「有限群論序論」の版間の差分

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<math>f:G \to G'</math>を準同型とするとき、<math>\mathrm{Im} f = \{f(x) \in G'|x \in G \}</math>をfの像(image)といい、<math>\ker f = \{ x \in G | f(x) = e_{G'} \}</math>をfの核(kernel)という。imageはG'の、kernelはGの部分群であることはすぐわかる。
 
準同型は必ず単位元を単位元にうつす。すなわち、<math>e_G \in \ker f</math>である。また、準同型が単射であることは、<math>\ker f = \{ e_G \}</math>と同値である。この事実は準同型の単射性の判定を簡便にするためにしばしば役立つ。
 
===正規部分群===
274 行
<math>aH \cdot bH = (a \cdot b)H</math>
 
このようにして定義した群を、''G''を''H''で割った商群とか、剰余群という。剰余群の単位元は<math>e_G H</math>、aHの逆元は<math>(a^{-1})H</math>である
 
これが群であることを示さなくてはならないが、その前に正規部分群ならばこの演算がwell-definedであることを示さなくてはならない。この演算のwell-defined性さえ確かめれば、あと群になることはほとんど自明である。ここではとりあえず略して先へ進む。
284 行
 
この定理は、何か得体の知れない群に接したときの対処法としてとても有用である。すなわち、得体の知れない群が現れたときには、とりあえずよく知っている群からの全射を構成することさえできれば、よく知っている群の商群として理解できるということである。
 
(証明)
 
<math>\ker f = K</math>とする。<math>\bar{f}:G/\ker f \to H</math>を<math>\bar{f} (aK) = f(a)</math>で定める。まず、これがwell-definedであることを示す。
 
<math>aK=bK</math>とすると、<math>a^{-1} \cdot b \in K</math>なので、<math>f(a^{-1} \cdot b)=f(a)^{-1} \cdot f(b) = e_H</math>。よって<math>f(a)=f(b)</math>なので<math>\bar{f}</math>はwell-defined。
 
<math>\bar{f}</math>が準同型であること・全射であることは、<math>f</math>が準同型・全射であることから明らか。単射性を示す。<math>\ker \bar{f} =\{ e_G H \}</math>を示せばよい。
 
<math>\bar{f}(aK)=e_H</math>であるとすると、<math>f(a)=e_H</math>なので、<math>a \in \ker f</math>。よってa~<math>e_G</math>なので、<math>aH = e_G H</math>。すなわち<math>\ker \bar{f} =\{ e_G H \}</math>である。 //
 
==共役類とシローの定理==