「解析学基礎/極限」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
英語版 16:29, 18 Feb 2005の写しです |
|||
2 行
==はじめに==
[[解析学基礎_関数|関数]]の項目で、関数についての復習をしました。ここでは、解析学の根本となる'''極限'''の概念を学びます。
関数 f(x) = x<sup>2</sup>を考えます。この関数は、f(2)=4 となります。この関数を少しいじって次のような関数を考えてみます。
<table WIDTH="75%"><tr><td style="background-color: #FFFFFF; border: solid 1px #D6D6FF; padding: 1em;" valign=top>
<center><math>f(x) = \frac{x^2(x-2)}{x-2}.</math></center></td></tr></table>
この関数は x ≠ 2 の所では、最初に定義した関数 f(x) = x<sup>2</sup> と同じ値を取ります。ところが x = 2 の所では、分母が0になってしまうので関数の値は定義されていません。
x ≠ 2でしか定義されていない関数ですが、一つだけ確かな事があります。それは、x を 2に近付けると f(x)の値が 4に近付くということです。この事を
<table WIDTH="75%"><tr><td style="background-color: #FFFFFF; border: solid 1px #D6D6FF; padding: 1em;" valign=top>
<center><math>\qquad\lim_{x\to 2} f(x) = 4.</math></center></td></tr></table>
と表現します。
f(x)の x=2での値を考えているわけではなく、x=2の近くでの値を考えていることに注意してください。今の例では、x=2は、関数が定義されていない点でしたが、関数が定義されている点 x=15や x=1000000でも同じ事が考えられます。xをある値に近付ける時に、f(x)が、どのような動きを見せるか?という問題です。xをcに近付けるとき、必ず、f(x)がLに近付く場合、「Lはxをcに近付けた時の関数f(x)の'''極限'''である。」といいます。
xを c に近付けた時の f(x)の極限が Lであるということを数式で
:<math>\lim_{x\to c} f(x) = L.</math>
と表現します。
繰り返しになりますが、x=cでの f(x)の値を考えているわけではなく、xをcに近付けた時の f(x)の値に注目しているので、x=cでf(x)が定義されているかどうかは関係ありません。直感的には、xがcに限りなく近付いていった時に、f(x)は Lに限りなく近づいていくということです。
この極限の概念は、これまで表現しにくかった範囲での関数の性質も表現できるようになります。例えば 関数 f(x) = 1/xについて考えてみます。この関数は xが大きくなればなるほど、1/xは小さくなっていき、0に近付いていきます。1/x が 0になるということはありませんので、これを表現することは難しいです。しかし、極限という言葉を用いることによって、xを限りなく大きくしたときに、1/xの極限は 0であるということができるようになります。限りなく大きな数という数はありませんが、xを限りなく大きくした時に xがどの数に辿りつくのか?という心配をする必要はありません。重要なのは、xをどうしたときに f(x)がどのように振る舞うか?です。
xを限りなく大きくするということを x → ∞のように表します。この時、1/xが0に近付いていくということを数式で書くと
<table WIDTH="75%"><tr><td style="background-color: #FFFFFF; border: solid 1px #D6D6FF; padding: 1em;" valign=top>
<center><math>\qquad\lim_{x\to \infin} \frac{1}{x} = 0.</math></center></td></tr></table>
となります。
=='''極限'''の形式的な定義==
|