「民法第709条」の版間の差分

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#:重篤な化膿性髄膜炎に罹患した三才の幼児が入院治療を受け、その病状が一貫して軽快していた段階において、医師が治療としてルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)を実施したのち、嘔吐、けいれんの発作等を起こし、これにつづき右半身けいれん性不全麻癖、知能障害及び運動障害等の病変を生じた場合、右発作等が施術後15分ないし20分を経て突然に生じたものであつて、右施術に際しては、もともと血管が脆弱で出血性傾向があり、かつ、泣き叫ぶ右幼児の身体を押えつけ、何度か穿刺をやりなおして右施術終了まで約30分を要し、また、脳の異常部位が左部にあつたと判断され、当時化膿性髄膜炎の再燃するような事情も認められなかつたなど判示の事実関係のもとでは、他に特段の事情がないかぎり、右ルンバ一ルと右発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定するのは、経験則に反する。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54219 損害賠償請求](最高裁判決 昭和51年9月30日)[[予防接種法第2条]]2項,予防接種実施規則(昭和33年9月17日厚生省令第27号。ただし昭和45年7月11日厚生省令第44号による改正前のもの)4条
##'''インフルエンザ予防接の実施と医師の問診'''
##:インフルエンザ予防接種を実施する医師が予診としての問診をするにあたつては、予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するために、接種直前における対象者の健康状態についてその異常の有無を概括的、抽象的に質問するだけでは足りず、同条掲記の症状、疾病及び体質的素因の有無並びにそれらを外部的に徴表する諸事由の有無につき、具体的に、かつ被質問者に的確な応答を可能ならしめるような適切な質問をする義務がある。
##'''予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するための適切な問診を尽くさなかつたためその識別を誤つて実施されたインフルエンザ予防接種により接種対象者が死亡又は罹病した場合と結果の予見可能性の推定'''
##:インフルエンザ予防接種を実施する医師が、接種対象者につき予防接種実施規則4条の禁忌者を識別するための適切な問診を尽くさなかつたためその識別を誤つて接種をした場合に、その異常な副反応により対象者が死亡又は罹病したときは、右医師はその結果を予見しえたのに過誤により予見しなかつたものと推定すべきである。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53272 慰藉料](最高裁判決 昭和54年3月30日)
#;妻及び未成年の子のある男性と肉体関係を持ち同棲するに至つた女性の行為と右未成年の子に対する不法行為の成否
#:妻及び未成年の子のある男性が他の女性と肉体関係を持ち、妻子のもとを去つて右女性と同棲するに至つた結果、右未成年の子が日常生活において父親から愛情を注がれ、その監護、教育を受けることができなくなつたとしても、'''右女性の行為'''は、特段の事情のない限り、未成年の子に対して不法行為を構成するものではない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53322 損害賠償](最高裁判決 昭和56年7月16日)[[民法第715条]],[[水道法第15条]]1項
#;違法建築物についての給水装置新設工事申込の受理の事実上の拒絶につき市が不法行為法上の損害賠償責任を負わないとされた事例
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#;管理者に準ずる地位にある職員が組合員バッジの取外し命令に従わないため点呼執行業務から外して営業所構内の火山灰の除去作業に従事することを命じた業務命令が違法とはいえないとされた事例
#:自動車営業所の管理者に準ずる地位にある職員が、取外し命令を無視して組合員バッジの着用をやめないため、同人を通常業務である点呼執行業務から外し、営業所構内の火山灰の除去作業に従事することを命じた業務命令は、右作業が職場環境整備等のために必要な作業であり、従来も職員が必要に応じてこれを行うことがあったなど判示の事情の下においては、違法なものとはいえない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52442 慰藉料](最高裁判決  平成6年2月8日)[[民法第710条]]
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52482 損害賠償](最高裁判決 平成7年1月30日)商法第3編第10章保険<!--旧法-->
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57057 損害賠償](最高裁判決 平成7年6月9日)[[民法第415条]]
##'''診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準'''
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=73145 損害賠償](最高裁判決 平成7年9月5日)[[w:日本国憲法第19条|日本国憲法第19条]]
##:新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては、当該医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり、右治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情がない限り、右知見は当該医療機関にとっての医療水準であるというべきである。
##'''昭和49年12月に出生した未熟児が未熟児網膜症にり患した場合につきその診療に当たった医療機関に当時の医療水準を前提とした注意義務違反があるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例'''
##:昭和49年12月に出生した未熟児が未熟児網膜症にり患した場合につき、その診療に当たった甲病院においては、昭和48年10月ころから、光凝固法の存在を知っていた小児科医が中心になって、未熟児網膜症の発見と治療を意識して小児科と眼科とが連携する体制をとり、小児科医が患児の全身状態から眼科検診に耐え得ると判断した時期に眼科医に依頼して眼底検査を行い、その結果未熟児網膜症の発生が疑われる場合には、光凝固法を実施することのできる乙病院に転医をさせることにしていたなど判示の事実関係の下において、甲病院の医療機関としての性格、右未熟児が診療を受けた当時の甲病院の所在する県及びその周辺の各種医療機関における光凝固法に関する知見の普及の程度等の諸般の事情について十分に検討することなく、光凝固法の治療基準について一応の統一的な指針が得られたのが厚生省研究班の報告が医学雑誌に掲載された昭和50年8月以降であるということのみから、甲病院に当時の医療水準を前提とした注意義務違反があるとはいえないとした原審の判断には、診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準についての解釈適用を誤った違法がある。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55866 損害賠償](最高裁判決 平成8年1月23日)民法第415条
#;医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項と医師の注意義務
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55880 損害賠償](最高裁判決 平成8年2月23日)[[労働基準法第84条]]2項,[[労働者災害補償保険法第12条の4]],労働者災害補償保険法(平成7年法律第35号による改正前のもの)23条1項,[[労働者災害補償保険特別支給金支給規則第1条|労働者災害補償保険特別支給金支給規則(昭和49年労働省令第30号)1条]],[[労働者災害補償保険特別支給金支給規則第2条|労働者災害補償保険特別支給金支給規則(昭和49年労働省令第30号)2条]]
#:医師が医薬品を使用するに当たって医薬品の添付文書(能書)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=69646 預託金返還請求、民訴法第一九八条二項の申立](最高裁判決 平成9年4月24日)[[民法第708条]],[[民法第715条]],証券取引法(平成3年法律第96号による改正前のもの)50条1項,証券会社の健全性の準則等に関する省令(昭和40年大蔵省令第60号。平成3年大蔵省令第55号による改正前のもの)1条
#;証券会社の従業員が顧客に利回り保証の約束をして株式等の取引を勧誘し一連の取引をさせた場合に右取引による顧客の損失について証券会社が不法行為責任を免れないとされた事例
#:証券会社の営業部員が、株式等の取引の勧誘をするに際し、取引の開始を渋る顧客に対し、法令により禁止されている利回り保証が会社として可能であるかのように装って利回り保証の約束をして勧誘し、その旨信じた顧客に取引を開始させ、その後、同社の営業部長や営業課長も右約束を確認するなどして取引を継続させ、これら一連の取引により顧客が損失を被ったもので、顧客が右約束の書面化や履行を求めてはいるが、自ら要求して右約束をさせたわけではないなど判示の事実関係の下においては、顧客の不法性に比し、証券会社の従業員の不法の程度が極めて強いものと評価することができ、証券会社は、顧客に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を免れない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52613 損害賠償請求事件](最高裁判決  平成11年10月22日)[[国民年金法第30条]],[[厚生年金保険法第47条]],[[国民年金法第35条]]1号,[[厚生年金保険法第53条]]1号,[[民法第896条]],[[国民年金法第33条の2]],[[厚生年金保険法第50条の2]],[[国民年金法第37条]],[[厚生年金保険法第58条]]
##'''不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金を逸失利益として請求することの可否'''
##:障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各障害年金額を逸失利益として請求することができる。
##'''不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金についての各加給分を逸失利益として請求することの可否'''
##:障害基礎年金及び障害厚生年金についてそれぞれ加給分を受給している者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各加給分額を逸失利益として請求することはできない。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57036 損害賠償請求事件](最高裁判決 平成11年12月20日)[[民法第416条]]
#;交通事故の被害者が事故のため介護を要する状態となった後に別の原因により死亡した場合に死亡後の期間に係る介護費用を右交通事故による損害として請求することの可否
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52218 最高裁判所第三小法廷 平成10(オ)1081 損害賠償請求上告,同附帯上告事件 平成12年2月29日 判決 棄却  民集54巻2号582頁] [[民法第710条|民法710条]]
#:交通事故の被害者が事故のため介護を要する状態となった後に別の原因により死亡した場合には、<u>死亡後の期間に係る介護費用</u>を右交通事故による損害として請求することはできない。
#:*交通事故で傷害を負い、その後遺障害のため他人の介護を要する状態にあったが、本件訴訟の係属中に胃がんにより死亡したという案件。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52268 損害賠償等請求事件](最高裁判決 平成13年2月13日)[[著作権法第20条]],著作権法第第7章権利侵害,[[民法第719条]]
##'''メモリーカードの使用がゲームソフトの著作者の有する同一性保持権を侵害するとされた事例'''
##:パラメータにより主人公の人物像が表現され,その変化に応じてストーリーが展開されるゲームソフトについて,パラメータを本来ならばあり得ない高数値に置き換えるメモリーカードの使用によって,主人公の人物像が改変され,その結果,上記ゲームソフトのストーリーが本来予定された範囲を超えて展開されるなど判示の事実関係の下においては,当該メモリーカードの使用は,上記ゲームソフトを改変し,その著作者の有する同一性保持権を侵害する。
##'''専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者の不法行為責任'''
##:専らゲームソフトの改変のみを目的とするメモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた者は,他人の使用により,ゲームソフトの同一性保持権の侵害をじゃっ起したものとして,ゲームソフトの著作者に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52293 著作権侵害差止等請求事件](最高裁判決 平成13年3月2日)[[著作権法第22条]],[[著作権法第22条の2]],著作権法第7章権利侵害,民法第719条
# [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52222 損害賠償請求事件(通称 電通損害賠償)](最高裁判決 平成12年3月24日)[[民法第715条]],[[民法第722条]]2項