「古典力学」の版間の差分
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ある物体が他の物体に力を与えるとき、ある物体は他の物体から大きさが等しく、逆向きの力を受ける。
==運動の三法則をどう使うか==
力学の主要な目的は法則を使って物体の運動を定量的あるいは定性的に予測することだが、その作業は大きく二段階に分けられる:▼
1.(運動方程式の導出)問題とする状況において物体が受ける力を求める。重力や電磁気力の法則を使うが、複数の物体がからむ問題では第3法則も重要な働きをする。物体が受ける力は一般にはその位置<math>\vec{r}</math>および時
▲力学の主要な目的は物体の運動を定量的あるいは定性的に予測することだが、その作業は大きく二段階に分けられる:
▲1.(運動方程式の導出)問題とする状況において物体が受ける力を求める。重力や電磁気力の法則を使うが、複数の物体がからむ問題では第3法則も重要な働きをする。物体が受ける力は一般にはその位置および時間に依存するので<math>\vec{F}=\vec{F}(t,\vec{r})</math>となるが、特に位置への依存性が重要な問題が多い。その結果を第2法則に代入すると
<math>m\frac{d^2\vec{r}}{dt^2}=\vec{F}(t,\vec{r})</math>
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2.(運動方程式を解く)運動方程式を解いて運動を求める。原理的には適切な初期条件を与えた上でそれを解けばよい。2階なので初期条件は初期時刻<math>t_i</math>での位置<math>\vec{r}(t=t_i)</math>と速度<math>d\vec{r}/dt(t=t_i)</math>が必要。物理的にはある時刻の位置と速度を決めると、それ以降の運動が完全に決まることを意味する(ボールを投げる場合を思いおこせばよい。ボールが手から離れる瞬間の位置と速度でその後のコースが決まるわけである)。
とはいえ、二階微分方程式は二次方程式のように一般的な解の公式があるわけではない。それどころか力が少々複雑になると、解が既知の関数の組合せで表せないことも普通。そこをどうするかが力学の問題となる。幸い次の"good news"がある:
(1)物理として重要な基本的な問題には、厳密に解けるものが多い。代表的な例は地球表面近く(つまり重力が一様一定)でのボールの運動、太陽の周りの惑星の問題、バネにつながれた物の運動など。解けないものも、これら厳密に解けるものが「いくらか複雑化」したものとみなすことである程度理解できる。
(2)厳密な解が得られなくても、重要な定性的性質が得られることもある。例えばいつまでも動きつづけるのか否か、有限な範囲を動き回るのか、どこまでも遠くに去ってしまうのか、など。
上のどちらの場合も、「保存量」がキーになる。保存量とは位置と速度をある形で組み合わせた式で、その値が運動の初めから終わりまで変わらない一定値をとるもの。これがあると運動の自由度が減るので解きやすくなる(2階の方程式を一階に直して積分で解くことが可能になる)し、また大きな制限となるので定性的性質も分かりやすくなる。代表的な保存量の候補はエネルギー、運動量、角運動量。
一方、保存量が存在しない、あるいは自由度に比べ保存量の数が少ない運動はたいてい複雑で、解くことも定性的性質を捉えることも難しい。そのような運動を調べるには計算機上の数値計算などが必要となる。実はこのような運動も独自の重要性を持つ。カオス的な運動と呼ばれるものがこの範疇に入る。
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==力==
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