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==ルール==
囲碁は、[[w:碁石|石]](将棋で言えば駒に相当)を置いて良い場所にきわめて制約が少ないことが特徴的である。
 
さらには、囲碁のルールにおいてもっとも重要な概念である石の[[w:死活|死活]]が、戦略を極めて難しくする。
 
こうした事情から、囲碁は他に類を見ない複雑なゲームとなっている。チェスなどでコンピュータプログラムが世界チャンピオンを負かしたりしているのに対して、[[w:コンピュータ囲碁|コンピュータ囲碁]]ソフトがいまだに(2005年)きわめて弱いのも、これが原因である。
 
基本的な考え方は同じだが、細かい違いをもつ二つのルールの系統として、中国ルールと日本ルールがある。
 
以下では、[http://park6.wakwak.com/~igo/igorule/jp_rule.html 日本囲碁規約]に基づき、日本ルールを中心に説明する。
 
===対局者(プレーヤー)===
黒と白と呼ばれる2人のプレイヤーがそれぞれ、黒、白の石の碁笥を持つ。
 
===盤上の石の状態===
====交点====
盤上にある石は、盤上の罫線の交点の上にある。
 
====連続====
複数個の一つの色の石が縦横の碁盤の線に沿ってつながっているものを石の一団とよぼう。
 
:縦横の方向だけが重要で、斜めは関係ない。「つながっている」「囲まれる」などの言葉は、縦横に限った話であることに注意。
 
====取り====
石の一団は、その周囲の交点全てに相手の石を置かれると取られる。
 
:石の一団は隣接点で呼吸をしている。隣接点が空点(石が存在しない交点)であれば、呼吸ができる。隣接点に相手の石があれば呼吸を邪魔される。上下左右四方向とも相手の石にふさがれると窒息してしまい取られてしまう。もし、隣接点に味方の石がある場合は、味方の石を通じて呼吸ができ、石の一団で一つでも呼吸のできる石があれば、その石の一団全体が呼吸できる。全ての石の縦横が塞がれ、呼吸のできる石が一つも無くなった場合は、その石の一団全体が窒息し'''取られて'''しまう。取った石は'''ハマ'''とよばれる。
 
====石の存在====
取られない石は、着手されてから終局まで盤上に存在し続ける。
 
===着手===
黒と白が、交互に一つずつ石を置いていく('''打つ''')。黒が[[w:先手|先手]]で、白が[[w:後手|後手]]となる。
 
以下に説明するような制約を除くと、すでに石が置かれていないを盤上の線の交点上のどこに打っても良い。さらに、パスや[[w:投了|投了]]をすることも許される。
 
====空点====
石が打たれている点に打つことはできない。
 
====自殺の禁止====
自分の石を置くとその石が取られる状態になる点は着手禁止点となる。つまり自殺は禁止。ただし、自殺手によって、相手の石が取れる場合は、自殺手は許され、打ち込んだその石自体も取られない。
 
==== 同型反復禁止(コウ)====
[[画像:Goko.gif|thumb|同型反復禁止(コウ)]]
対局者の一方が一つの石(以後一子と称す)を取った後、即座にもう一方の対局者が一子を取れる状態になる場合。この状態を[[w:コウ|コウ]]と呼ぶ。一子の取り合いを続けていると永久に対局が終わらないことになるため、コウには特別ルールを設けている。一方の対局者がコウの一子を取った後、もう一方の対局者は別の場所に1手打たない限りはコウの一子を取り返すことが出来ないものとする。なお、この別の場所に打たれる一手のことを、'''コウ材'''または'''コウダテ'''と呼ぶ。
 
===終局===
まず、片方のプレーヤーが投了を告げると終局し、もう片方のプレーヤーが勝ちになる。
 
また、二人のプレーヤーが連続でパスをすると終局処理に入る。通常は、パスの代わりに、両対局者の合意によって終局状態に移行する。言葉で終局を確認したり、頷きあったりして確認することが多い。逆に、「両対局者の合意」などの終局状態への移行手続きを形式化した表現が連続パスであると考えて良い。
 
====終局処理(終局状態の確定)====
囲碁は、他のゲームと比べて、終局処理が極めて複雑なことも特徴的である。
 
投了以外の場合の終局状態においては、盤上は、活きた石とそれによって囲まれた地によって分割されることが、勝敗が判定可能であることの条件である。誤って地が確定しない状態で終局に同意してしまった場合は、勝敗判定は不可能になる。[[w:麻雀|麻雀]]で、アガリの状態でないのに、ロンを宣告してしまった状態と同様の事態が生じると思って良い。ある程度以上の実力になれば、こうした誤りはめったに起こらない。
 
以下では、地の確定している正常な終局状態における終局手続きを述べる。
 
====ダメ詰め====
地の境界線を定めるために打つ('''ダメ'''を詰める)。ダメは漢字で'''駄目'''と書き、打っても何の価値も生じない手という意味であり、日本語の'''駄目'''もここからきている。しかし場合によっては死活などで駄目を詰めることで手筋が生じたり、相手の手入れが必要となることもある。中国ルールでは、ダメを詰め終えるまでは終局しない。
 
====死活判定====
盤上にある石は活き、死にの二つの状態のどちらかになる。
[[Image:Go regeln lebende gruppe.png|right|活きている石]]
*プレーを続ければ相手の石を取ることができる場合('''死に''')
*死にでない場合('''活き''')
**着手禁止点を2つ以上もつ石のグループ
**[[w:セキ (囲碁)|セキ]]=相手の石を取りに行くと、自分の石が取られる。よって両者ともこれ以上手入れをできない状態。
死活判定は必ずしも簡単ではない。ここでも対局者両者の合意が前提となる。
 
====死石の除去====
相手の死んだ石は、盤上から取り除き、自分のハマに加える。セキの場合は何もせず、その場所については両者とも0目とする。
 
====地の定義====
死石を除去すると、盤上には活きた白石と黒石のみが存在する。自分の石と碁盤の端で囲んだ領域を、自分の地と定義する。
 
===勝敗判定===
地の面積は、交点の数で数え、単位は'''目'''(もく)である。日本ルールでは、自分の地から相手のハマの数を引いた数を計算し、その大小によって勝敗を決める。中国ルールにおいては、地の目数、盤面で生きている石の数の合計 [訂正:取ったハマの数を削除] の大小で勝敗を決する。このため、[[w:セキ (囲碁)|セキ]]の場合に勝敗が大きく変わる。
 
麻雀などの他の点数を使うゲームと異なり、囲碁においては通常目数の''差''は重要ではない。そのため、複数回対局して優劣を競う大会などでは、目数差は累積せず、単に勝敗のみを記録して集計する。
 
===ハンディキャップ===
囲碁は先手有利のゲームなので[[w:互先|互先]]の場合、[[w:コミ|コミ]]と呼ばれるハンディキャップを先手の地の計算から引くことが一般的。実力差がある場合は、[[w:置碁|置碁]]が行われることがある。
 
=== ルールにまつわるエピソード: 終局に関するトラブル ===
とりわけ、日本ルールは、終局に関するルールが高度である。そこで、例えば、お互いの合意が成立していないのに終局が成立していると勘違いし、駄目詰めに対して必要な着手('''手入れ'''という。)をせずに石をとられてしまい、終局していたかどうかで争いになってしまうといったトラブルが後を絶たない。こういったトラブルはアマチュアだけでなくプロでも起こり得る。
 
[[w:2002年|2002年]][[w:王立誠|王立誠]]二冠(棋聖・十段)に[[w:柳時薫|柳時薫]]七段が挑戦した第26期[[w:棋聖 (囲碁)|棋聖戦]]七番勝負第五局において、終局したと思っていた柳時薫は「駄目詰め」の作業に入っていたが、王立誠は終局とは思っておらず柳時薫の石を六子も取ってしまった。終局していないのなら柳時薫は取られないように「手入れ」すべきで、終局しているなら順序関係なくお互いの地にならない駄目をつめるだけだったため柳時薫は手入れを怠った。これにより王立誠の逆転勝利となり、行為の正当性を巡り囲碁界に論争を巻き起こした。
 
==対局の進行==