「民法第443条」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
12 行
 
=== 第1項 ===
連帯債務者の一人が、債権者に対して弁済をするにあたっては、他の債務者に'''事前の通知'''を要すると定めている。
事前の通知
 
いま、連帯債務者B・C・Dが債権者Aに対して60万円の連帯債務を負っており(負担部分は平等)、BはAに対してこれと相殺適状にある30万円の反対債権を有しているとする。本項によれば:
 
*DがB・Cに事前に通知してからAに60万円を弁済した場合、DはB・Cに対しておのおの20万円の求償権を獲得する([[民法第442条|442条1項]]の原則どおり)。
*DがB・Cに事前に通知することなくAに60万円を弁済した場合、DがBに対する20万円の求償権を行使したときは、BはAに対して有する反対債権をもってこの求償権と相殺できる(本項前段)。この場合において、相殺に供されたBのAに対する反対債権は、Bの負担部分(20万円)の範囲で、Dに移転する。すなわち、DはAに対して20万円を請求できる(本項後段)。
 
=== 第2項 ===
連帯債務者の一人が、債権者に対して弁済をした場合は、他の債務者に'''事後の通知'''を要すると定めている。
事後の通知
 
いま、連帯債務者B・C・Dが債権者Aに対して60万円の連帯債務を負っており(負担部分は平等)、まず、DがAに対して60万円を弁済し(第一弁済)、ついで、BがAに対してやはり60万円を弁済したとする(第二弁済)。本項によれば:
 
*Dが弁済後、B・Cに事後の通知をした場合、Dの第一弁済が有効、Bの第二弁済は無効である。したがってDはB・Cに対しておのおの20万円の求償権を獲得する([[民法第442条|442条1項]]の原則どおり)。
*Dが弁済後、B・Cに事後の通知を怠り、その結果Bが第一弁済につき善意で第二弁済をした場合は、Dの第一弁済は無効、Bの第二弁済が有効である(「有効であったものとみなすことができる」)。したがってDは求償権を獲得せず、BがC・Dに対しておのおの20万円の求償権を獲得する。
 
==参照条文==
*[[民法第442条]](求償権)