「民法第719条」の版間の差分

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====求償権の獲得====
共同行為者のうちの1人が全額を賠償した場合、その者は自己の寄与度を越える額について他の共同行為者に求償することができる。これは、[[w:不当利得|不当利得]]から導かれる。たとえば、AとBが共同不法行為でCに100万円の損害を与え、AとBの寄与度過失割合が7:3である場合、Aが100万円全額をCに賠償すれば、Aは30万円についてBに対する求償権を獲得する。
 
====免除の効果====
連帯債務に関する民法の原則に従えば、連帯債務者の一人に対してした免除の効果は、その者の負担の限度において、他の者にも及ぶ([[民法第437条|437条]])。すなわちこの場合、免除には絶対効がある。
 
しかし、共同不法行為が不真正連帯債務という構成をとるのは、免除の絶対効を認めないためである。すなわち、不真正連帯債務においては、免除は相対効しかもたない。たとえば、AとBが共同不法行為でCに100万円の損害を与え、AとBの寄与度過失割合が7:3である場合、CがAに対して債務免除をしても、Bは100万円全額について賠償責任を負う。なお、このことと求償権とは別個独立の問題であり、Aが債務免除を受けても、Bが100万円全額を賠償した場合は、BはAに対して不当利得に基づく70万円の求償権を獲得する。
 
====共同不法行為と過失相殺====
;絶対的過失相殺:共同不法行為者各自の過失割合と被害者の過失割合を加算して、全体における割合を算出する考え方である。
:たとえば、AとBが共同不法行為でCに100万円の損害を与え、AとBとCの過失割合が3:1:1である場合、Cの過失は1÷(3+1+1)で全体の1/5が過失相殺される。よってAとBは80万円の賠償責任を連帯して負うとする。
;相対的過失相殺:共同不法行為者のそれぞれについて被害者の過失との過失相殺を行う考え方である。
:たとえば、AとBが共同不法行為でCに100万円の損害を与え、AとBとCの寄与度が3:1:1である場合、AとBの間では3:1の過失相殺を行うから、3÷(3+1)=3/4となり、AはCに対し75万円の賠償請求を負う。同様にBとCとの間では1:1の過失相殺を行い、BはCに対し50万円の賠償責任を負う。
 
絶対的過失相殺と相対的過失相殺のどちらの構成をとるかは、判例も結論が分かれているが、1件の交通事故でAB両名の行為が共同した場合などは絶対的過失相殺、Aが交通事故で損害を与え、Bがその後医療事故で損害を与えた場合などには相対的過失相殺の構成をとると説明される場合もある。
 
==関連条文==