「高校化学 合成高分子化合物」の版間の差分

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ラテックスは疎水コロイド溶液であり、炭素にタンパク質が保護作用をした保護コロイドによるコロイド溶液である。
 
ラテックスに酢酸などの酸を加えて凝固させたものが'''天然ゴム'''(natural rubber)あるいは'''生ゴム'''(なまゴム,raw(raw rubber)である。生ゴムの主成分は'''ポリイソプレン'''であり、これは'''イソプレン''' C<sub>5</sub>H<sub>8</sub>(示性式はCH<sub>2</sub>=C(CH<sub>3</sub>)CH=CH<sub>2</sub>である。)が付加重合したものである。
 
生ゴムには、弾性はあるものの、生ゴムの弾性は弱い。ゴム材料に弾性を持たせるには、加硫(= 硫黄を添加して加熱する処理)という処理が必要である。
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== 合成ゴム ==
天然以外に製造したイソプレンを架橋したゴムや、'''ブタジエン'''などを架橋させたゴムなどを、'''合成ゴム'''(synthetic rubber)という。 ブタジエンも単量体に二重結合を持っている。
 
合成ゴムには、イソプレンゴムやブタジエンゴムの他に、'''クロロプレンゴム'''や'''スチレン・ブタジエンゴム'''や'''ブチルゴム'''などがある。
 
=== 付加重合による合成ゴム ===
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略称はSBR。 ブタジエン (CH<sub>2</sub>=CH&#x2212;CH=CH<sub>2</sub>) とスチレン(C<sub>6</sub>H<sub>5</sub>&#x2212;CH=CH<sub>2</sub>) が共重合したもの。
[[ファイル:SBR.svg|左|サムネイル|243x243ピクセル|スチレン・ブタジエンゴムの構造式]]
耐磨耗性が良いので、タイヤなどに用いられることが多い(※ 参考文献: 実教出版の教科書より)。なお、タイヤの色が黒いのは、補強材として炭素を加えているからである(※ 参考文献: 数研出版の教科書より)。{{clear}}
 
; アクリロニトリル・ブタジエンゴム
 
略称はNBR。アクリロニトリル・ブタジエンゴムも共重合ゴムである。 耐油性が高く、このため石油ホースなどにも用いられてる(※ 参考文献: 東京書籍の教科書より)
[[ファイル:Nitrile_Butadiene_Rubber.png|左|サムネイル|300x300ピクセル|アクリロニトリル・ブタジエンゴムの構造式]]
シアノ基(ニトリル基) R-C&#x2261;N の極性のため、耐油性が高い。{{clear}}
 
== シリコーンゴム ==
ジクロロジメチルシランを加水分解すると、ケイ素を含む重合体のポリメチルシロキサンが得られる。 これの架橋に、架橋剤として過酸化ベンゾイルなどの過酸化物の架橋剤を用いて架橋をすると、(-C-C-)といった架橋結合をもった'''シリコーンゴム'''が得られる。 シリコーンゴムの架橋には硫黄は用いない。[[ファイル:Dimethylpolysiloxan.png|サムネイル|200x200ピクセル|シリコーン(架橋前の構造)]]
つぎに述べるシリコーンゴムのように、炭素原子以外が骨格になっているゴムもある。
 
ジクロロジメチルシランを加水分解すると、ケイ素を含む重合体のポリメチルシロキサンが得られる。 これの架橋に、架橋剤として過酸化ベンゾイルなどの過酸化物の架橋剤を用いて架橋をすると、(-C-C-)といった架橋結合をもった'''シリコーンゴム'''が得られる。 シリコーンゴムの架橋には硫黄は用いない。
[[ファイル:Dimethylpolysiloxan.png|サムネイル|200x200ピクセル|シリコーン(架橋前の構造)]]
[[ファイル:Dimethylpolysiloxan.png|サムネイル|ポリジメチルシロキサン]]
付加重合による重合とは違い、シリコーンゴムは二重結合を持たないので、大気中の酸素による二重結合の酸化による劣化が少ないので、酸化しづらく耐久性などの性質が優れる。
 
なお、過酸化ベンゾイルは、非常に酸化能力が強く、危険物であり取り扱いには注意が必要であり、消防法による危険物としての適用を受ける。
 
== 発展: 高分子の立体規則性 ==
<gallery widths="300px" heights="200px">
File:Syndiotactic.svg|シンジオタクチック
File:Isotactic jp.svg|アイソタクチック
</gallery>
 
 
ポリプロピレンなどの固体の高分子化合物の立体構造において、'''シンジオタクチック'''(syndiotactic)や'''アイソタクチック'''(isotactic)や'''アタクチック'''(atactic)などの立体構造がある。
 
図中の置換基 R は、ポリプロピレンの場合ならメチル基 CH<sub>3</sub> である。
 
シンジオタクチックは置換基Rが交互についている。
 
アイソタクチックは、置換基Rの付きかたが、すべて同じ側にある場合の構造である。アイソタクチックのことを「イソタクチック」ともいう。
 
[[File:Atactic jp.svg|right|300px|アタクチック]]
アタクチックは、置換基Rが不規則に付いている。
 
触媒を用いないで高分子をつくると、置換基の位置が不規則であるアタクチックが、できる。
 
アタクチックは、不規則であるため、結晶化しづらく、そのため軟化点も低い。
 
いっぽう、触媒をもちいて高分子をつくると、アイソタクチックまたはシンジオタクチックが、つくられやすい。
シンジオタクチックおよびアイソタクチックは構造が規則的なので、結晶になりやすく、かたく、耐熱性も比較的に高い。
 
チーグラー=ナッタ触媒をもちいてポリプロピレンを合成すると、アイソタクチック構造を多くふくむポリプロピレンが出来る。
(なお、チーグラー・ナッタ触媒とは、四塩化チタンTiCl<sub>4</sub>とトリエチルアルミニウムAl(C<sub>2</sub>H<sub>5</sub>)<sub>3</sub>からなる触媒である。)
 
チーグラー・ナッタ触媒でポリプロピレンをアイソタクチック構造で合成できるこの現象の発見者は、ナッタ本人なので(1955年にチーグラーが発見)、書籍によっては触媒名のうちチーグラーを省略して「ナッタ触媒」と言う場合もある。
 
アイソタクチックは、このような耐久性のよい性質のため、ポリプロピレンの日用品などにはアタクチック構造のものが使われている場合が多い。
 
※ 範囲外: ポリエチレンについてのその他の情報{{コラム|ポリエチレンの応用 (※ 範囲外)|
 
* ポリエチレン
ポリエチレンは電線の被覆材料、一部の水道管やガス管に用いられている。
 
* 超強力ポリエチレン
一部の運動用シューズなどに、ポリエチレンをゲル状態のときに延伸した超強力ポリエチレンが用いられている。
 
* 架橋ポリエチレン
 
ポリエチレンの製造のさい、放射線を照射することにより、結合が強化され、ポリエチレンを強化することができ、主に耐熱性が強化される。
電線の絶縁材料に、架橋ポリエチレンが用いられている。
 
自動車のタイヤにも、放射線を照射して耐熱性を強化した素材が使われることがある。
 
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{{コラム|電子線によって分解する材料 (※ 範囲外)|
アクリル樹脂であるPMMAでは、電子線の照射によって分解が進む。これは、半導体産業での回路の印刷で、基盤にアクリル樹脂を塗布してから、半導体の基盤に回路の形に電子ビームを照射したあとに、樹脂を分解することで溶媒などに溶解しやすくして洗い流しやすくする事により、回路を印刷するために利用される場合がある。
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[[Category:高等学校化学]]