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'''協奏曲'''の鑑賞の手引きです。協奏曲については、[[w:協奏曲|Wikipediaの記事]]を見てください。
'''協奏曲'''(concerto〔伊・英・仏〕、Konzert〔独〕)は、今日では主として一つまたは複数の独奏楽器(群)と[[管弦楽]]によって演奏される多楽章からなる楽曲を指す。
 
古典派以降の'''独奏協奏曲'''は原則として3つの[[楽章]]によって構成される。交響曲同様に第1楽章はソナタ形式であることが多い。ただし例外として、[[ブラームス]]の『ピアノ協奏曲第2番』のように楽章が4つあるものや、[[モーリス・ラヴェル|ラヴェル]]の『左手のためのピアノ協奏曲』のように楽章が1つしかないものもある。
 
 
==歴史==
 
===初期===
[[16世紀]]半ばに[[イタリア]]で'''コンチェルト'''があらわれている。これは、モテットなど声楽の協奏曲を指していた。
 
===合奏協奏曲の時代===
[[17世紀]]末には、数個の独奏楽器と弦楽合奏による'''合奏協奏曲'''(コンチェルト・グロッソ)の形態が、[[アルカンジェロ・コレッリ]]らによって作られた。これは、ヴィヴァルディ、ヘンデル、ヨハン・セバスティアン・バッハによって発展させられた。多く[[楽式#リトルネロ形式|リトルネロ形式]]で書かれた。バッハのチェンバロ独奏曲「イタリア協奏曲」は、「協奏曲と同じリトルネロ形式で書かれた曲」というところから来ていると考えられる。
 
===独奏協奏曲の時代===
[[古典派音楽|古典派]]の時代、協奏曲は'''独奏協奏曲'''として引き継がれ、円熟期の[[フランツ・ヨセフ・ハイドン|ハイドン]]や、[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]]により「急-緩-急」の3楽章の形式がほぼ定まった。第1楽章は交響曲と同様[[ソナタ形式]]で作られたが、独奏協奏曲では次のような特徴を持つ。すなわち、オーケストラのみで第1主題と第2主題が共に[[関係調|主調]]で提示される序奏部があり、それから独奏楽器が加わった本来の主題提示部が続く。提示部では基本通り、長調の曲では第2主題が[[関係調|属調]]で、短調の曲では[[関係調|平行長調]]で現れる。また、再現部の後のコーダでは、独奏楽器が伴奏無しで即興で音楽を奏でる'''[[カデンツァ]]'''(〔伊〕cadenza、〔独〕Kadenz))が取り入れられるようになった。カデンツァでは独奏者は演奏技巧を凝らして「見せ場」を作り、属七の[[和音]]を合図にオーケストラが終結部に入る。カデンツァはまた終楽章でも入ることがある。
 
第2楽章は<!--[[リート形式]]-->[[複合三部形式]]や時に[[変奏曲]]形式、第3楽章は[[ロンド形式]]あるいは[[ロンドソナタ形式]]で書かれることが多かった。
 
古典派の作曲家にとって協奏曲は主要な活動分野であった。作曲と演奏の両方をこなす音楽家が多かったこの時代に、特にピアノ協奏曲の初演は作曲者が独奏楽器を受け持って行われることが意図されたためでもある。モーツァルトは27曲のピアノ協奏曲と5曲のヴァイオリン協奏曲を、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]]は5曲のピアノ協奏曲を残している。
 
[[ロマン派音楽|ロマン派]]の時代になると、より自由な形式になっていったが、交響曲と比べて作られた作品の数は少ない。'''ヴァイオリン協奏曲'''と'''ピアノ協奏曲'''が主要な分野となった。
 
ベルリオーズの交響曲『イタリアのハロルド』はヴィオラ協奏曲の一種、ラロの『スペイン交響曲』はヴァイオリン協奏曲と考えられるなど、境界的な作品もある。
 
ピアノ1台で協奏曲的な効果を出そうと試みた作曲家も現れた。[[ロベルト・シューマン|シューマン]]の『管弦楽のない協奏曲(ピアノソナタ第3番Op.14の初版時の題名)』や[[シャルル=ヴァランタン・アルカン|アルカン]]の『ピアノ独奏のための協奏曲(短調による12の練習曲Op.39より第8~10曲)』などである。
 
==代表的作品==
===ヴァイオリン協奏曲===
*[[w:カミーユ・サン=サーンス|サン=サーンス]] - 第3番 ロ短調 作品61
*[[w:ジャン・シベリウス|シベリウス]] - [[w:ヴァイオリン協奏曲 (シベリウス)|ニ短調 作品47]]
*[[w:ピョートル・チャイコフスキー|チャイコフスキー]] - [[w:ヴァイオリン協奏曲 (チャイコフスキー)|ニ長調 作品35]]
*[[w:フェリックス・メンデルスゾーン|メンデルスゾーン]] - [[w:ヴァイオリン協奏曲 (メンデルスゾーン)|ホ短調 作品64]]
*[[w:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]] - (第5番) イ長調 K.219
*[[w:ヨハネス・ブラームス|ブラームス]] - [[w:ヴァイオリン協奏曲 (ブラームス)|ニ長調 作品77]]
*[[w:マックス・ブルッフ|ブルッフ]] - 第1番 ト短調 作品26
*[[w:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]] - [[w:ヴァイオリン協奏曲 (ベートーヴェン)|ニ長調 作品61]]
*[[w:エドゥアール・ラロ|ラロ]] - スペイン交響曲 (ニ短調) 作品21
 
===ピアノ協奏曲===
*[[w:エドヴァルト・グリーグ|グリーグ]] - [[w:ピアノ協奏曲 (グリーグ)|イ短調 作品16]]
*[[w:ロベルト・シューマン|シューマン]] - [[w:ピアノ協奏曲 (シューマン)|イ短調 作品54]]
*[[w:フレデリック・ショパン|ショパン]] - 第1番 ホ短調 作品11
*[[w:ピョートル・チャイコフスキー|チャイコフスキー]] - [[w:ピアノ協奏曲第1番 (チャイコフスキー)|第1番 変ロ短調 作品23]]
*[[w:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]] - 第20番 ニ短調 K.466、第21番 ハ長調 K.467
*[[w:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]] - [[w:ピアノ協奏曲第5番 (ベートーヴェン)|第5番 変ホ長調 作品73 "皇帝"]]
 
===チェロ協奏曲===
*[[w:カミーユ・サン=サーンス|サン=サーンス]] - 第1番 イ短調 作品33
*[[w:ロベルト・シューマン|シューマン]] - イ短調 作品129
*[[w:アントニン・ドヴォルザーク|ドヴォルザーク]] - [[w:チェロ協奏曲 (ドヴォルザーク)|ロ短調 作品104]]
*[[w:フランツ・ヨーゼフ・ハイドン|ハイドン]] - 第2番 ニ長調 作品101
*[[w:ルイジ・ボッケリーニ|ボッケリーニ]] - 変ロ長調
*[[w:エドゥアール・ラロ|ラロ]] - ニ短調
 
==主な協奏曲の作曲家==
*[[アントニオ・ヴィヴァルディ|ヴィヴァルディ]] - 協奏曲≪和声とインヴェンションの試み≫『四季』
*[[ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル|ヘンデル]] - ハープ協奏曲
*[[ヨハン・ゼバスティアン・バッハ]] - 『ブランデンブルク協奏曲(6曲)』
*[[ルイジ・ボッケリーニ|ボッケリーニ]] - 12曲のチェロ協奏曲、フルート協奏曲
*[[フランツ・ヨーゼフ・ハイドン|ハイドン]] - チェロ協奏曲、トランペット協奏曲
*[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト|モーツァルト]] - 27曲のピアノ協奏曲、5曲のヴァイオリン協奏曲、クラリネット協奏曲、フルート協奏曲、オーボエ協奏曲、ホルン協奏曲、ファゴット協奏曲など
*[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン|ベートーヴェン]] - ピアノ・ヴァイオリン・チェロのための三重協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲(5曲、[[ピアノ協奏曲第4番 (ベートーヴェン)|第4番]]および[[ピアノ協奏曲第5番 (ベートーヴェン)|第5番『皇帝』]]は有名)
*[[カール・マリア・フォン・ウェーバー|ウェーバー]] - ピアノ協奏曲、クラリネット協奏曲(2曲)
*[[フェリックス・メンデルスゾーン|メンデルスゾーン]] - ヴァイオリン協奏曲(2曲)、ピアノ協奏曲(3曲)、2台のピアノのための協奏曲(2曲)、ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲
*[[マックス・ブルッフ|ブルッフ]] - ヴァイオリン協奏曲(3曲、第1番が有名)、『スコットランド幻想曲』
*[[ロベルト・シューマン|シューマン]] - ピアノ協奏曲、チェロ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲
*[[アンリ・ヴュータン|ヴュータン]] - ヴァイオリン協奏曲(7曲)
*[[エドゥアール・ラロ|ラロ]] ヴァイオリン協奏曲(第2番『スペイン交響曲』、他3曲)、チェロ協奏曲、ピアノ協奏曲
*[[ヨハネス・ブラームス|ブラームス]] - ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲(2曲)、ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
*[[ヘンリク・ヴィエニャフスキ|ヴィエニャフスキ]] - ヴァイオリン協奏曲(2曲)
*[[カミーユ・サン=サーンス|サン=サーンス]] ヴァイオリン協奏曲(3曲)、ピアノ協奏曲(5曲)
*[[フレデリック・ショパン|ショパン]] - ピアノ協奏曲(2曲)
*[[フランツ・リスト|リスト]] - ピアノ協奏曲(2曲、第1番は通称「トライアングル協奏曲」)
*[[ピョートル・チャイコフスキー|チャイコフスキー]] - 3曲のピアノ協奏曲([[ピアノ協奏曲第1番 (チャイコフスキー)|第1番]]が有名)、ヴァイオリン協奏曲
*[[アントニン・ドヴォルザーク|ドヴォルザーク]] - ヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲、ピアノ協奏曲
*[[エドヴァルト・グリーグ|グリーグ]] - [[ピアノ協奏曲 (グリーグ)|ピアノ協奏曲]]
*[[ジャン・シベリウス|シベリウス]] - ヴァイオリン協奏曲
*[[カール・ニールセン|ニールセン]] - ヴァイオリン協奏曲、クラリネット協奏曲、フルート協奏曲
*[[アレクサンドル・グラズノフ|グラズノフ]] - ヴァイオリン協奏曲
*[[ニコロ・パガニーニ|パガニーニ]] - 6曲のヴァイオリン協奏曲(6番は未完)
*[[セルゲイ・ラフマニノフ|ラフマニノフ]] - 4曲のピアノ協奏曲、[[パガニーニの主題による狂詩曲]](厳密には協奏曲でない)
*[[モーリス・ラヴェル|ラヴェル]] - ピアノ協奏曲(2曲、1曲は左手のための曲)
*[[セルゲイ・プロコフィエフ|プロコフィエフ]] - 5曲のピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲(2曲)
*[[バルトーク・ベラ|バルトーク]] - [[管弦楽のための協奏曲]]、3曲のピアノ協奏曲、ヴィオラ協奏曲(未完)
*[[ドミトリ・ショスタコーヴィチ|ショスタコーヴィチ]] - 2曲のピアノ協奏曲、2曲のヴァイオリン協奏曲、2曲のチェロ協奏曲
*[[エドワード・エルガー|エルガー]] - ヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲
*[[ホアキン・ロドリーゴ|ロドリーゴ]] - 『アランフエス協奏曲』(ギター協奏曲)
*[[ジョージ・ガーシュウィン|ガーシュウィン]] - ピアノ協奏曲
*[[レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ|ヴォーン・ウィリアムズ]] - バス・テューバ協奏曲
 
==関連記事==
*[[音楽]] - [[クラシック音楽]] - [[管弦楽]]
**[[協奏交響曲]]
**[[交響曲]]
**[[交響詩]]
**[[チェロ協奏曲]]
 
[[en:Concerto]]
[[eo:Konĉerto]]
[[es:Concierto]]
[[fr:Concerto]]
[[ko:협주곡]]
[[nl:Concert_(muziekstuk)]]
[[pl:Koncert]]