘導電圧が発生するのだろうか。答えは「する」。
 
{{コラム|電機設備などの「半導体」|