「高等学校化学I/物質と原子」の版間の差分
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; 元素 : '''元素'''は、物質の構成成分である。
この元素は、現在で
== 物質の分類 ==
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純物質は、物理的操作(叩く、引っ張る、ろ過する、といった操作)によってそれよりも小さい構成パターンに分けることができないようなパターンの集まりだと考えられる。ここで言うパターンとは、元素の組み合わせのことである。単体や化合物は、物理的な操作だけではその構成を変えることができない。例えば、水は蒸発させても凍らせても叩いてもろ過しても、水のままである。しかし、電気分解を行うことで水素と酸素に分解できることは、中学校で学習した通りだ。具体的には、前者を物理的操作、後者を化学的操作と呼ぶ。
; 混合物 : 純物質に対して、物理的操作によって分類できる可能性がある物質を、'''混合物'''と言う。
混合物は、単体や化合物が混ざり合っている物質である。液体や気体が容易に想像できるが、固体にも混合物は多く存在する。多くの岩石は混合物である。火成岩にさまざまな鉱石が含まれていることは中学校で学習したことであろう。鉱石ひとつひとつは、一部には不純物が含まれることはあるものの基本的には純物質であり、それらが集まってできている火成岩は混合物である。ほかにも、塩酸は塩化水素(
<small>純物質と混合物の分類の定義自体に対しては、直観的な理解をしていればかまわない。しかし、ある物質が純物質か混合物かということはしっかりと把握する必要がある。</small>
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原子が物質を構成する粒子であるのに対し、元素は物質がどんな性質のものの集まりであるかを示す。「水は水素元素と酸素元素からできている」というのは「水が水素という基本要素と酸素という基本要素から成り立っている」という意味である。この、基本要素とは原子の集合のことでもあるため、元素と原子は非常に意味が似ている。
意味が似ている上に、日本語では音が似ていることもあり、しばしば混同されるが、両者はまったく別の概念であり、英語にすると元素は「element」、原子は「atom」と、まったく異なる単語である。元素は世界を形作る要素のことであり、原子はそれ以上分割できない最小の単位である。
実際には、元素は原子の種類を
<small>高等学校では、素粒子については[[高等学校理科 物理II]]で扱う。</small>
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<small>この、原子と元素の言葉の違いについては、できるだけしっかりと理解しておくことができれば、後々の内容で混乱しないと思われる。どうしてもイメージがつかめないのなら、読み飛ばしてもかまわない。</small>
基本的に<!--単原子分子の存在を加味して-->、原子がいくつか結びつきあ
; 分子 : 分子は複数
; イオン : イオンは、原子や分子がある条件のもとで電荷を持った粒。
== 原子の構造 ==
原子とは、物質を構成する粒子一粒の呼び名である。膨大な数の原子が相互に結び付きあって、私たちの体や、他の様々なものは形作られている。原子そのものも、素粒子と呼ばれる粒が構造的に結びついて構成されているが、化学では、原子を基本単位としてその性質を分析していく。
<small>元素と原子の違いについては[[#物質を構成する実体|物質を構成する実体]]を参照。</small>
原子はあまりに小さいため、特殊な電子顕微鏡などを用いなければ観察することができない。その直径は約100億分の1メートル<small>( 1×10<sup>-10</sup>m = 0.1nm )</small>である。つまり、原子をだいたい
=== 原子の基本構造 ===
[[Image:Atom.svg|frame|right|He原子のボーアモデル]]
原子は、中心にある'''原子核'''と、その周り(電子殻)を飛び回るいくつかの'''電子'''(黄色)の構造である。原子の構造は簡単には説明できない
まず、原子の構造の要素である原子核と、陽子・中性子・電子について知ろう。これらは高等学校化学で扱う最も小さな粒である。
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原子の構造のうち、電子が並んでいる原子核の周りの部分について、より詳しく見ていこう。
; 電子殻 : 電子が飛び回っている部分全体を指す。'''階層構造'''になっている。
この電子殻は何重かにわかれており、内側から'''K殻'''、'''L殻'''、'''M殻'''、……と呼ぶ。それぞれの層に入ることのできる電子の数は決まっており、その数以上の電子が一つの層に入ることは無い。たとえば、K殻に入ることのできる電子の数は2つまでである。また、電子は原則的に内側の層から順に入っていく。M殻以降では例外もあるが、高等学校の化学ではこれについては扱わない。興味のある人は、[[w:電子殻]]などを参考にしてほしい。<!--電子殻それぞれを電子軌道と呼ぶ。<!--誤り。意図した事実
また、いちばん外側の電子殻にある電子を'''最外殻電子'''と呼ぶ。最外殻電子は原子の性質に大きな影響を与える。ある原子とある原子との接点が、実際には電子殻であるため、原子の結合の仕方などはこの最外殻電子の個数が重要になってくる。原子の性質を決める最外殻電子を特別に'''価電子'''と呼ぶ。
最外殻にそれ以上電子が入ることのできない状態を'''閉殻'''という。閉殻になっている原子の価電子の個数は'''0'''であると約束する。 === 電荷 ===
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=== 原子の分類 ===
原子の性質は、その原子の原子核に含まれる陽子の数で決まる。これは、原子の性質そのものが、電子や周囲の原子に対してどのように結びつきあうか、ということと同じであるからだ。プラスの電荷は
実は、元素の分類、つまり原子がどの元素に属するかという判断は、その原子の原子核に含まれる陽子の数によって行われている。例えば、水素(H)に属する原子の場合、それに含まれる陽子の数は必ず1個である。同じように、炭素(C)に属する原子の原子核には、必ず6個の陽子が含まれている。逆に、ある原子の原子核に陽子が6個含まれるなら、その原子は炭素である。
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より、8個の陽子が含まれていることが分かる。8個の陽子が含まれている原子は、酸素(O)である。
ある二つの原子について、原子番号が同じでも質量数が異なることがある。
=== 周期表と周期律 ===
元素を原子番号の順に並べると、性質のよく似た元素が周期的に現れることがある(例:1価の陽イオン<small>(→[[化学結合]])</small>になりやすい物質……<sub>3</sub>Li、<sub>11</sub>Na、<sub>19</sub>K、など。ここまでは
元素を原子番号の順に並べて、かつ周期律に併せて配列した表を'''[[元素記号|周期表]]'''という。周期表の縦の列を'''族'''といい、同族内では性質のよく似た元素が並ぶ。周期表の横の列を'''周期'''と呼び、周期の番号は電子殻の数と一致する。
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; 分子 : 分子とは、物質としての性質を持った最小単位の一つである。
: 1つ以上の原子から成り立っている。
分子は電気的に中性であるため、これらが物理的に運動する限りにおいては、電磁気の問題は基本的に発生しない。一粒が独立しているので、エネルギーの
一般に分子は原子が複数個集まってできていることが多いが、ただ一つの原子だけで独立して分子となるものもいる。希ガスと呼ばれる種類の原子は、他の原子と結びつか
; 単原子分子 : 一個の原子から構成されている分子。
; 多原子分子 : 二個以上の原子から構成されている分子。
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| [[w:水素|水素]] || H<sub>2</sub> || 多原子分子 || 常温で気体。
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| [[w:酸素|酸素]] || O<sub>2</sub> || 多原子分子 || 常温で気体。物を燃やす働きがある。大気の約21%がこの分子である。
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| [[w:窒素|窒素]] || N<sub>2</sub> || 多原子分子 || 常温で気体。
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| [[w:水|水]] || H<sub>2</sub>O || 多原子分子 || 常温で液体だが、固体や気体の姿もおなじみだろう。
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| [[w:ネオン|ネオン]] || N || 単原子分子 || 希ガスの一種。ネオンサインなどに利用される。
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| [[w:アルゴン|アルゴン]] || Ar || 単原子分子 || 希ガスの一種。大気の約1%がこの分子である。
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{{-}}
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| [[w:水|水]] || 化合物 || H<sub>2</sub>O || イオンからなる物質を溶かす。氷は分子結晶である。
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| [[w:ブドウ糖|ブドウ糖]] || 化合物 || C<sub>6</sub>H<sub>12</sub>O<sub>6</sub>||
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| [[w:二酸化炭素|ドライアイス]] || 化合物 || CO<sub>2</sub> || 二酸化炭素の固体。温度があがると、液体にならずに一気に気体になる。
|}
<small>水は、実際には不純物を含んでいることが多い。純粋な水は
=== イオンからなる物質 ===
NaCl(塩化ナトリウム)という化合物は、ナトリウムイオンNa<sup>+</sup>と塩化物イオンCl<sup>-</sup>がお互いに偏った電荷を補い合おうとして結合する。このようにイオン同士がひきつけあってできた結合を'''イオン結合'''という。また、イオン結合によってできた固体を'''イオン結晶'''という。イオン結晶は融点・沸点が高く、硬いがもろい。これらは基本的にイオンが並
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