「高等学校物理/物理II/電気と磁気」の版間の差分
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== 静電誘導と誘電分極 ==
=== コンデンサー ===
=== 誘電体 ===
まず、高校物理でいう「誘電体」(ゆうでんたい)とは、通常のセラミック、雲母(マイカ)
では、誘電体の物理について、説明します
[[File:誘電体コンデンサー.svg|thumb|400px|誘電体を入れたコンデンサー]]
コンデンサーに誘電体を入れると、誘電体が誘電分極を起こすため、コンデンサのプラス極板で発生した電気力線のいくつかが打ち消され
その結果、誘電体の入ったコンデンサーの極板間の電場は、極板の電荷密度で発生する電荷が真空中でつくる電場よりも弱くな
この結果、静電容量が変わ
さて、真空中の静電容量の公式は、
:<math>C=\varepsilon_0 \frac{S}{d}</math>
で
誘電体のある場合の静電容量は、
:<math>C=\varepsilon \frac{S}{d}</math>
とな
ここで、 <math>\varepsilon </math>を'''誘電率'''(ゆうでんりつ)とい
<math>\varepsilon_0 </math>を、'''真空中の誘電率'''とい
{| class="wikitable" style="float:right"
50 行
ここで、比
:<math> \varepsilon _r = \frac{\varepsilon}{\varepsilon_0}</math>
を、'''比誘電率'''(ひ ゆうでんりつ)とい
つまり、<math> \varepsilon _r </math> は比誘電率で
いっぽう、 <math> \varepsilon _0 </math> および <math> \varepsilon </math> は、比誘電率では
比誘電率 <math> \varepsilon _r </math> をもちいれば、静電容量 C の式は、
:<math> C = \varepsilon \frac{S}{d} = \varepsilon _r \varepsilon _0 \frac{S}{d} </math>
と書け
=== コンデンサの静電エネルギー ===
67 行
== 電流による磁界 ==
磁石のまわりには物体を動かす力のあるものが生じてい
これを'''磁場'''(じば)と呼ぶ。'''磁界'''(じかい)ともいう。
電流が流れているときにも、そのまわりには、右ねじの法則(right-handed screw rule)に従う向きに磁界が生じ
電流I[A]が直線的に流れているとき、磁界の大きさは
<math>
B = \frac {\mu_0} {2\pi a} I
</math>
であることが知られてい
ここで、aは磁束密度を測る点と、電線の距離。
また、<math>\mu_0</math>は真空の透磁率(とうじりつ、permeability)を表し、値は <math>4\pi \times 10^{-7}</math>[H/m] で
<!-- アンペールの法則? -->
87 行
==== 電磁誘導 ====
磁場を伴う物体が運動すると、そのまわりには電場が生じることを'''電磁誘導'''(でんじゆうどう、electromagnetic induction)とい
仮に、ソレノイド(solenoid、コイルのこと)の近くでそれを行なったとすると、生じた電場によってソレノイドの中には電流が流れ
生じる電場の大きさは、
<math>
\vec E = \frac 1 {2\pi a} \frac {d\vec B}{d t}
</math>
とな
Eの単位は[V/m]であり、Bの単位は[T]で
100 行
磁場の動きによって電場が引き起こされることを電磁誘導のセクションで見た。
また、実際には電場の変化によって磁場が引き起こされることも実験によって知られてい
これによって何もない空間中を電場と磁場が伝播していくことが予想され
(:電磁波の伝播のschematicな絵)
:※ 市販の大学生むけ教科書を読んでも、ロクにヘルツの実験を説明してないので、高校側で説明します
:※ なお、高校では専門『物理』で習う内容。
112 行
この実験の際、ヘルツは受信回路の向きをいろいろと変えて実験したことにより、送信機の向きに対しての受信機の向きによって電場の伝わり方が異なることから、電場の遠隔作用に偏光性がある事が分かった。
:(※ 範囲外)なお、方解石などに偏光作用のあることは、すでにこの時代に分かっていたと思われ
電場のこの作用には偏光性があるので、波であるとみなすことは妥当
ヘルツの実験から、実験的にわかることとして
121 行
:その電場の遠隔作用には、偏光作用のあること
が実験的にわか
130 行
なので、ヘルツの実験は、マクスウェルの予測した電磁波だとみなされた。
現代でも物理学者は、そうみなしてい
なお、マクスウェルが理論計算で求めた電磁波の速度を求めたところ、すでに知られていた光速の大きさ(およそ 3×10<sup>8</sup> m/s )に精度よく一致した。
このことからも、光は電磁波の一種であることが分か
:(啓林館の教科書にある余談: )余談
ヘルツの実験では、厳密には少なくとも放電の電場が伝わることしか観測できて
なお、光には、反射や屈折や回折や、ヤングスリットの回折などがあるが、
ヘルツの放電実験のような電磁波の火花放電の実験でも、光の実験と同様の配置で、金属板を配置して確認することで、電磁波も反射や屈折や回折や、ヤングスリットの回折などの現象も起こすことが、実験的にも確認されてい
これらのことからも、光は電磁波の一種であるとみなすのが妥当であることが分か
:(※ 範囲外 :)また、電磁波の反射を利用して、電磁波の波長を測定することにヘルツは成功した<ref>西條敏美『測り方の科学史 II 原子から素粒子へ』、恒星社、2012年3月15日 初版発行、45ページ<br>
北海道大学出版『近代科学の源流~物理学編』1974~1977年、を参考にしたよう
:ただし、ヘルツのような方法で測定できる波長は、人間が肉眼で確認できて手で動かせるような程度の波長の大きさの場合だけで
== 磁性体 ==
[[File:Magnetic field near pole.svg|thumb|right|200px|棒磁石の周りに方位磁針を置いて磁場の向きを調べ
磁石のまわりには別の磁石を動かす力のもととなるものが生じてい
これを'''磁場'''(じば、magnetic field)あるいは'''磁界'''(じかい)と呼ぶ。(日本の物理学では磁場と呼ぶことが多く、また、日本の電気工学では磁界と呼ばれることが多い。明治期の訳語の際の、日本国内の業界ごとの違いに過ぎず、地域社会的な事象であり、呼び方は物理の本質とは関係ないので、ここでは、どちらの表現を用いるかは、本書では特にこだわ
鉄やコバルトやニッケルに磁石を近づけると、磁石に吸い付けられ
また、鉄やコバルトやニッケルに強い磁化を与えると、鉄やコバルトやニッケルそのものが磁場を周囲に及ぼすようにな
このような、もともとは磁場を持たなかった物体が、強い磁場を受けたことによって磁場を及ぼすようになる現象を'''磁化'''(じか、magnetization)とい
あるいは電荷の静電誘導と対応させて、磁化のことを'''磁気誘導'''(じきゆうどう、magnetic induction)ともいう。
そして、鉄やコバルトやニッケルのように、磁石に引き付けられ、さらに磁化をする能力がある物体を'''強磁性体'''(きょうじせいたい、ferromagnet)とい
鉄とコバルトとニッケルは強磁性体で
銅は磁化しないし、銅は磁石に引きつけられないので、銅は強磁性体では
;磁気遮蔽
静電誘導を利用した、静電遮蔽(せいでんしゃへい)と言われ
:磁性体:magnetic substance
177 行
:反磁性体:diamagnetic snbstance
反磁性体が分かりづらいかもしれ
そもそも、磁力線とあまり相互作用しない物質も多い。たとえば、ガラスや水によ
なお、鉄の比透磁率は、状態によって透磁率に数百〜数千の違いがあるが、wikipedia日本語版で調べた場合の鉄の透磁率は約5000で
では、透磁率がほぼ1の物質は、磁場の方向は、外部磁場を基準として、どちら向きだろうか? 外部磁場を打ち消す方向に磁化しているのだろうか? それとも、外部磁場と同じ方向に磁化しているのだろうか?
その違いこそが、常磁性(じょうじせい)と反磁性(はんじせい)のちがい、で
ある物質が、外部磁場にほとんど反応し
いっぽう、ある物質が、外部磁場にほとんど反応し
== ※ 範囲外: スピンと磁性体 ==
元素や分子の種類によって、磁性のちがいがある理由として、化学結合での電子軌道に原因があると考えられて
化学の教科書の発展事項に、「s軌道」や「p軌道」などの理論があるが、この理論で、その理由を説明できるとされてい
もともと、(化学結合で電子殻(でんしかく)に発生することのあ
電子殻とは、化学Iの始めのほうでも習う、「K殻は8個の電子が入る」
まとめると、
:* そもそも単独の1個の電子には、じつは磁性があ
:* しかし、化学反応によって孤立電子は、化学結合として、すぐに周囲の分子や原子と結合してしまうので、孤立電子ではなく電子対になってしまい、2個の反対方向の磁性をもった電子対が、磁性を打ち消しあう。おそらく、このような理由により、多くの(化学結合の結果で
== ※ 範囲外: 「強誘電体」と圧電体 ==
「磁性体に『強磁性体』があるのなら、誘電体にも『強誘電体』があるのか?」のような疑問は、とうぜん、思う
チタン酸鉛 <chem>PbTiO3</chem> や、ニオブ酸リチウム <chem>LiNbO3</chem> が、「強誘電体」に分類される場合もあ
しかし、強磁性体が磁気テープや磁気ハードディスクなどの記録メディアに用いられている状況とは異なり、「強誘電体」は記録メディアには用いられてい
しかし、他の用途で、これらの物質は産業に実用化されてい
チタン酸鉛やニオブ酸リチウムは、この物質に圧力をくわえると電圧が発生する事から、圧電体(あつでんたい)という素子として活用されてい
なお、これらの圧電体に、電圧をくわえると、物質がひずむ。
このため、圧電体に交流電圧を加えることで、圧電体が短時間で何回も周期的に振動することにより、圧電体の周囲にある空気も振動させる事ができるので、超音波を発生するための素子として、すでに実用化されてい
▲なお、ある種類の物質が、圧力をくわえると電圧が発生する現象が起きる物質の場合、そのような性質のことを圧電性(あつでんせい)という。
== 半導体 ==
ケイ素 Si やゲルマニウム Ge は、導体と絶縁体の中間の抵抗率をもつことから、ケイ素(シリコン)やゲルマニウムなどは半導体と言われ
この半導体の結晶に、わずかに、リンPなどの不純物を入れることで、抵抗率を大きく下げられ
:(※ 範囲外、注釈: )暗黙の前提すぎるので、検定教科書ではいちいち説明されないかもしれ
:パソコン部品のうち、いわゆる「メモリ」や、なん
=== n型半導体 ===
シリコン原子は価電子が4個であり、シリコンの結晶は、4つの価電子が共有結合をしてい
これにリンPが加わると、リンは価電子が5個なので、1個の価電子が余り、この余った価電子が自由電子として、結晶を動き回れるようにな
このような仕組みで、シリコンにリンを加えることで、抵抗率が大きく低下
このように、負の電子が余ることで、導電率が上がってる半導体を '''n型半導体''' とい
=== p型半導体 ===
シリコンの結晶に、不純物として、ホウ素BやアルミニウムAlなど、価電子が3個の元素が加わると、電子が1個、足りなくな
この、電子の不足したぶんの空席を'''ホール'''(postive hole、正孔)とい
ホールは正電荷をも
電圧が掛かると、このホールを埋めるように近くの結合にあった電子が移動します
よって、ホールが動くことで、電流
また、このように、正の電荷をもつ粒子によって導電率が上がってる半導体を '''p型半導体''' とい
=== キャリア ===
n型半導体では、自由電子が電流を運ぶ。
p型半導体では、ホールが電流を運ぶ。
このように、半導体中で電
つまり、n型半導体のキャリアは電子で
=== pn接合 ===
[[File:ダイオードの順方向.svg|thumb|300px|ダイオードの順方向。電流は流れ
[[File:ダイオードの逆方向.svg|thumb|300px|ダイオードの逆方向。電流は流れ
p型半導体とn型半導体を接合し(pn接合)た物体が、一方向のみに電流を流す。
このような部品を'''ダイオード'''(diode)とい
p側に正電圧を掛け、n側に負電圧を掛けた時、電流が流れ
いっぽう、p側に負電圧を描け、n側に正電圧を掛けても、電流が流れ
回路において、ダイオードが電流を流す向きを'''順方向'''(じゅんほう
このように一方向に流れる仕組みは、ダイオードでは、つぎのような仕組みで、電流が流れるからで
このように一方向にだけ電流を流すことを'''整流'''(せいりゅう)とい
パソコンで、デジタル波形やデジタル信号のように四角の電流波形を作っている方法は、おおむね、このダイオードと、後述するトランジスタとを、うまく組み合わせることで、デジタル波形をつくるという仕組みで
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* p側に正電圧を掛け、n側に負電圧を掛けた時
ダイオードのp側に正電圧をかけ、いっぽうn側に負電圧をかけると、p側では正電極の正電圧からホールが反発して接合面へと向かい、いっぽうn側では自由電子が負電極から反発して接合面へと向かう。そして、接合面で、ホールと自由電子がであい、消滅します
そして、正電極から、つぎつぎとホールが供給されるので、電流が流れ続け
* p側に負電圧を描け、n側に正電圧を掛けた時
いっぽう、p側に負電圧を描け、n側に正電圧を掛けた時、p側ではホールは電極(電極には負電圧が掛かって
この結果、接合面には、余分なホールも余分な自由電子もない状態となり、よって接合面の付近にはキャリアがなく、この接合面付近のキャリアの無い部分は'''空乏層'''(くうぼうそう、depletion layer)と呼ばれ
そして、それ以降は、ホールも自由電子も、もうどこにも移動の余地がないので、よって電流が流れ
{{コラム|※ 範囲外: 「半導体」とは?|
物理学や化学でいう半導体とは、上述のように、シリコンなどの結晶および、それらの結晶に、不純物を加えることで電気特性を調整した物質の事で
いっぽう、磁性体は、半導体では
しかし、世間一般では、大企業の「半導体メーカー」とされる企業が生産した電子部品が、まとめて「半導体」と言われることもあり、このため、たとえ磁性体を活用した製品であり、半導体をあまり活用していない製品であっても、半導体と言われることも多い。
よくある例としては、磁気ハードディスクですら「半導体」と言われる場合もあ
しかし、物理学では、磁性体は、けっして半導体では
磁性体だけでなく、液晶も同様で
大学の物理や化学でも、磁性体は、半導体では
本wikibooks高校教科書でも、磁性体や液晶は、半導体では
なお、中学高校の社会科の地理科目の工業統計では、きちんと「電子部品」という表現で、半導体や液晶、ハードディスクなどを、まとめて表現してい
}}
345 ⟶ 329行目:
[[ファイル:Transistor description ja.svg|right|frame|NPN型トランジスタの模式図(バイポーラトランジスタ)]]
半導体を3つnpnまたはpnpのように組み合わせると、電流を増幅(ぞうふく)することができ
NPNとは、片端から順に見てN型・P型・N型の順に並んでるという事で
同様に、PNPとは、片端から順に見てN型・P型・N型の順に並んでるという事で
増幅といっても、けっして無からエネルギーが発生するわけではないので、混同しないように。
説明の簡略化のため、外部電源が省略される事があるが、実際は外部電源も必要で
なお、図のように長方形状に並んでいる方式のトランジスタを'''バイポーラトランジスタ'''とい
バイポーラトランジスタには、端子が主に3つあり、「エミッタ」や「ベース」や「コレクタ」という合計3つの端子があ
バイポーラトランジスタでの電流の増幅とは、ベース電流を増幅してコレクタに集めるで
371 ⟶ 355行目:
教育では、半導体の高校生や専門外(電子専攻以外)の人むけには、よくバイポーラトランジスタが単純なので紹介されるが、実際に市販のコンピュータ部品などでよく使われるトランジスタの方式は、これとは形状がけっこう異な
市販のコンピュータ部品のトランジスタには、電界効果トランジスタといわれる方式のものが、よく用いられ
:(※ 啓林館の検定教科書で、「電界効果トランジスタ」がコラム欄で紹介されている。)▼
:※ 電界効果型の場合は、「ソース」や「ゲート」や「ドレイン」などの端子がある。原理は異なるので、対応はしない。▼
(※ 詳しくは大学の電気工学または工業高校の電子回路などの科目で習う。)
{{-}}
トランジスタは、回路図では、模式的に下図のように書かれ
[[File:NPN transistor symbol jp.svg|thumb|300px|left|NPNトランジスタの図記号。]]
397 ⟶ 373行目:
{{-}}
ダイオードやトランジスタの他にも半導体を組み合わせた電子部品はあるの
:※ 集積回路について、1990年代くらいの参考書の数研出版チャート式の物理2に、後述のような集積回路などの説明があった。
:
パソコンのCPUなどの部品も、中身の多くは半導体であり、ダイオードやトランジスタなどの素子がCPUなどの内部にたくさんあ
集積回路やLSI(Large Scale Integrated、大規模集積回路)などと言われる
なお、「IC」(アイシー)とは Integrated Circuit の略称であり、これを和訳したものが「集積回路」で
つまり、集積回路やLSIの中身は、半導体であり、トランジスタなどの素子が高密度で、その回路中に詰まってい
電子部品の半導体の材料としては、通常はシリコン結晶が使われ
研究開発ではシリコン以外の材料も研究されており一部の特殊用途ではGaAsやInGaPなどが利用されているが(※ 数研の検定教科書はGaAsやInGaPなどにコラムで言及)、しかし現状では、シリコンが市販のコンピュータ部品中の半導体素子の材料では主流で
なお、シリコン半導体の材料内部はシリコン結晶であるが、表面は保護膜および絶縁のために酸化させられており、シリコン半導体表面は酸化シリコンの保護膜になってい
半導体の内部に、添加物などで特
(※ 範囲外: )しかし、コイルは半導体内部に作ることが出来無いです。
451 ⟶ 406行目:
=== 運動する磁束は電場を誘起する ===
磁場Bの中を、電荷qの荷電粒子が速度vで運動すると、ローレンツ力はベクトル外積を用いて f=q・v×B の力が粒子に働くが、ここで観測者の座標系を変えたとして、同じ粒子を、粒子と同じ方向に速度vで動く座標形Kの中の観測者から見たらどうなるか? 座標系Kでは、粒子の速度は v(K)=0 であり、磁束の速度を V<sub>b</sub> とすると、前の座標系の粒子とは反対方向に動くので、
:V<sub>b</sub> =-v で
新しい座標系Kから観測しても、粒子が f=q・v×B の大きさの力を受けて加速されることには変わら
=== 運動する電場は磁界を作る ===
もし、「運動する電場は磁界を作る」とすれば、アンペールの法則 「直線状に無限に長い導線を流れる 電流I は距離R だけ離れた場所に B・2πr=μI の磁場を作
電流が流れている無限長の、まっすぐな導線を考え
(※ ここに図を。)
471 ⟶ 426行目:
電流 qV<sub>e</sub> が距離 r のところに作る磁場Bはアンペールの法則から、
:B・2πr(=μI)= μqV<sub>e</sub> ②
とな
このとき、磁場の向きは、V<sub>e</sub> から 半径r方向 にねじを回す向きで
:②÷①から B/εE = μ V<sub>e</sub> B=εμ V<sub>e</sub>・E
向きまでふくめてベクトル積で表せば、
:<math>\vec {B} </math>=εμ <math>\vec {V_e} \times \vec E</math> とな
つまり
:速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は、誘導磁場 B=εμV<sub>e</sub>×E を作
という、重要な結論が得られ
あるいは、 μH=B をもちいて B=μH=εμ V<sub>e</sub> ×E より
:H=εμV<sub>e</sub>×E となって、さらに D=εE より
:H=μV<sub>e</sub>×D
で
まとめ
492 ⟶ 447行目:
速度 V<sub>b</sub>で運動する磁束Bは
:E=-V<sub>b</sub>×B
の誘導電場を誘起します
速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は
:B = εμ V<sub>e</sub> × E
の誘導磁場を作
E,Bのかわりに、D,Hを使って表記すれば、
504 ⟶ 459行目:
さて、電磁波が速度Cで真空中を伝わるとすれば、 Vb = Ve = C とします
: E×H =(-V<sub>b</sub>×B)× (V<sub>e</sub>×D) = (-C×μH) × (C×εE)
:= εμ ( C<sup>2</sup>) E×H
よって
:εμ・c<sup>2</sup> =1
で
よって、電磁波の速度は <math> c = \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} }</math> と予測でき
このεとμに実測値を入れると、光速の測定値 <math> c = 299792458 m/s</math> と、高い精度で一致します
この事から、光は、電磁波である事が分か
また、これより、運動電場の誘導する磁場は
:B = (1/ C<sup>2</sup> )V<sub>e</sub>×E ③
とも変形でき
③式を、ガウスの法則(①式) と組み合わせると、アンペールの法則(②式)が得られ
よって、「速度 V<sub>e</sub> で運動する電場 E は、 B=εμ V<sub>e</sub> ×E の誘導磁場を作
=== ポインティング ベクトル ===
電磁波では電場 E と磁場 B が光速 C で運動しているので 磁束の運動速度 V<sub>b</sub> は V<sub>b</sub> = C であり、誘導電場 E は E =-V<sub>b</sub>×B であるので、両式より E = -c×B で
:<math> \mathbb{B} = \mu \mathbb{H} </math>
であるので、
電磁波は
:<math> \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math>
の方向に進んでいるはず
この <math> \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math> で定義される量を '''ポインティング ベクトル''' とよぶ。
537 ⟶ 492行目:
さて、電磁場のエネルギー密度は <math> u = \frac{1}{2}\varepsilon E^2 + \frac{1}{2}\mu H^2 </math> なので、これに電磁波の電場と磁場の関係式 <math> \mathbb{E} = - \mathbb{C} \times \mathbb{B} </math> を代入して、
:<math> \varepsilon \mu \cdot c^2 = 1 </math>
の関係を用いると、(エネルギーでは、2乗によりマイナス符号がなくなるので、絶対値を取って|E|=|c×B| としておくと、計算が簡単になる場合があ
結果として
:<math> u = \varepsilon E^2 </math> (電磁波のエネルギー密度)
とな
電磁波が、壁にあたって吸収されるとき、単位時間に単位面積あたり 光速C の大きさの体積のなかの電磁波が壁に衝突するので、
:c・u
のエネルギーが、単位時間に単位面積に流れ込むはずで
s= c・u に u= ε・E^2 を代入して、 <math> \epsilon \mu \cdot c^2 = 1 </math> と |E|=|c×B|を利用すると、結果的に
: s = <math> \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} } \epsilon E^2 </math> =<math> \frac{1}{ \sqrt{ \varepsilon \mu} } \epsilon |E||cB| </math> =|E|・|H|
で
よってポインティング ベクトル E×H は単位面積を通って流れ出る電磁場のエネルギーの流れをあらわす。
555 ⟶ 510行目:
=== ポインティング ベクトル と 運動量密度 ===
ポインティング ベクトル S = E×H = εμ(C<sup>2</sup>)E×H は
:D=εE と B=μH をもちいて S = E×H =(C<sup>2</sup>)D×B とも書け
:<math> \mathbb{D} \times \mathbb{B} = \frac{1}{c^2} \mathbb{E} \times \mathbb{H} </math>
で
天下り的な説明
:[D×B] = [{1 / (C<sup>2</sup>)}] [E×H] = [1 / (m/s)<sup>2</sup>] [W/m<sup>2</sup>]
:= [N・s/m<sup>3</sup>]
とな
たしかに、運動量の密度の単位と等しい。
* 発展: 光電効果との関係
ところで、のちの単元で習うが、光電効果では エネルギーuと運動量pの関係は、光速度Cをもちいて、 u=cp と書け
:s=c・u は s= cu =|E×H| であり、 u=cp とあわせて、
:s=c (cp) = (c<sup>2</sup>) p =|E×H|
574 ⟶ 529行目:
向きまで含めて
:p = D×B
となって、確かに G = D×B は運動量密度とな
=== 電磁誘導の再検討 ===
長さLのまっすぐな針金が、速度vで磁場Bの中を横切るとします
:F = q v×B
:F/q = E = v×B の電位が、針金の長さ方向に派生します
電場Eにそって長さLだけ、電荷qが上げられたら、エネルギーは qEL 変化します
:V = LvB = ⊿Φ/⊿t
これより、誘導電圧 V は、磁束の1秒あたりの時間変化にな
では、仮に固定された回路の中にソレノイドを通して、このソレノイドに交流電流を流した場合も、回路に誘導電圧が発生するのだろうか。答えは「する」。
[[Category:高等学校教育|物ふつり2てんきとしき]]
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