「高等学校生物/生物I/環境と動物の反応」の版間の差分

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* [[高等学校 生物/生得的行動|生得的行動]]
* [[高等学校 生物/学習|学習]]
 
 
動物が生まれつき持っている行動には、走性と本能行動がある。
==== 走性 ====
'''走性'''(そうせい、taxis)には光走性(phototaxis)、化学走性(chemotaxis)、水流走性(Rheotaxis)、重力走性()、電流走性(galvanotaxis)などがあり、
それぞれ光・化学物質・水流・重力・電流など刺激に対して向かっていくことを'''正の走性'''といい、いっぽう遠ざかることを'''負の走性'''と呼ぶ。
例えば、[[w:プラナリア|プラナリア]]は負の光走性を持っている。
また、メダカは流れに逆らって泳ぐ正の水流走性を持っている。
 
光への走性を光走性といい、化学物質への走性を化学走性といい、同様に電気に対しては電気走性という。
 
*プラナリアの光走性
 
===== かぎ刺激 =====
[[File:イトヨの走性 赤い腹.svg|thumb|300px|イトヨの走性. 赤い腹の場合.]]
 
動物には、習わなくても、その行動をする、'''生得的行動'''(せいとくてき こうどう)がある。
 
本能行動の研究には、オランダのニコ・ティンバーゲンによるイトヨの研究などがある。
ティンバーゲンは、様々なイトヨの模型を用いて、繁殖期の腹部が赤いイトヨの雄(おす)が、他の雄を攻撃して追い払う本能行動を調べた。
 
イトヨの雄(おす)は、腹部が赤くないイトヨの模型には反応せず、いっぽうで形が似てなくても下部が赤い模型には攻撃した。
 
このように、生得的行動を引き起こす刺激を'''かぎ刺激'''()と呼ぶ。
 
つまり、このイトヨの実験では、「イトヨの雄が、他の雄を攻撃する」という生得的行動において、かぎ刺激にあたるものは、腹部の赤い部位である。
 
イトヨの雌(めす)が卵を産む期間に、イトヨの雄は腹部が赤くなるのである。
 
<gallery widths="300px" heights="300px">
File:イトヨの走性 赤くない.svg|イトヨの走性. 赤くない場合.
File:イトヨの走性 おおざっぱ赤い腹.svg|イトヨの走性。おおざっぱな形で、赤い腹。
</gallery>
 
==== 情報伝達 ====
[[File:Bee_dance.svg|thumb|8の字ダンス]]
<ref>吉里勝利ほか『スクエア 最新図説生物』第一学習社、2004年1月10日発行、p.152</ref>
動物の情報伝達には、視覚や聴覚による方法と、フェロモンによる方法などがある。
 
動物の情報伝達では、ミツバチの'''8の字ダンス'''などが有名である。
ミツバチは、餌の方向・距離を様々なダンスによって他の仲間に伝える。餌が近いときは円形のダンスを、餌が遠いときは8の字のダンスをする。
 
'''フェロモン'''(pheromone)とは、動物の体内で作られ、体外に分泌されて、極微量でも他の個体の行動に影響を与える化学物質のことである。
例えば、アリは餌を見つけたアリは、道しるべフェロモンを出しながら巣へ戻り、他のアリはその道しるべフェロモンをたどり餌にたどり着く。
 
==== 生物時計 ====
'''生物時計'''(biological clock)とは、生物の体内の時計機構である。
生物時計は目覚めと睡眠をつかさどり、体温・血圧・心拍数などを調整している。
また、渡り鳥の太陽コンパスも生物時計に基づいている。動物の生物時計は細胞一つ一つにあるが、それらを脳の視交叉上核()が統合している。
アサガオの開花も生物時計が関係している。
 
== 脚注 ==
<references/>