「解析学基礎/極限」の版間の差分

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という関数が考えられます。
 
∈''sin'' 関数のグラフは、無限に振動します。この振動の起こっている (1, ∞) という区間を 1/x という変換を用いて (0, 1) に入れます。すると、この有限区間の中に、無限回の振動を詰め込むことができるようになります。実際、この f(x) で ''x'' を 0 に近付けていくと、無限回の振動が起こります。
 
'''病的なグラフ''': ここでは 2 つの例を考えます。
 
まず、 ''f'' が 任意の有理数qに対し定数 ''f(q)=2'' を取る場合、''f'' は、任意の q<sub>0</sub> で連続になります。任意 &epsilon; > 0 を取ると、任意の &delta; > 0 に対し、 0< |q-q<sub>0</sub>| < &delta; を満たす q は | f(q<sub>0</sub>) &minus; f(q<sub>0</sub>) | = |2-&minus;2| = 0 < &epsilon; も満たします。したがって、 ''f'' は q<sub>0</sub> で連続です。
: ''f'' は 有理数上だけで定義されていて、無理数の所では定義されていないことに注意してください。 ''f'' の値が評価できる所だけ、 条件の判定ができます。 ''f'' の値を判定できない無理数の所では 極限や連続の定義は意味を持ちません。
 
242 行
;<math>g(q)=\left\{\begin{matrix} 2, & q \in\mathbb{Q} \\ 0, & q \notin\mathbb{Q} \end{matrix}\right.</math>
 
先程定義した、 ''f'' と似ていますが、今度は無理数の時は 0 という値を取るように定義されています。''g''には連続な点はありません。 ''x'' を実数として、 ''g'' が ''x'' で連続でないことを示します。 &epsilon; = 1 とします。 もし ''g'' が ''x'' で連続あるとすると、 |x-y| < &delta; ならば |g(x)-&minus; g(y)|<1 となるような &delta;が存在する筈です。しかし、 &delta; をどんなに小さくとっても、 |g(x)- &minus; g(y)|=2 となるような ''y'' が存在します。 ''x'' が有理数ならば、 ''y'' に無理数をとり、 ''x'' が無理数ならば、 ''y'' に有理数を取ればいいからです。したがって、 ''g'' は全ての実数で連続ではありません。
 
:この 2 つの病的なグラフの例は重要です。そっくりな例でも結果は逆なのです。 有理数と有理数の間には必ず無理数があり、無理数と無理数の間には必ず有理数があるのでグラフを描こうとしても有理数と無理数の区別を付けられず、 y=g(x) のグラフなどは、視覚的に表現するとすれば y=2 というグラフと y=0 というグラフを合わせたものにせざるを得ません。