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[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第2編 物権 (コンメンタール民法)|第2編 物権]]
 
==条文==
([[w:留置権|留置権]]等の規定の[[w:準用|準用]])
;第372条
:[[民法第296条|第296条]]、[[民法第304条|第304条]]及び[[民法第351条|第351条]]の規定は、[[w:抵当権]]について準用する。
 
==解説==
準用のあてはめ
*第296条(留置権の不可分性)
#抵当権の不可分性([[民法第296条|第296条]]準用)
*第304条(物上代位)
#:抵当権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、抵当物件の全部についてその権利を行使することができる。
*第351条(物上保証人の求償権)
#抵当権の物上代位([[民法第304条|第304条]]準用)
 
##抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、抵当権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
留置権、[[w:先取特権|先取特権]]、[[w:質権|質権]]についての規定の一部が抵当権に準用されることを定めた規定である。具体的には、不可分性、物上代位性、設定順位の優劣についての規定である。
##*典型例として、抵当権のついた家屋が火災にあった場合の火災保険金があげられる。
##債務者が抵当権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。
#物上保証人の求償権([[民法第351条|第351条]]準用)
#:他人の債務を担保するため抵当権を設定した者は、その債務を弁済し、又は抵当権の実行によって抵当物件の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。
 
==参照条文==
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==判例==
*[httphttps://www.courts.go.jp/searchapp/jhsp0030hanrei_jp/detail2?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27621&hanreiKbnid=0154038 配当異議](最高裁判 昭和43年09月26日)[[民法第145条]]、[[民法第351条]]、[[民法第423条]]
*;物上保証人は被担保債権の消滅時効を援用することができるか
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26558&hanreiKbn=01 配当異議](最高裁判例 昭和53年07月04日)
*:他人の債務のために自己の所有物件に抵当権を設定した者は、右債務の消滅時効を援用することができる。
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26081&hanreiKbn=01 配当異議](最高裁判例 昭和60年05月23日)[[民法第304条]]、[[民法第315条]]、[[民法第392条]]2項、[[民法第500条]]、[[民法第501条]]、[[民法第502条]]1項
*;債権者はその債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することができるか
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25889&hanreiKbn=01 不当利得返還](最高裁判例 平成1年10月27日)[[民法第304条]],[[民法第494条]]
*:債権者は、自己の債権を保全するに必要な限度で、債務者に代位して、他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することができる。
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25827&hanreiKbn=01 求償金] (最高裁判例 平成2年12月18日)[[民法第351条]]、[[民法第460条]]
*[httphttps://www.courts.go.jp/searchapp/jhsp0030hanrei_jp/detail2?action_idid=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25464&hanreiKbn=0153242 取立債権請求事件配当異議](最高裁判所判例 平成10昭和5301073004日):[[民法第304条]],[[民法第467条]]
*;債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における物上保証人と後順位低当権者との優劣
:抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
*:債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権から優先して弁済を受けることができる。
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25335&hanreiKbn=01 債権差押命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件](最高裁判例 平成12年04月14日)[[民法第304条]]1項、[[民法第613条]]
*;債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として数個の抵当権が設定され物上保証人所有の不動産について先に競売がされた場合における後順位抵当権者の優先弁済権と登記又は差押の要否
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25293&hanreiKbn=01 取立債権請求事件](最高裁判例 平成13年03月13日)
*:債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産とを共同抵当の目的として順位を異にする数個の抵当権が設定されている場合において、物上保証人所有の不動産について先に競売がされ、その競落代金の交付により一番抵当権者が弁済を受けたときは、後順位抵当権者は、物上保証人に移転した債務者所有の不動産に対する一番抵当権からの優先弁済権を主張するについて登記又は差押を必要としない。
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25220&hanreiKbn=01 破産債権確定請求事件](最高裁判例 平成14年09月24日)[[破産法第24条]],[[破産法第26条]],[[民法第351条]],[[民法第502条]]1項
*[httphttps://www.courts.go.jp/searchapp/jhsp0030hanrei_jp/detail2?action_idid=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26081&hanreiKbn=0152664 配当異議](最高裁判 昭和60年05月23日)[[民法第304条]]、[[民法第315条]]、[[民法第392条]]2項、[[民法第500条]]、[[民法第501条]]、[[民法第502条]]1項
*;共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産に債権者を異にする後順位抵当権が設定され乙不動産が先に競売された場合に甲不動産から弁済を受けるときにおける甲不動産の後順位抵当権者と乙不動産の後順位抵当権者の優劣
*:共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産にそれぞれ債権者を異にする後順位抵当権が設定されている場合において、乙不動産が先に競売されて一番抵当権者が弁済を受けたときは、乙不動産の後順位抵当権者は、物上保証人に移転した甲不動産に対する一番抵当権から甲不動産の後順位抵当権者に優先して弁済を受けることができる。
*;物上保証人がその所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で代位権不行使の特約をした場合と物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者の優先弁済を受ける権利
*:物上保証人が、その所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で、債権者の同意がない限り弁済等により取得する権利を行使しない旨の特約をしても、物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者は、物上保証人が弁済等により代位取得する抵当権から優先弁済を受ける権利を失わない。
*;債権の一部につき代位弁済がされた場合の競落代金の配当についての債権者と代位弁済者との優劣
*:債権の一部につき代位弁済がされた場合、右債権を被担保債権とする抵当権の実行による競落代金の配当については、代位弁済者は債権者に劣後する。
*[httphttps://www.courts.go.jp/searchapp/jhsp0030hanrei_jp/detail2?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25889&hanreiKbnid=0152714 不当利得返還](最高裁判 平成1年10月27日)[[民法第304条]],[[民法第494条]]
*;抵当権の物上代位と抵当不動産について供託された賃料の還付請求権
*:抵当不動産が賃貸された場合においては、抵当権者は、民法372条、304条の規定の趣旨に従い、賃借人が供託した賃料の還付請求権についても抵当権を行使することができる。
*[httphttps://www.courts.go.jp/searchapp/jhsp0030hanrei_jp/detail2?action_idid=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25827&hanreiKbn=0152472 求償金] (最高裁判 平成2年12月18日)[[民法第351条]]、[[民法第460条]]
*;物上保証人と求償権の事前行使の可否
*:物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、あらかじめ求償権を行使することはできない。
*[https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52812 取立債権請求事件](最高裁判所判例 平成10年01月30日):[[民法第467条]]
*;抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡
*:抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
*[httphttps://www.courts.go.jp/searchapp/jhsp0030hanrei_jp/detail2?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25335&hanreiKbnid=0152280 債権差押命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件](最高裁判 平成12年04月14日)[[民法第304条]]1項、[[民法第613条]]
*;抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権について抵当権者が物上代位権を行使することの可否
*:抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。
*[httphttps://www.courts.go.jp/searchapp/jhsp0030hanrei_jp/detail2?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25293&hanreiKbnid=0152263 取立債権請求事件](最高裁判 平成13年03月13日)
*;抵当不動産の賃借人が抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって賃料債権に物上代位権の行使としての差押えをした抵当権者に対抗することの可否
*:抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は,抵当不動産の賃借人は,抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって,抵当権者に対抗することはできない。
*[httphttps://www.courts.go.jp/searchapp/jhsp0030hanrei_jp/detail2?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25220&hanreiKbnid=0157040 破産債権確定請求事件](最高裁判 平成14年09月24日)[[破産法第24条]],[[破産法第26条]],[[民法第351条]],[[民法第502条]]1項
*;債務者に対する破産宣告後に物上保証人から届出債権の一部の弁済を受けた破産債権者が権利を行使し得る範囲
*:債権の全額を破産債権として届け出た債権者は,債務者に対する破産宣告後に物上保証人から届出債権の弁済を受けても,その全部の満足を得ない限り,届出債権の全額について破産債権者としての権利を行使することができる。
 
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